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朝寝坊は罪なのか?

 休みの日、出来るだけ早起きして時間を有効に使いたい。


 いつも思ってはいるのだが、緊張感を欠いているせいか、たいていは寝坊……ひどい時には昼過ぎまで寝てしまう。
 もちろん、八時とか九時あたりには目が覚めるのだが……ま、休みだからいいか、と思い、一度トイレに立ってから、再び寝床に潜る。この瞬間……特に冬季などはまさにゴクラクである。目を閉じれば、まさしく生涯で一番安心していられる母体の中でまどろんでいる気分にもなれる。

 当然、次に目覚めるのは昼近くになってからで、俄然後悔が襲ってくる。なぜ、一度目覚めたた時に、交感神経に鞭を入れて起きようとはしなかったのか?
 だいたい、そんな時に限って、起きてからも精神はいまだ副交感神経の呪縛から抜けられず……気持ちだけ焦って、計画通りにコトを運ぶことは叶わない。

 そして、その日の夜。連休で翌日も休みだとすれば、当然、明日こそは早起きしよう。……と、決意だけは固めるのだが、一杯引っかけ、ケタケタ笑いながらアニメでも見ていようものなら……またぞろ理性のタガは緩んで、そろそろ寝る時間と思っても、あと1時間、あと30分と、だらだらと就寝時間を引き延ばし……結果、前日と同じ憂き目を見ることになる。やれやれ、情けない……

 ちなみに僕は、ちょっとでもアルコールが入ると、絶対に創作には手を出さない主義である。大宰のような天才ならイザ知らず、僕みたいな凡才の場合……アルコールが入ると右脳が麻痺し、想像力の翼が広がらない。
 やたら理屈っぽくはなるが、それも左脳一本の屁理屈に過ぎず、想像力が跳躍してくれないのだ。

 思い当たるフシのある人も多いと思う。酒席において、やたら理屈っぽくなる人が時にいることを……
 本人は、甚だ高尚なコトを論じているつもりながら……実際は、右脳という相棒が白河夜船なのだから、そこに真の想像はあり得ない。

 であるからして……僕の場合も、眠りに就くまでのアルコールの入った状態は無意味な時間帯とも言えるのだが、これを短縮することは甚だ困難なのだ。

 意思が弱い! ……と言われれば、返す言葉もないが、……そこは人間とは神秘な生き物で、アニメを見てニンマリしている時……その裏側でグッタリしているはずの右脳ながら、どうして……決して死んでいるわけではないのだ。
 そう。人間の想像力とは面白いもので、準備万端整って、さて創ってやるぞと力んだとて、思い通りにはゆかず……反面、グータラを決め込んでいる時にこそ、意思という石頭とは別の領域で、自ずと創作の手掛りが創られていることもあるのだ。

 これを、閃きと言う。

 大抵の場合、閃きという奴はデスクで沈思黙考の時よりは、欠伸の出る車中とか、トイレとか、……とにかく思い掛けない時に襲いかかる。

 案外、生活全般を時間割どおりに綿密に組み立てている人は、意思の及ぶ範囲でしか思考が働かない恐れもある。
 確かに、一般通念で言えば、寝坊も、ダラダラ過ごす夜の時間も非難されるだろうが……こと「創作」の分野に限れば、かかるグータラこそ立派な温床であると僕は信じて疑わない。

 たぶん、今度の休みも……寝坊しそうである……

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眠れない夜に

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