スタンフォード大学の研究から分かった『正しい褒め方』で子どもの成績が変わる!?幼児教育講師が解説!
こんにちは!幼児教育講師のTERUです!
今回は、スタンフォード大学の研究から見る『子どもの褒め方の科学』というテーマでお話しさせていただきます。
▼動画で観たいという方はYouTubeでも配信していますのでこちらをご覧ください。
今回取り上げる研究は子育ての悩みに関して長年研究されている、スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエックさんという心理学教授の研究です。
ドゥエックさんは子どもを対象とした研究を進めていく中で、学びに対して非常にポジティブで何でも挑戦しようとする子どもと反対にネガティブな印象を持ち、新しいことに挑戦するとを避ける子どもがいるということに注目するようになりました。
そしてそのような子たちの研究を進めていく中でわかった事実が、学びに対して挑戦できる子になるか、挑戦を避ける子になるかは、大人の褒め方が大きく影響しているということです。
【ドゥエックさんが行った実験】
思春期に入ったばかりの子どもたち数百人を対象に、知能検査におけるかなり難しい問題を10問やらせ、最初の検査では、ほとんどの生徒がまずまずの成績で検査を終えました。
その後、生徒を二つのグループに分けてある褒め言葉をかけました。
一方のグループでは、その子の能力にフォーカスして
「9問正解だね!素晴らしい!君は頭がいいんだね!」
そしてもう一方のグループでは、その子の努力にフォーカスして
「9問正解だね!勉強すごく頑張ったんだね!」
そして次に、子ども達に新しい問題を見せて、新しい問題に挑戦するか同じ問題をもう一度解くのか、どちらかを選ばせるという実験を行いました。
すると二つのグループの間で、明確に差が現れたといいます。
頭の良さを褒められたグループ
新しい問題を避けて同じ問題を解こうとする傾向が強くなり、間違うことで自分の能力が疑われる可能性がありそうな問題はいっさいやりたがらなくなった。
努力を褒められたグループ
9割が、新しい問題にチャレンジする方を選んでさらに学ぶチャンスを逃さなかった。
つまり、努力した過程を褒めると、子どもは努力する事に喜びを感じるようになり、能力を褒めると間違うことを恐れるようになるということですね。
その後ドゥエックさんは、生徒全員になかなか解けない難題を出し検証を続けました。
そうすると、
頭の良さを褒められたグループ
難問を解くことにフラストレーションを感じ
「自分は全然頭が良くない」「こんな問題を解いても楽しくない」と思うようになり
その結果「自分は頭が悪い」と考えるようになってしまった。
努力を褒められたグループ
難問を出されても嫌がらず、むしろ難しい問題の方が面白いと答える子どもが多く、
なかなか解けない問題があったとしても「もっと頑張ろう!」と考えることができた。
つまり、努力を褒められた子どもは、積極的に難しい事にも挑戦できるようになるということですね。
さらに難問が出された後のテストでもなかなか衝撃的な結果が出ています。
グループ分けをした時点では、両グループの成績はほぼほぼ同じでしたが
頭の良さを褒められたグループ
成績がガクンと落ちて、その後、簡単な問題が出されても成績や自信は回復せず、自分の能力に自信がなくなって、スタート時よりも成績が落ちてしまった。
努力を褒められたグループ
成績がどんどん良くなっていって、難問に挑戦した事で意欲やスキルに磨きがかかり、その後に出された簡単な問題も、スラスラ解けるようになった。
つまり、ドゥエックさんの研究から『能力を褒めると生徒の知能が下がり、努力を褒めると生徒の知能が上がる』ということも分かったということです。
ここまでお話しすれば、もう何が大事なのかは分かったと思います。
ここからは具体的に“どんな褒め方が良いのか”ということを詳しく解説していきます。
【なるべく避けたい褒め方】
具体的にはこのような褒め方です。
親「そんなに早く覚えられたなんて、本当に頭がいいね!」
子『早く覚えられないと頭が良くないんだ』
親「〇〇ちゃん、あの絵を見てごらん、あの子は将来のピカソになれるね!」と他の子を褒める
子『あのくらい難しいものを描かないと、ピカソとは思ってもらえないんだ』
親「君すごすぎだよ!勉強しなくてもAが取れたんだから」
子『勉強して点数を取ったらすごくないんだ。じゃあ勉強しない方がいいな』
大人としては子どもを励ましたり、周りの子の作品を褒めているだけのつもりですが、子どもにはこんなメッセージで伝わってしまっていることがあります。
ちょっと意識しないと自然と使ってしまってしまうかもしれない言葉ですよね。
【してあげたい良い褒め方】
・「長い時間、一生懸命に宿題を頑張ってたよね。集中して終わらせる事ができてすごいね!」
・「この絵、きれいな色を沢山使って書いてるね!どんな色の使い方をしたか教えて!」
・「この作文には〇〇ちゃんの考えが書いてあるね。作者の想いをよく想像して書いたんだね!」
・「心をこめて弾いてくれてありがとう。ピアノを弾いているときの〇〇ちゃんってすごく楽しそうじゃない?どうしてそんなにいつも楽しそうに弾けるの?お母さん〇〇ちゃんの弾いている姿好きだな!」
このように褒めるときは、子どもの能力や結果ではなく、努力して成し遂げたことだったり、結果を出すまでの過程やこだわりなどを褒めることが大切なんですね。
【さいごに】
いかがでしたでしょうか?
以上が、スタンフォード大学の研究から分かった『子どもを伸ばす褒め方』です。
最後の私からのメッセージとしては、あまり難しく考えすぎないでほしいということです。
ここまでの話を聞いて、スッと取り入れられる方もいらっしゃるかもしれませんが実際子どもにどのように言葉をかけようか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
癖で結果を褒めてしまうときがあるかもしれませんが、少しくらい結果を褒めたぐらいで取り返しがつかなくなることはありませんので、自己嫌悪してしまったり、重く捉えないでくださいね。
結果を褒めてしまったことに気づけた時点で、それは徐々に努力や過程を褒めることのできる親へ向かっている証です。
いきなり上手くできる人なんていませんから、少しずつ自分のものにしていってほしいと思います。
絶対に努力を褒めなくちゃ!と意気込みすぎて、言葉が不自然になり全く伝わらない褒め方になってしまっても本末転倒ですよね。
ちなみに褒め言葉に迷ったら『感謝を伝える』というのも1つの手です。
子どもが何かを親のために頑張ってくれた時に「上手にできたね!」と褒めるのは結果にフォーカスした褒め方ですが、一言「ありがとう」と伝えれば、それは結果を褒める行為ではなく、親の想いを伝える行為になります。
今回は褒めるということにフォーカスしてお話ししてきましたが、私はそもそも褒めることにこだわらず、感謝を伝えることのできる場面では「ありがとう」「助かったよ」などと親のIメッセージを伝えることを大切にしてほしいと考えています。
Iメッセージに関してはこちらの記事を参考にしてみてください。
あくまで選択肢の1つとして、できる限りできる範囲で気楽に実践してみてくださいね!