見出し画像

既成概念から脱却して革新的なアイデアを。伊藤忠インタラクティブのイノベーション研修が今、必要な理由

伊藤忠インタラクティブ株式会社(以下、IIC)は2019年から、伊藤忠グループを対象に、イノベーティブ(革新的)な発想をするための思考プロセスを養う研修「イノベーション研修」を行ってきました。この研修は2021年より、イノベーティブな発想を求めている一般企業に向けても実施しています。

なぜ今、イノベーティブな発想のための研修が行われているのでしょうか。また、この研修ではどのような学びがあるのでしょうか。イノベーション研修を運営する、アチーブメントデザイン事業部の川島勇我と、運営スタッフ、講座の受講生に、研修の目的や内容、どんな学びがあったのか、企業にとってのイノベーティブな発想の大切さなどについて聞きました。

話を聞いた人---------------------------------------------------------------------
【イノベーション研修 運営側】
・アチーブメントデザイン事業部
 事業部長代行 川島勇我
・アチーブメントデザイン事業部 創発デザイングループ
 伏脇佐貴
【イノベーション研修 受講者側】
・アチーブメントデザイン事業部 本質デザイングループ
 中嶋知敬
・アチーブメントデザイン事業部 創発デザイングループ
 河野美紀

■今までの当たり前では突破できない。イノベーティブな発想の必要性とは

――イノベーション研修とは、どのような研修なのでしょうか?

川島:イノベーション研修は、IICのアチーブメントデザイン事業部が運営している、若手~中堅社員に向けたワークショップ形式の研修です。革新的な発想にたどり着くための思考プロセスを身につけ、「イノベーティブで実現可能性の高い発想ができるようになること」を目的としています。

――イノベーティブな発想は、なぜ必要となるのでしょうか?

川島:同じ組織に在籍していると、その組織の文化に染まり、考え方が固定化されていきがちです。その固定化された考え方では、ときとして世の中の変化などに対応することが難しく、課題や閉塞感にぶちあたることもあり、そのような考え方から脱却するために、イノベーティブな発想が必要となります。

例えば、宅配便を扱う運送会社で過去、配送過剰の問題が起きたことは覚えていますか? 運送会社各社が人手不足に陥り、配達が遅延するようになってしまったのです。

この問題は、海外の「早く届けること」を打ち出したサービスが日本に入ってきたところから始まりました。日本の運送会社各社がその海外の運送サービスに合わせようとしたことで、既存の仕組みではうまく対応できず、人手不足が生じ、それにより配達遅延が起きてしまいました。

もちろん運送会社は毎年、地道に業務改善を行っていたはずです。ただ、この事例からは、「会社の決まりや仕事の進め方などの既成概念から脱却しないままでは、新しいサービスに追随できない」ということがわかるのです。

――今までにない課題を解決するには、それまでの方法で考えるのは難しいんですね。

川島:そうですね。これまでになかった問題を突破するためには、「今までの当たり前で考えていては難しい」と気づき、ビジネスとして実現可能な新たなアイデアを考えていく必要があります。

そのように「当たり前」とされる考え方から脱するには、社会人交流会や研修など、外部から刺激をもらうのが良い方法です。イノベーション研修もそのような場の一つといえます。

■ディスカッションを繰り返し、革新的で実現可能なアイデアを模索する

――イノベーション研修はどのように進められるのでしょうか?

伏脇:全5回のワークショップを開催します。お客様のご要望によっては研修内容のアレンジも可能です。ワークショップでは参加者がいくつかのチームをつくり、フレームワークにもとづいた思考ツールを使ってアイデアを出し、そのアイデアを実現可能なものにするためにディスカッションを行います。

川島:その思考ツールのベースとなっているフレームワークとは、デザインシンキングとシステムシンキングという2つの思考方法です。デザインシンキングでユーザー視点から新鮮でより良い事業アイデアを出し、システムシンキングで新たな事業アイデアをもとに合意形成を行います。この2つの思考方法を核として、ワークショップを行っていきます。

伏脇:ワークショップの流れは、大きく分けて5段階あります。まず「ブレインストーミング」でアイデアを出し、次に「親和図法」でそれらのアイデアをグルーピングします。その後は「CVCA」でビジネス観点からアイデアの実現性を探り、「バリューグラフ」でサービスの存在価値を考察。これら一連のディスカッションを繰り返した後、できあがったサービスにストーリーをつくる「ストーリーマッピング」を行います。

この研修は、ワークショップ形式で、複数人で行うのがポイントです。お互いが出すアイデアの癖や偏りに気づき、ディスカッションをして、またアイデアを出す……ということを繰り返して、実現可能なアイデアを完成させることができます。

■アイデアが出ない人はいない。さまざまな意見を生むための研修の環境

――参加者の中には、「自分には発想力が足りない」「アイデアをビジネスに活かすのは難しい」と感じている人もいると思います。そのような人には、どのようにアプローチをしていますか?

川島:「アイデアが出ない」と言う人はよく見かけるのですが、本当にアイデアが出ない人なんていないと私は思っています。「アイデアが出ない」というのは実は、「みんなにとって良いアイデアが出ない」ということではないでしょうか。

イノベーション研修では、「どんなアイデアでも出していいんですよ。たとえおかしなアイデアでも怒られません。だからどんどんアイデアを出してください」と、研修のはじめにお伝えしています。また、「おかしなアイデアと決めるのは自分たちではない」ということもレクチャーしています。自分の会社から見ると受け入れられないようなアイデアでも、別の会社がやればイノベーティブに見える、ということもありますから。

加えて、ひとりではなくチームでアイデアを出し合うことも大事です。自分からは出てこなかった他の人のアイデアに触発されることによって、さらに新しいアイデアが出てきて、まるで刀を打つようにアイデアが研ぎ澄まされていきます。アイデアの種は、自分で判断さえしなければ誰にでも出てくるものなので、発想力に自信がないと思っている方でもご心配は要りません。

――初めて会う人やあまり関係性が深くない人とディスカッションするケースだと、難しいと感じられることもありそうです。何かサポートなどは入りますか?

伏脇:運営側のファシリテーターがそれぞれのチームに入ります。ファシリテーターは受講生に、よりイノベーティブな発想へ飛びぬけてもらうために、出たアイデアにコメントしたり、チームが大切にしたいことをまとめて伝えたりして、サポートしています。

知らない人同士でチームを組む場合もありますが、「ワークショップが楽しかった」といった好意的な感想をいただきますので、楽しんでいただけているようです。運営側のサポートもありますので、あまり気負わず参加していただけたらと思います。

■異なるカルチャーとの出合いや、課題を意識する大切さが学びに

――実際にイノベーション研修を受けられたお二人にお聞きします。研修を受けてみて、どんな学びがありましたか?

中嶋:私の場合、グループ会社の同世代の人同士で「新サービスを考える」というテーマでイノベーション研修を受けました。参加者は別々の会社から参加していたのですが、それぞれ会社によってカルチャーが違い、ビジネスで重視する部分が参加者ごとに異なっていたのが非常に興味深かったです。会社に入ると、知らないうちに会社の風土に染まるのだなと実感します。他のカルチャーからの影響を受けつつ、主体性を持ちながら意見をぶつけ合って、新たな発想につながったのが良かったと感じました。

河野:私は、「議論が進んでいても、ブレインストーミングに立ち戻って問題点を確認する」という体験ができて良かったです。

私たちのチームは、アイデアを突き詰めることに注力してしまい、解決したい本質的な課題を見失っていました。そこで、ファシリテーターからコメントを受け、その後はブレインストーミングをもう一度行うことになったのです。その際、自分たちが根本的に解決したいことを改めて明確にしたうえで出したアイデアが、最終案となりました。

「問題点は何か」をしっかり意識しなければ、「どんな方法でやろうか」という方向に意識が傾いてしまいます。問題点に立ち戻ることの大切さを、この研修で学びました。

■ビジネスのマンネリ化を打破したい人に役立ててほしい

――今後、どのような企業にこのイノベーション研修を受けてほしいですか?

川島:イノベーティブな発想はすべての企業に必要だと思いますので、幅広い企業で取り入れていただけたらと考えています。

特に、自社の文化が当たり前になっていて、その当たり前がビジネスのマンネリ化を生んでいる、といった課題を認識している企業には効果が高いと考えます。DXを例に挙げると、現在、日本企業の間で推進されているDXには「既存業務を強化するためのDX」「発想を転換させて行うDX」の2種類がありますが、イノベーション研修はどちらかというと後者に向いているものです。既存の思考の枠から抜け出したい企業に役立てていただけるでしょう。

また若手だけでなく、経営層をはじめとした決裁権がある方にも研修を受けていただきたいですね。イノベーティブなアイデアは、前例がないためになかなか社内稟議を通りにくいものなので、覚悟を持ってそのアイデアをすくい上げられる人が必要です。社内で意思決定を担う方々がイノベーティブな視点を養うといった目的でも、活用していただけます。

――プログラム終了後、「いかにその学びをビジネスの現場に活かすか」をとても見据えられている研修なのですね。

川島:そうですね。「ワークショップをやって終わり」という研修が少なくない中、イノベーション研修では、実際に出たアイデアが関係部署に伝えられ、検討されるケースもあると聞いています。

研修で出たアイデアは、伊藤忠のグループ会社につなげることも可能です。IICは会社の風土として、システム構築に強くサービスデザインもできるので、研修でも実現可能性が高くてバランスの良いアイデアができあがります。

伏脇:ファシリテーターも、受講者の皆さんに実践的な思考プロセスが定着し、ビジネスの現場で活かされていくよう、サポートを行っています。イノベーティブに発想し、そこから新たなサービスを創出し、実装にまで発展させたい――そうした思いを抱く方にぜひ参加していただければと思います。

<アチーブメントデザイン事業部とは>
企業の戦略実現のためのデザインを行う、IICの事業部の一つです。プロジェクトの立ち上げや未来洞察といった上流工程を得意としており、すべての企業アクションに対して価値を発揮できるように、経営からデザインの細部までワンストップでサポート。動画やWebサイトの制作、システム構築など、クリエイティブ系も幅広く担っています。

<イノベーション研修の詳細はこちら>
https://www.market.co.jp/solution/lp/innovation/


この記事が参加している募集

多様性を考える