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森川美穂姐さんの飴とムチと、うずらの卵。

ちょっと遅くなってしまったけれど、先週の日曜日のことを話そう。森川美穂姐さんのライブの翌日。この日は、レコーディングスタジオでの仕事があった。
今回のは、本番の唄入れではなく、その手前の作業を行う。

Keyは、これでいいか?
譜割りは、これでいいか?
歌詞は、ほんとにこれでいいか?
なんかを事前に確認する作業です。
簡単に言うと「仮歌(かりうた)録り」。

これまでに出来上がっている曲を全部、美穂姐さんが歌ってみるらしい。
私が到着した時には、すでに姐さん、私の担当した曲を一回、唄った後だった。

「純子さん、昨日はありがとうございました!」

前日、コンサートを終えたばかりの美穂姐さんが迎えてくれた。

元気そうだ。
一回のコンサートで20曲あまりを唄い、それを昼と夜、2回も行ったのに。

さすがです、姐さん。

「じゃあ、一回、聴いてみようか」
エスパー西嶋も元気そう。

録音されたばかりの歌を、聴く。
美穂姐さん、良い意味で、チカラが入っていない。さらりと唄う。

・・・シビレるぜ。

たった一回、唄っただけなのに、すでに自分の物にしている。
姐さんは、昔からそうだ。
瞬時にして、唄の世界を自分に引き寄せる。

なんの問題もなし。
ちょっと歌い回しが分かりにくい箇所があり、気になっていたのだが、私が思い描いていた通りの譜割りで唄っている。

姐さん、さすがです。

いいねー!

が、スタジオにいる全員の見解。
しかし、姐さんは、もう一回だけ唄った。
もう、これでリリースしてもいいのでは?と思うくらいの出来栄え。

わすが、10分ほどで私の仕事が終わってしまったではないか。
とりあえず、スタジオのテーブルに差し入れを広げる。
前日、熱中症になった経験から、塩分チャージタブレットの数々。笑

ん?
すでに飴のような物が、テーブルにどどんと散らばっている。
「良かったら、食べてくださいね」
食べる?飴を?
「これ、飴じゃないです。うずらの卵!たんぱく質を摂らないとね」

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※写真は、イメージです。

前日、コンサートで、
「歌い手は、アスリートだと思ってる」
と、語った姐さん。
燻製にされたうずらの卵が、ひとつひとつ真空パックされていた。すごい数だ。
ほんとにアスリートみたいだな。

さすがです、姐さん。

この後、作曲・編曲の山川恵津子さん登場。
恵津子さんとは、1987年のアルバムでご一緒したことがある。「午後のシート」というタイトル。もう35年前だ。つい昨日のことのようなのに。

今回、恵津子さんと組んでいる曲はない。
ということは、私の詞ではない曲の確認が始まる。そう、あの方とか、あの方とかの曲が始まるのだ。笑
では、ここらへんで失礼いたします、、、と言うと、エスパー西嶋に止められた。

「まだ、いてよ。恵津子さんの曲をやる前にファンクラブ用のコメントを録るから」

ここのところ、ライブの写真を撮影してくれているFUMIさんがインタビュー形式で、姐さんに質問する。
この音源がもうすぐ、ファンクラブの会員のかたに解禁される。
たぶん。笑
なので、ここでは触れないでおこう。
ただ、姐さんが、いつも乍ら、竹を割ったような発言をするので、スタジオは爆笑に包まれた。
ファンのかた、楽しみにお待ちください。

今回、2泊3日で滞在した東京。久しぶりだったので、本来なら、もっともっとやりたいことがあった。熱中症にならなければ。笑

しかし、スタジオに行く前に、ちょっと良いことがあった。

姐さんのコンサートまでには体調は戻ったが、翌朝、実はぶり返していた。
ぶり返すのよ、熱中症は。
知らなかったけど。
年齢が年齢なので回復が遅いのだな。笑

ぎりぎりまで身体を休めていたけれど、10時にはホテルをチェックアウトしなければならない。
チェックアウトカウンターに事情を話し、一時間ほど、ロビーで座っていていいかを尋ねてみた。

「何時に出発のご予定ですか?」

11時半頃だと答えると、

「では、このままお部屋へお戻りになってお使いください。11時までならチェックアウトを伸ばしていただいて結構です」

と、おっしゃるではないか。
ありがたすぎて、
「ほんとぉですかぁ〜⁉️」
と、変にひっくり返った声で、何度も聞いてしまった。 

神様はいたよ、吉祥寺に。

プラス 一時間のオプションをいただいたおかげで、体調はかなり良くなっていた。
更にスタジオで過ごしていたら、完璧に回復した。スタジオは機材をきちんと冷やすために冷房はキツめ。そのおかげもあるが、一番はやはり、森川美穂姐さんの歌声だろう。

アップテンポの曲でも、バラードでも、森川美穂姐さんの歌声は、聴いている人間の中に眠る何かを叩き起こす。

そう、揺り起こすのではなく、叩き起こす。

ねえ、眠っていていいの?
ほっといていいの?
その気持ち、もう私、知っているのよ。

と、言われている気がするのだ。

そうですよね、なんとかせねば。
と、背筋が伸びる。

どんなに優しい言葉でも。
聞こえないくらいのささやきでも。
自分の感情と対峙する覚悟を、ムチのように、時に飴のように与えてくれる。笑

恐ろしいのだ、姐さんは。笑

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