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MTG 打ち消し呪文大全 ~「通りますか?」―「打ち消します!」~

・いざ、カウンターの世界へ

クリーチャーを場に出し、呪文を使ってそれをサポートし、自分のやりたい動きを押し通しながら勝利する。MTGの基本だ。しかしその動きを邪魔して、猛攻をかわしながら自らの動きを通していくコントロールという戦略が存在する。

筆者が愛するモダンはMTGの中でも特に「押し付け環境」と言われていて、4ターンもあればライフがなくなる高速のビートダウン戦略や、1ターンキルコンボ、トロン土地によるビッグマナ戦略など、様々なデッキタイプが肩を並べる魔境だ。

当然、強力なクリーチャーや火力呪文、ハンデス呪文、PWなど数多く、すべてを捌き切るコントロールデッキは苦行ともいえる。(実際、捌き切れずに轢き殺されることも多々ある)

しかし、それでも、青マナを立たせて相手の繰り出すカードを、否定するあの瞬間、捌き切って勝つあの快感を求めるコントロール使いも数多い。

というわけで、各種メジャーな打ち消し呪文について述べていこうと思い立った。デッキにどんな打ち消し呪文を入れよう…という方の参考になれば。

《否認/Negate》

クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

「古代のコーは聡明な集団で、手厳しい罠を好んだ。棘針、毒、突然噴き出す炎……私はそのすべてを見てきたし、解除してきた。スカイクレイブに行くつもりなら、私を雇うべきよ。」

文字通り相手の行動を否認する。ただし打ち消せるのは非クリーチャー呪文のみ。とはいえ、PW、エンチャント、アーティファクト等の置き物やインスタント・ソーサリーと、2マナでほとんど打ち消せる。

相手がコントロールであれば八面六臂の活躍を見せるがほとんどがクリーチャーで構成されているようなアグロビートダウンデッキ相手には全く役に立たない。とは言ってもサイド後も合わせて非クリーチャー呪文が皆無というデッキはまずないだろうからどこかで使いどころはある…はず。

特にモダンでは強力なクリーチャーが主力となっているものの、除去しづらい置き物にも厄介なものは多く、それらを種類を問わず打ち消せるのは上等。

まとめて打ち消せるぞ

特に場に残ってじわじわとアドバンテージを稼がれてしまうプレインズウォーカーはコントロールデッキからすれば脅威。メインから触りづらいエンチャント・アーティファクトのなかにはゲームの流れを決定づけてしまうものも多いため、しっかり打ち消していきたい。

汎用性が高く、環境にコントロールデッキが存在できるか否かの基準ともなるため、度々再録されておりイラストも豊富。

フルアート版のイラストではジェイスが描かている。スペルブックのイラストにもジェイスのドアップ。

《本質の散乱/Essence Scatter》

クリーチャー・呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

「確かにインダサのナイトメアは恐ろしい見た目をしているけど、構成要素に分解してみるととても美しいのよ。」
――ケトリアの精霊術士、ネイレ

否認の逆パターン。

否認に比べて打ち消せるのがクリーチャーだけとなっており、汎用性が格段に落ちる。1枚のカードでクリーチャー1体を消しているだけなら除去と同じでは…なんて思ったりもする。

昨今はクリーチャーが強くなってきていて、除去も乏しい環境では活躍する。最近になってようやく除去も追いついてきた感はある。

どのイラストもクリーチャーが散乱していてカオス

《マナ漏出/Mana Leak》

呪文1つを対象とする。それのコントローラーが3を支払わないかぎり、それを打ち消す。

どんな計画でも、敵よりも自分の方がよく知っていると思うことが致命的な欠陥となる。

モダンで最もよく見るであろう打ち消し呪文のひとつ。よくマナリークと呼ばれる。

2マナで3マナ支払わないと打ち消すという制限付きのカウンター。「3マナ払えばいいんじゃん」と侮るなかれ。特にゲームの序盤~中盤にかけては3マナを立たせたまま行動するのは不可能で、基本的に何でも打ち消せる万能カウンターとなる。

また、3マナ払える状況でもあえて撃つことで相手のさらなる行動を制限することも可能。3マナ払わずに打ち消されてくれるならラッキーだし払えばもう1枚のマナ漏出でさらに3マナ要求、なんてイヤらしい動きをしてもいいだろう。

全体的に少ない土地で戦う構成のデッキおよび常にフルタップするような動きのデッキには当然ながら効果的だが、反対に土地がよく伸びるコントロールデッキ相手には腐りやすい。ゲーム序盤に使い切ってしまうのもアリ。

とはいえ、完全に腐ることはほぼなく、対象も無制限のためとにかく使いやすい打ち消し呪文で、常にコントロールデッキには2~3枚採用されている。モダン打ち消しの良心。

後続のマナ要求系打ち消しはこのマナ漏出を基本として2マナ要求、4マナ要求と様々な亜種が作られている。

また、フレーバーテキストも良い。常に肝に銘じておきたい言葉だ。

どんな計画でも、敵よりも自分の方がよく知っていると思うことが致命的な欠陥となる。

初出のストロングホールド版のイラストでは文字通りマナが漏出している。

ジャッジ褒賞版では中国風の人物が描かれている。

《差し戻し/Remand》

呪文1つを対象とし、それを打ち消す。 そうした場合、その呪文をオーナーの手札に戻す。
カードを1枚引く。


まあ、少なくとも腕のひらひらとか呪文のぶつくさとかは印象的だったかな。

筆者が最も愛する打ち消し呪文。リマンド。お菓子のほうはルマンド。

2マナでどんな呪文も打ち消せるが、打ち消した呪文は墓地に行かずに手札に戻ってしまう。その代わりに1ドローがついている。

一般に打ち消し呪文はカードアドバンテージ面では相殺されているようなものだが、差し戻しは1ドローがあるためテンポアドバンテージ、カードアドバンテージが取れるところに大きな優位性がある。

相手ターンにフルタップで出されるクリーチャーなんかを差し戻した時にはたった2マナで1枚引きながらターンをスキップさせているのと同じであり、「Timewalkと同じである」と俗に言われる。

2マナで追加1ターン。激ヤバカードパワー。

もう一度唱えるだけのマナがある場合、差し戻しても再度唱えられてしまうだけだがそれでも1枚引いているのがスゴイ。もう一度唱えることでマナを倍使わせているわけで、そのターンの行動回数を制限できているのだからテンポも取れている。

また、追加コストのある呪文にも効果的で、モダンでよく見る《四肢切断》のファイレクシアマナによる4点のライフ支払いは再度要求されることになるし、《グルマグのアンコウ》などの探査呪文、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の脱出コストなども再要求されるため再び唱えるまでに時間を要することになるだろう。

ちなみにフラッシュバックで墓地から唱えられた呪文は手札に戻らず追放される。とにかく大ぶりな動きをするデッキに相性がよく、モダンでも《栄光をもたらすもの》や《原始のタイタン》、《風景の変容》などに当てられるとGoodだ。

しかし、完全に打ち消すのではなく手札に戻しているだけなので、再度唱えられてしまうまでに解決策を見つけなければならない。特に「通れば負ける」ような強力な呪文に対しては一旦の猶予を得られるが、その隙に勝たなければならない。

また、自分の呪文を対象にしてもおいしい場面もある。相手に打ち消されそうな呪文を自ら差し戻すことで自分は1枚ドローしつつ打ち消しを逃れ、相手は対象不適正になる。《謎めいた命令》なんかは良い標的となる。打ち消し合戦ではよく使う手法。

青赤ストームデッキでは自分の呪文を差し戻すことでストーム数を稼ぐ手法もみられる。

手札が腐っている場合にも相手のエンドに自分の呪文を自分で差し戻しして疑似的なルーティングのようなこともできなくはない。(かなり苦しい状況でないとやらないが…)

ちなみに1枚引く効果は打ち消されない呪文に対して使用した場合でも適用される。《魂の洞窟》や《夏の帳》を相手にした際にもとりあえず1ドローだけは確保できる。忘れがちなので覚えておこう。

打ち消し戦略の天敵

《呪文嵌め/Spell Snare》

点数で見たマナ・コストが2の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

どの文明にも縁起の悪い数字はある。 一人でいるか、群衆の中か、さもなくば後ろから不意打ちされるかって都市に住んでいるなら、最悪の数字は二ってことになる。

2マナの呪文限定の打ち消し。

わずか1マナで2マナを打ち消すのだから大きくテンポをとれる1枚。

特に先手2ターン目の強力な呪文を後手で弾けるのはダイス激弱民には心強い。

モダンが誇る2マナ域の激強カードたち

ゲーム序盤に繰り出される2マナの動きには強力なものが多く、上にあげた以外にもその後の動きを支える軸となるカードが多く、出鼻を挫けるのは大きい。

最近流行りの赤青果敢の2ターン目の《魔力変》や《スプライトのドラゴン》、ウーロ擁するランプデッキの《成長のらせん》、バーンの《ボロスの魔除け》など打ち消せたらうれしいものは多い。

コントロール殺しの《虚空の杯》X=1も打ち消すことができる。

メインサイド合わせて2マナ域が0のデッキというのはほとんど存在しないが、やはり腐るマッチではとことん腐る。(あのグルールオボシュですら《踏み付け》があった!

真に威力を発揮するのは青いコントロールデッキ同士の対決で、《マナ漏出》《差し戻し》《瞬唱の魔導士》と当てどころがたくさんあって、上手く使えば打ち消し合戦を制することができるだろう。また、ジャンドは強力な2マナ域のカードが多いため、特に有効となる。

ちなみに、ディセンションでのイラストは優秀な2マナクリーチャー《番狼》が嵌められていたり、フレーバーテキストも良いが、バトルボンドで再録時には新たなフレーバーテキストになっている。

練習を積めば、この規模の魔法にも熟達の境地が訪れる。

上手く呪文嵌めを使えた時の何とも言えぬ快感は、練習を積んで熟達の境地に達すると得られるのだろう。

《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》

この呪文は打ち消されない。
クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。


「君は何も学ばないな、チャンドラ。今でも君は理解しようとせずに、ただ何かを燃やしているだけだ。」

打ち消されないが付与された《否認》。白マナを要求されるため、青白コントロール以外では使いにくい仕上がりとなっている。打ち消されないため、カウンターの撃ち合いになれば必ず勝てる。絶対に通したくない非クリーチャー呪文に対して使うことができれば良い。特にコンボデッキ相手に優秀。

主に青白コントロールがサイド後に対コントロールミラー用として投入する。若干色拘束が厳しく、《廃墟の地》しかない場面では撃てないこともなくはない。

フレーバーテキストでは因縁のチャンドラを煽っていくスタイルなドビン。

《否定の力/Force of Negation》

あなたのターンでないなら、あなたはこの呪文のマナ・コストを支払うのではなく、あなたの手札から青のカード1枚を追放してもよい。
クリーチャーでない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。これによりその呪文が打ち消されたなら、それをオーナーの墓地に置く代わりに追放する。

「是非にと言うなら試すがいい。」

ついにモダン環境に登場したピッチで撃てるようになった《否認》。レガシー以下で使われる《意志の力》のリメイクといえる。

自分のターンでない限り、手札から青いカード1枚を追放することを代替コストにして0マナで唱えることができる。《意志の力》を彷彿とさせるが、1点のライフの支払いがなくなっており、クリーチャーは打ち消せなくなっている。

また、点数で見たマナコストがもともと3マナで、生撃ちすることも充分可能な軽さに仕上がっているため、実用性がある程度保たれている。

さらにコンボデッキが自らのコンボを妨害から守るために使えないように自分のターンにはピッチで撃てないようになっている。

モダンにおいては1キルコンボや強力な置き物への対処法としてコントロールデッキに採用されている。

モダン環境に存在する様々な押し付けムーブを跳ねのける優秀な打ち消しではあるものの、手札1枚の損失が響くこともある。青いカードを多めにデッキ構築する必要もあるため手放しに4枚採用とはいかない。

自分のターン中にカウンター合戦になると、フルタップでも相手にこのカードを使われてしまうので注意が必要。また手札追放はコストのため《差し戻し》されると再度追放しなくてはならない。ピッチで唱えることは代替コストであり、《瞬唱の魔導士》で墓地からフラッシュバックする際にはピッチで撃つことはできない。

フラッシュバックは代替コストなので重ね掛けできないため

ピッチで撃たないのならただ重たくなった《否認》のため、採用するなら青いカードを合わせて手札にくるように枚数調整をしておこう。(20枚くらいあれば大丈夫らしい)

《大魔導師の魔除け/Archmage's Charm》

以下から1つを選ぶ。
• 呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
• プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚引く。
• 点数で見たマナ・コストが1以下で土地でないパーマネント1つを対象とし、それのコントロールを得る。

モダンホライゾンの魔除け。打ち消し、2ドロー、1コストパーマネントの奪取の3つのモードから選べる3マナトリプルシンボル。

青3シンボルと相当色拘束が強く、本来であれば青のかなり濃いデッキにしか採用されないようなカード。しかし《アーカムの天測儀》によって色の概念がモダンから失われた際には3色、4色のコントロールデッキでも採用されていた。

モダンホライゾンNo.1ぶっ壊れがコモン…

打ち消しモードは《取り消し》相当で、対象に制限がないものの、やや重たく、積極的に使いたいのは2枚ドローモードのほうだろう。3マナ2ドローは及第点であり、打ち消しを構えながら何もなければドローするというのが魔除けの使い勝手の良さ。

1マナ以下のパーマネントのコントロール奪取のモードはモダンでは《霊気の薬瓶》、《精力の護符》をはじめとして数多い。そしてそのどれもが奪われると困るものであるため、他のモードを使うかをよく見極める必要がある。

よく奪われる方々

また、トークンの点数で見たマナコストは0のため、《サメ台風》のトークンや《殴打頭蓋》の細菌トークンなんかも奪えちゃう。

《アーカムの天測儀》が禁止された今となっては色拘束の強さが目立ち、採用枚数も減ってきている。

《否定の契約/Pact of Negation》

呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
あなたの次のアップキープの開始時に、3UUを支払う。そうしないなら、あなたはこのゲームに敗北する。

常に裏切りを予測する者が落胆することはまず無い。

『未来予知』に収録された契約サイクルの青。

0マナで《取り消し》が撃てるが、次の自分のターンのアップキープに5マナ払えなければ敗北してしまう。後からの支払いを考慮しなければ《意志の力》をも上回る強力な打ち消し。序盤には使えず、アップキープに支払いができてもそのターンに大きな隙が生じてしまうため、安易に使うことはできない。

だがコンボデッキにはうってつけ。他のコストが不要で、次のターンを迎える前に勝利できるような即死コンボには妨害への妨害策として採用されることが多い。1キルが可能なネオブランドや、《天使の嗜み》で敗北条件を無視することができるアドグレイス、ターン中に無限マナから《歩行バリスタ》を叩きつけることのできるエターナルデボーテなど。

打ち消された場合にはマナの支払いは必要なくなる。支払い忘れには注意が必要。もっとも、真面目に支払うほうが少ないだろうが…

《呪文貫き/Spell Pierce》

クリーチャーでない呪文1つを対象とする。それのコントローラーが2を支払わないかぎり、それを打ち消す。

「お前の計画には穴がある。」
━━タジームの凪魔道士、ノヤン・ダール

非クリーチャー限定かつ2マナ要求の1マナカウンター。《否認》が軽くなったが不確定になった。
軽いスペルの撃ち合いになりやすいエターナルフォーマットほど活躍するカード。

序盤のハンデス、除去、PWや置物をわずか1マナでカウンターできる点ではテンポを取れるが、ゲーム後半お互いにマナが伸び切ってしまうと意味をなさなくなる。
特にサイド後にはお互いに構え合いになりやすいコントロールミラーでは不要牌になりがち。素早くゲームを決めつつ除去を弾いていけるクロックパーミッションに適したカウンターと言える。

《論理の結び目/Logic Knot》

探査(この呪文を唱える段階であなたがあなたの墓地から追放した各カードは、(1)を支払う。)
呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(X)を支払わないかぎり、それを打ち消す。

未来予知で登場した探査を持った《対抗呪文》。
その強力さ故に禁止となったカードも多い探査呪文だが、このカードはちょうどいいバランスになっている。

ゲーム序盤は探査できるほど墓地が貯まらず、弱い《マナ漏出》程度にしかならないが、後半には貯まった墓地を追放することで対抗呪文となり得る。
序盤強くて後半弱いマナ漏出と対照的な存在となっている。

またその性質上墓地対策に弱く、コントロール≒瞬唱の魔道士の構図から墓地対策がされることもあり、また自らの墓地対策にも噛み合わない。重ね引きしても弱いため青白コントロールや墓地の貯まりやすいジェスカイコントロールがメインに2枚採用する程度になっている。

《払拭/Dispel》

インスタント・呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

「エルドラージは滅ぼさねばならないと言ったはずだ。ウギンは再度封印しようと言うが、その主張には説得力がない。」――ジェイス・ベレレン

1マナでインスタント呪文のみを確定で打ち消すことができる。
たった1マナであらゆるインスタント呪文を打ち消せるため、カウンター合戦に滅法強い。

しかしながらインスタント以外の呪文には何もできず、PWの着地を許してしまったりもする。そのためサイド要員として2枚ほど採用されることが多い。


モダン環境の主要な除去はほとんどがインスタントなため、自分のクリーチャーを除去から守る使い方をするのもいいだろう。
あるいは自分のコンボを妨害から守るために使うのもアリ。

《謎めいた命令/Cryptic Command》

以下から2つを選ぶ。
・呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
・パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
・あなたの対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーをタップする。
・カードを1枚引く。

青といえばこのカード。コントロールの根幹を支える強力な1枚。
4マナと少し重たいが、4つのモードから2つを選べてそのどれもが強力な効果を持っていて、組み合わせることによりさらに強く使えるため、非常に汎用性が高い。青青青のマナシンボルと色拘束も強いが役目に見合ったコストと言える。

打ち消し、パーマネントバウンス、対戦相手のクリーチャーのフルタップ、1枚ドロー。これらをいかに組み合わせて上手く使えるかにプレイヤーの技量があらわれる。ここからはこのクリコマの多様な使い方を紹介する。

・カウンターモード

基本はカードアドバンテージを得られる1ドローを他と組み合わせて使っていくことになる。
打ち消しのモードはゲーム後半にかけて蓋をしていくために他のモードと合わせて使用していく。

・フルタップモード

盤面にクリーチャーが並んでいれば相手のコンバット前にフルタップ&ドローで除去を探しに行くのもいい。
あるいは相手のエンド時にフルタップし、こちらのコンバットを全て通すことでライフを詰めていくことも可能である。

・バウンスモード

エンチャント、アーティファクト、プレインズウォーカー、土地、そしてクリーチャーも当然バウンスできるうえに、自分のパーマネントも対象に取れる。そのため、除去に合わせて自軍をバウンスしてフィズらせることもできる。《瞬唱の魔道士》を戻して墓地の謎めいた命令をさらに再利用するのも凄まじいアドバンテージを得ることができる。

もちろん、ただバウンスするだけではテンポを削いでいるだけになるので、再度キャストされた際には打ち消してやろう。

また、変身したあとの《目覚めた恐怖》、カウンターの貯まった《霊気の薬瓶》、コストを踏み倒して場に出されたものをバウンスするも良し。また土地にも触れるため、コントロール同士の構え合いになると相手のエンド時に相手の土地をバウンスすることで擬似的なランデス&マナ加速として使うこともできる。


《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》の誘発に合わせて山をバウンスして不発に終わらせることも可能。
《イリーシア木立のドライアド》がいる前提でのヴァラクートの誘発や、ちょうど7個の時の《死者の原野》誘発に合わせてバウンスすれば不発に終わる。

また、《永遠の証人》か《神秘の聖域》をバウンスすることで、それ以外のモードを何度も繰り返し使用することができる。前者はエターナルコマンドとして八十岡翔太が使用した。後者は土地を割ることができない限り止めることができず、アグロデッキからすれば一度このループに陥ると抜け出すことができなくなってしまう。

・「そのクリコマ、対象不適正じゃない??」

また、対象を複数取るモードを選んだ場合、いずれかの対象が不適正になってももう一方は解決される。打ち消し&バウンスでバウンス先が除去されても問題なく打ち消しは機能する。
しかし打ち消し&ドローを選んだ際に打ち消す先が不適正になればドローも消えてしまうので注意が必要。先に述べたように差し戻しは謎めいた命令の打ち消しドローの打ち消し先を自ら差し戻すことで不適正にする使い方ができる。向こうはスペルを守りながら1ドロー、こちらは4マナタップしただけきなるわけだ。(当然謎めいた命令自体を差し戻されても強い…ほぼ負ける)

4マナと打ち消し部分だけを見ると非常に重いため、環境が速くなってくると敬遠されるものの、全体的に遅い環境ではそのカードパワーの高さを実感させてくれる。
軽い打ち消しには弱く、カウンター合戦では弱いためクロックパーミッション相手には不利になりやすい。相手がカウンターを構えているようならエンド時に適当なバウンス&ドローで積極的に使っていくのもアリ。

弱い点がその色拘束くらいであり、青の濃いコントロールデッキであればそれも余裕のため、基本的に採用される一枚。いつでも強い。このカードが弱いのではなく、使い方が下手なだけなのだ。

・最後に

《対抗呪文》が刷られてから幾年もの月日が流れ、現在までに何種類もの打ち消し呪文が世に出てきた。中には使われなかったものや、今もなお使われる名カウンターもある。どれも一長一短、使いどころを見極めることが大事で、上手く使えばどんな打ち消しも強いものである。

最近は「打ち消されない」能力持ちもいたり、通れば巻き返せない状況を作り出してしまうパワーカードも多い。(青緑のアイツらだ

それでも、何とか耐えて耐えて、その先にある勝利を掴む、その瞬間の快感のために、これからもこう言い続けるのだろう。

「通りますか?」 

 ──「打ち消します!」

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