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酪農とは?牛乳や乳製品の原料を生産する「酪農」を解説します
酪農を知る
公開日:2022年4月18日

酪農とは?牛乳や乳製品の原料を生産する「酪農」を解説します

過去記事「畜産と酪農の違いとは?肉牛と乳牛の違いなども含めわかりやすく解説します!」では、「畜産」と「酪農」の違いについてお伝えしましたが、今回は「酪農」だけに焦点を当ててお伝えします。これさえ読めば「酪農」を理解できます。

目次

酪農のはじまりと現代の酪農

「酪農」とは何?と聞かれたらどう応えますか?「牛乳を作る仕事」「チーズやヨーグルトを作る仕事」「牛を飼う仕事」などですが、全国酪農業協同組合連合会「略称:全酪連」のホームページには、「牛乳を生産する農業」。「酪」というのは牛などの乳から作った飲料などの意味です。英語ではデイリー(dairy)、乳牛を飼育して牛乳や乳製品を生産する、畜産の一部門です。と書いてあります。なるほど!ですね。

ちなみに、酪農も農業の分野ではありますが、業種カテゴリーで分けると「農業>畜産>酪農」。つまりは、農業の中で牛、豚、羊、鶏などの家畜を飼育して肉や乳などを生産する畜産業があり、その一部門が「酪農」となります。

酪農・らくのう・ラクノウと何度も連呼してすいません。

それでもまだ解説は続きます。

さて、酪農の歴史は古く、我々、人類が狩猟生活(縄文時代)から農耕生活(弥生時代)に入った頃には、酪農が生まれたと言われています。時は流れて、生活の糧としての酪農が定着し、牛専門であり現在の「酪農」として日本ではじまったのは、千葉県南部(現南房総市)に設置された「嶺岡牧(みねおかまき)」からです。

ここは、元は安房国守だった里見氏が開いた馬の牧場でしたが、紆余曲折の末に1614年に江戸幕府の直轄地となります。その後、8代将軍徳川吉宗が馬の改良を目的に外国産の馬を輸入した際に、インド産の白牛が混ざっていたことがきっかけで「牛」の繁殖がはじまります。

そうです。偶然の産物でした。この白牛が繁殖して根付くこと100年強。1793年に、白牛から搾った生乳から白牛酪(バター)が作られるようになったと、「千葉県酪農のさと」には書かれています。同サイトによれば、嶺岡牧こそが「日本の酪農のはじまりである とのことで、同地には千葉県畜産総合研究センター「嶺岡乳牛研究所」があり、「日本酪農発祥之地」の記念碑も設置されています。

酪農の原点を知りたい方はぜひとも足をお運びください。ちなみに、当時、白牛酪は貴重品で庶民に渡ることはなかったそうです。

では、庶民の酪農はいつからなのでしょう。

前述の日本の酪農(バター生産)のはじまりから100年弱が経った、1863年。千葉県白子町出身の前田留吉氏が、オランダ人から酪農技術を学び、横浜で牛乳生産を開始。ここから一般市場へと流通されていきました。

その後、1876年には、明治時代の実業家であり政治家でもあった柳田藤吉氏の手によって、北海道根室に国内初の近代的な大規模牧場「東梅牧場」が開かれ、これが北海道酪農の礎となったのです。

根室は北海道の道東と呼ばれる地域で日本の最東端があります。このあたりは、根釧台地(こんせんだいち)と呼ばれる火山灰に覆われた広い大地。火山灰は保水力に乏しいため、稲作や畑作は適していませんが、牛が好む低温で冷涼な気候であり、夏でも気温が低くて涼しいので、高温になると腐りやすくなる牛乳や乳製品を扱うのに向いているというメリットがありました。

余談ですが、酪農が盛んな北海道には、なんと!酪農を冠にした大学酪農学園大学があります。同大学は、1933年に北海道酪農義塾として誕生。創立者は「日本酪農の父」や「北海道開拓の父」と呼ばれる黒澤酉蔵氏です。同氏は、「雪印乳業株式会社」の前身である「有限責任北海道製酪販売組合」の設立や、札幌テレビ放送株式会社(STV)の開局にも携わった方です。

畜産と酪農の違いとは?肉牛と乳牛の違いなども含めわかりやすく解説します!

数字でみる酪農

日本の酪農は千葉県で生まれ、横浜で庶民の手にわたり、北海道で発展を遂げました。現在、北海道の乳牛の飼育頭数は全国1位で、国内の半数以上を占めています。当然、乳製品の原料となる牛の乳「生乳」の生産量も、北海道がダントツで1位。その数字は、日本の生乳生産量約740万トンに対して約400万トンを占めるほどです。

そして、柳田藤吉氏の手によって誕生した道東酪農は北海道内の中でも、最も盛んな地域に発展。中でも、帯広市のある十勝は冷涼な気候で欧州のチーズ作りが盛んな地域と同じ緯度に位置するほか、きれいな川が流れているという好条件がそろい、酪農だけではなく、小麦など大規模な畑作も行われる「日本の食料基地」と呼ばれるほどの農業王国となりました。

閑話休題。

酪農の話です。農水省(2021年)によれば、国内の乳用牛の飼養戸数は1万3,800戸、飼養頭数は135万6,000頭、1戸当たりの飼養頭数は98.3頭。乳用牛1頭が1年間に生産する生乳は、平均約8,800キロ。酪農における産出額(経済規模)は約7,800億円、そのうち半分は北海道での産出となります。

酪農は、畜産業の中で、肉牛や豚などを抑えトップの経済規模なのです。ちなみに、総務省の家計調査によると、日本人の1世帯(2人以上)あたりの牛乳消費は、年間約80リットル、価格にすると16,000円(1リットル約200円で計算)。主要国の中では最下位でアジアでは韓国よりも少ない消費だそうです。競うところではありませんが、なんとなく「頑張れニッポン!」と言いたくなりますね。

酪農家になる。酪農を仕事にするにはどうしたらよい?

ここまで読むと「酪農」への興味が高まった方もいるでしょう。ここからは、酪農を仕事の視点からお伝えしていきます。

乳牛を飼育して乳をしぼって「生乳」を生産するのが酪農の仕事です。酪農家の多くは農協などの組合組織に属し、農協は指定生乳生産者団体(指定団体)となり、指定団体は、前述の雪印やよつ葉といった乳製品メーカーへ販売します。これを「一元集荷 多元販売」といいます。売上となる販売価格(乳価)は、指定団体とメーカーによる交渉で決まり、1年間保持されます。

価格が決まっていることで、酪農家の多くは「生乳」生産に力を注ぎ、指定団体を通してメーカーに買い取ってもらうというわけです。ただし、酪農家のなかには、生乳を自ら加工してチーズやアイスクリーム、ヨーグルトといった独自の乳製品を生産し、独自ルートで販売する方や、乳牛そのものをブランド化して付加価値をつけて、販売する方もいます。

具体的な酪農の仕事内容や1日のスケジュールなどは、以下の記事をお読みください

酪農の仕事の内容を全部見せます!未経験者必見です。 酪農の仕事を1日体験!これを読めば、酪農に向いているかがわかる

では、酪農家になるにはどうしたらいいのでしょうか。酪農を仕事にするには、大きくわけて3つの方法があります。

「新規就農する」

酪農経営を自ら行うことになります。飼養管理・繁殖や経営などの技術が必要のほか、畜舎の建設や牛の購入といった経営資産(資本)が必要です。酪農家さんの門戸を叩き、修行をした後に独立するほか、現在は高齢化を理由とした後継者不足により、牧場の事業継承も増えています。情報収集も大事ですので、まずは、各都道府県の新規就農相談センターに連絡をして、各自治体から上がってくる受入情報や就農支援、経営移譲希望者などの情報を集めることをおすすめします。

各都道府県の就農相談窓口(都道府県新規就農相談センター)

「酪農家及び酪農運営会社に就職」

酪農を経営する農場に従業員として就職することになります。給与や福利厚生など決められた労働条件や、飼養頭数・生産量といった牧場(会社)規模のほかに、経営方針や将来性など会社組織に入社する気持ちで選び、応募します。ただし、酪農業は牧場ごとに作業内容や雇用形態などは様々ですので、しっかりと見極めた上で就職することが大事です。

労働基準法は原則すべての業種に適用されていますが、農業は天候など自然条件に左右されやすいので、労働時間、休憩、休日に関する規定は、適用が除外されています。牧場によっては4週4休、4週6休など様々な休日規定で募集されています。大規模牧場をいくつも運営するなど企業経営が定着した株式会社ノベルズでは、4週7休を実現。資格支援制度や各種手当て、住宅支援といった待遇・福利厚生を明確に記しています。

ノベルズグループ待遇・福利厚生

「酪農ヘルパー」

畑作や稲作には繁忙期や収穫期、そして農閑期といったものがありますが、動物である牛を扱う酪農には、365日休みはありません。たとえば、「週末はお休みしたいのでミルクを出さないでね」とお願いできるわけがないし、仮にお願いしたところでその願いを牛が聞き入れてくれるはずもありません。

そこで、活躍するのが「酪農ヘルパー」です。ひとつの牧場に就職するのではなく、酪農ヘルパーとして酪農家を支援する仕事です。前述したとおり、酪農の仕事内容は牧場によって異なるので、複数の牧場で働くことで、さまざまな飼養方法や技術を経験できます。ヘルパーとして経験を積んでから独立することで、視野の広い経営に繋がることもあります。

酪農ヘルパーになるには資格は必要ありません。ただし、まったくの未経験者が、今すぐ酪農ヘルパーになれるかというと、それは無理でしょう。そこで、一般社団法人「酪農ヘルパー全国協会」では、ヘルパー養成研修を受けられますので、研修を受けることが近道となりますね。

北海道の酪農に欠かせないパートナー、酪農ヘルパーって何だろう?

いかがでしたでしょうか。酪農家になるには、基本的に資格は必要ありません。しっかりとした、牛や酪農に関する知識があれば、就農もできるでしょう。酪農に関する知識は、農業高校・専門学校・大学で学べますし、業界団体が主催する研修制度も充実しています。何事も同じですが、勉強しながら実務経験を積むことで、独自の経営スタイルに繋がることだってありますし、現在は、技術革新で、データを活用した業務効率化や搾乳ロボットによる作業効率も図れます。

例えば、ノベルズグループでは、日本最大級の牧場を経営しているため、1度に80頭の牛の搾乳ができるロータリーパーラー導入による搾乳作業の自動化のほか、データ管理やIT化で作業の効率化が図られ、従業員の働く環境改善にも努めています。労働環境が整い、最新の牧場経営を学びたい方にとってはノベルズグループのような会社組織からはじめるのはいかがでしょう。

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創業以来、北海道・十勝を拠点に、持続可能な農業経営を追求しているノベルズグループでは、現在、酪農牧場、肉牛牧場(肥育牧場、育成牧場)で正社員を募集しています。北海道内で12牧場、山形県(酒田市、最上町)で3牧場を経営しており、各牧場では異業種&移住転職を果たした仲間が、数多く活躍しています。業界未経験の方、移住先での仕事の選択肢を検討中の方は、気軽にご相談ください。「ノベルズウェーブ」ではそんな皆さんに役立つ情報を提供するほか、「ノベルズグループ採用サイト」では、現在募集中の求人情報を紹介していますので、併せてご参照ください。

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