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なぜ師匠と慕うのか。

俺の師匠の名は『モチダ・ポ・ソフィ』。
ワタナベエンターテインメントに所属するお笑いコンビ『ツヨシっ!』のキャプテンである。(Wikipedia参照)


師匠の話をするとよく「どうやって弟子入りしたの?」と聞かれるけど、そもそも現代の芸人に弟子入りとか師匠とかいう概念はあまり無い。

NSC(吉本の養成所)ができる以前は売れてる芸人に弟子入りして、付き人を何年か経てから芸人としてデビューするっていうのが当たり前やったらしいけど、今はそんなことせんでも養成所に入れるし、ライブにも自由に出られるのだ。

結局のところ、俺がただ尊敬して師匠って呼んでるだけやから特に弟子入りとかをしたわけではない。

と、こういう説明をしても「なんでモチダさんなの?」って聞かれることも多い。
誤解がないように言っとくと、これを聞くやつもポ師匠のことを舐めてるわけではない。
(ツヨシっ!さんはthe W準決、おもしろ荘最終選考にも何度も行っててすごい先輩であることは間違いないのである。)

単純に女芸人が男芸人を可愛がることは少ないし、男芸人が女芸人を慕うことも少ないからだ。
男女の師弟関係って結構珍しいねんな。

ただ、俺がポ師匠を師匠と慕うようになったのはバイト先が一緒やったから、というのが大きいため、舞台上の先輩に憧れて師匠と呼ぶようになったパターンの人とはまた違う。

俺が上京して間もない頃、新宿のたこ焼き屋でバイトを始め、そこでたまたま働いてたのがポ師匠だった。

当時ワタナベの養成所に入っていた俺は、ワタナベ所属の"プロ"のお笑い芸人であるポ師匠にお笑いの事を色々と聞こうと試んだ。
俺は自分が書いたネタの台本を見てもらい、アドバイスを貰おうとした。

そしてポ師匠に言われたのは

「ワッシ!ネタのこととかわからんけぇ!そういうの聞いてこんで!!!笑」

だった。

逆にかっこいいな。

と思った。

それが一番最初に尊敬したポイントかもしれない。

お笑い始めたての頃ってネタ書いてるやつがすごい!ネタ書いてるやつが絶対!みたいな考え方が強い。

ネタ書いてる方は「おれがネタ書いてるけど?」「おれネタ書けるけど?」みたいな感じをだし、ネタ書いてない方も「おれも一緒に書いてるけど?」「おれもホンマはネタ書けるけど?」と"お笑いわかってます感"をかなり出したがる節がある。

当時の俺ももれなく"お笑いわかってます感"を出していた。

しかしポ師匠は、その無様な"お笑いわかってます感"を「ネタこととかわからんけえ」という言葉で一蹴したのだった。

気取らない、かっこつけないかっこよさ?
このかっこよさ伝わらんかなあ。

かっこいいけどお笑いのことなんにも教えてくれへんのかというとそういうわけではなく、ネタ以外の事についてはめちゃくちゃ教えてくれた。

コンビ仲の相談にも乗ってもらったし、当時19才で世の中のことをなにも知らない俺に、礼儀やマナー、挨拶、20歳になって以降はお酒も教えてもらった。

それまで炭酸が飲めなかった俺は居酒屋でもカシスオレンジかカルーアミルクしか飲めなかったが、ポ師匠に「そんなもん女が飲む酒じゃ!」とアルハラされ、泣きながらハイボールを飲まされたおかげで炭酸を克服し今ではハイボール大好き人間になった。

辛いものも全くと言っていいほど食べられなかったが、バイト先の賄いで激辛うどんを泣きながら食わされ続け、人並みには食べられるようになった。

酷い。

振り返って思ったけど俺はこの人のことを、お笑いの師匠っていうより、人生の師匠として慕ってるのかもしれない。

もちろん他にもいろいろ積み重なって尊敬し師匠と慕うに至ったわけなんですけども、全部書いていくと長くなることがわかってきたので、とりあえずはこれで伝わってほしい気持ちでいっぱいです。

おしまい。

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