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発明とは、ズバリ何か?~「発明塾」が考える「発明とは?」

どうも、楠浦です。

企業内発明塾学生向け発明塾に関する問い合わせにお答えしていて、意外と

発明って何なのか

というところ、つまり、発明の定義というか、発明と言われて思いつくもののイメージが、僕を含めた発明塾&TechnoProducer株式会社(テクノプロデューサー)関係者と多くの方の間でズレがあるなと感じています。ここでは、「発明塾」における「発明とは」「発明の定義」について、お話しします。

発明とは、「自分で課題を決める」こと~問題を与えられるのは学生で終わり

発明塾における「発明とは?」「発明の定義」の一番の特徴は、

期限内に、自身で、解く価値のある問題課題を決めて、それを解くこと

だと思います。多くの方は、発明と言うと

「何か問題(課題)があって、それを解決できる方法を考える」

ことだと思うようですが、発明塾的には、それは非常に狭い範囲での発明だとしています。課題を見つける、あるいは、課題をクリエイトする(創り出す)のが、発明の一番面白いところなので、それを他人に委ねたり、既にあるものとしてしまうのは、発明の一番オモロいところを捨てている可能性があります。

将来、こういう課題が出てくる

と預言して、それに取り組むのがいいですね。そしてもう一つは

「締切り」(デッドライン)

があること。やはり、限られた時間内に合理的な答えを出すことに取り組んで欲しいですね。過去、僕や発明塾の学生さんが投資ファンドに毎日のように発明提案していたころは、3か月が目安でした。1-2週間で出せるほど甘くはないですが、1年も2年もかけて良いわけはないですね。

発明とは、価値が「課題」で決まるもの~解決手段に凝ったり、新しさを求めない

発明とは何か?と聞かれて、これまでにない技術とか、新しい技術だというメージを持つ人は多いと思います。必ずしも間違ってはないのですが、発明塾では

発明の価値は課題で決まる

としており、解決策である「技術」の新しさなどは重視しません。僕も技術屋ですので、新しい技術は好きなのですが、重要なことは、その発明が

いかに、重大な困りごと(課題)を解決するものか

ということです。どれほどの人が困っているか、どれぐらい困っているか、解決がどれぐらい難しいか、そういうことが、発明の価値を決めます。技術については、むしろ古くてもよくて、シンプルな方が良い、と僕は考えています。これは僕の社会人の出発点が、研究者ではなく設計者だったからということもあるでしょう。設計というのは、既にある技術を新たに組み合わせて新たな価値を産みだすところに醍醐味があります。設計者の方はいつも言われると思いますが、「新しい部品や金型は作るな」という世界ですから、、、。

ただ実際のところ、既存の技術で解決できないから課題として残るわけであって、そこに何らかの新しい要素が必要になることが多いのも否めません。なので、僕が経験したナノテクや細胞培養などもそうですが「誰も取り組んだことがない最先端技術の研究」が必要になるわけです。闇雲に新しくすればいいわけではないけれど、実際には何らかの新しい要素が出てくる、ぐらいに考えておけば良いでしょう。

発明とは、専門分野からはみ出すもの~その分野で解決するなら既に解決しているはず

発明とは?と聞かれた多くの人は、専門家の人が頭をひねったり実験したりして産み出すもの、というイメージを持つようです。もちろん、そういうモノもあると思いますが、発明塾ではむしろ

「専門家が思いつかない、死角的なアイデア」

を重視します。ある分野で課題が残っている、あるいは、取り組まれていない課題があるとして、それは「専門家の手に負えないから」「専門家が気づいてないから」なんですよね。なので、専門家ではない人の視点というか、異なる分野の技術や視点であっさり解けたり、将来の課題を掘り起こしたりできることが多くあり、実際、発明塾でもそういう発明がいくつも出ています。

例えば、発明塾事例紹介セミナー動画で紹介している、土壌浄化装置の発明はその典型でしょう。この発明は、当時大学院生で植物学が専門の学生さんと僕で産み出したものです。土木や土壌浄化の専門家の過去発明をみっちり調査した結果、

惜しいところまで行ってるんだけど、専門家には盲点だったんでしょうね

という、いい発明が生まれました。投資ファンドに採択いただき、米国特許も取得されています。最初から専門家の死角を狙いに行く方が、いい発明が出せますし、発明塾では過去、それで何度も良い発明を出しています。

欠点は、専門家の死角を突いているので、専門家に評価されると理解されないか酷評されることですね。提案するときは、この辺が注意点です。これは企業内発明塾でも、良く起こります。外野にいるその分野の専門家が大反対してつぶそうとしたりして、なぜか僕が擁護する(笑)という場面が、度々あります。まぁ、そういうもんだというのが、僕はよくわかっているので驚かないのですが、批判された当人はびっくりしますし、「背中から刺された感」があるようです。トラウマになって、もう提案なんか絶対やらないぞ、ってなる人もいるようです。皆さんも注意しましょうね。

発明とは、ビジネスモデル付きアイデアで「独占的普及」を実現するもの

発明とはどんなものか、と聞かれたら、多くの人は「技術的なもの」を思い浮かべるでしょう。発明塾の定義は

発明とは、ビジネスモデル付きのアイデア

です。世の中に広く行きわたらないと意味がないんですよね、発明って。自己満足で終わっちゃうなら、それは発明ではないかなと。そうなると、ビジネスモデルがとても重要です。無料にしたら普及するかというと、そうでもない。なので、きちんと儲けて、その儲けを使ってガンガン広げていく必要がある、それが発明塾の考え方です。

そのために、「独占的普及」が必要になります。矛盾しているようですが、「普及」させるためには、ある部分は「独占」しないといけないんですよね。この辺は、次でもご紹介する「知財戦略」と密接に関連します。いわゆる「オープン・クローズド戦略」もその一つですね。

発明とは、知財戦略付きであって、特許化できるもの

発明とは、と聞かれて、特許と結びつく人は多いと思いますが、「知財戦略付き」というところまで意識する人は多くないでしょう。上で少しお話しした

「独占的普及」

を実現するには、知財戦略が欠かせないからです。このあたりは、自社の事業領域である無線通信チップや無線通信技術だけでなく、その無線通信技術を使ったアプリケーションまで幅広く開発し、特許化してライセンスすることで最先端の無線通信技術を世界中に素早く普及させることに成功し続けている、クアルコムの知財戦略が参考になるでしょう。発明塾®動画セミナー優れた知財戦略で世界を変えたクアルコムに学ぶ「知財戦略」の基礎 で紹介しています。

なので、発明塾では、自身が発明した技術や自社の技術領域だけにこだわるのではなく、それを広く使ってもらえるようにするために必要な技術や用途についても、発明を行い、権利化し、普及に活用することを推奨しています。

発明とは、自分独りでも絶対やりたいもの

発明とは?と聞かれて、ちょっとした工夫や思いつきのようなものを思い浮かべる人もいるでしょうし、ノーベル賞級の大発明をイメージする人もいるでしょう。

発明塾的には、どちらでもよいのですが、とにかくそれは絶対自分の手で何とかしたいぞ、というものであって欲しいなと思います。これは特に、企業内発明塾参加者の方々に言えることですね。

いつも言っていることですが、自分がやらなければ誰もやらないだろう、というような「死角的」なアイデアを、発明へ、そして企画へと仕上げていくとなると、まずは自分が覚悟を決めてやらない限り本当に誰も動きません。上でお話しした通り、既存の専門家は「背中から刺して」来ますしね(笑)。

何でもかんでも一人でやれ、ということではなく、僕はよく「確信犯」とか「ケツを持つ」という言い方をしますが、最後の一人になっても絶対あきらめないぞ、という人が一人必要なんですね。発案する、発明する、というのはそういうことじゃないかなと思います。他の人はたぶん途中であきらめるだろうし、だからまだ誰もやってない(成功してない)んだけど、私は絶対あきらめないぞ、という人ですね。

発明って、そういうことですよね?

発明とは、他に誰も気づいてない「機会」「チャンス」に取り組むこと

発明とは?と聞かれて、技術的なものを思い浮かべる人が多いかもしれませんね、という話はたびたびしています。でも、発明の価値は課題で決まるから、課題を探すのが発明です。それはいいかえると

「機会」
「チャンス」

ですね。なので、チャンス発見=発明だと僕は思っています。しかも、他の人が気づいていないチャンス(死角)の発見が、よい発明を産みます。みんなが取り組んでいたとしても、微妙にずれていて、「あー、そこだったのか」みたいなこともあります。

僕が、先行例(先行技術)を分析すると、課題がわかるよ、と言っているのはそういうことです。早とちりして

「先行技術を読めば課題がわかるんですね(先行技術に書いてあるんですね)」

と思って取り組む人がいますが、書いてあったらみんなやってますから、書いてるわけないです。むしろ、

「書いてないけど、これが課題だな」

というのを、先行技術から見抜く必要があります。これを、発明塾では、みっちり教えます。現在は、専門の講座として発明塾8週間集中パッケージ」というのを設定しており、だれでもいつでも、どこでも学べます

先行技術って、発明塾的な視点で見ると、

「だいたいズレている」

んですよね。そこに課題がある。それを見つける。まぁこれは、僕が技術屋としてコツコツ積み重ねてきた、技術の目利き法のようなものですね。それを、発明塾8週間集中パッケージでみっちり学べます。

発明とは「死角」を突くもの~まとめ

発明塾における「発明の定義」について、ポイントを列挙しておきます。

● 発明における課題は「自分で探す」
● 発明の価値は「課題」で決まる
● 発明において、技術は新しくなくてよい
● 発明とは、専門分野をはみ出すもの
● 発明とは、ビジネスモデル付きのアイデア
● 発明とは、知財戦略付きのアイデア
● 発明とは、自分一人になってもやりたい企画
● 発明とは、専門家の死角を突いたアイデア
● 発明とは、「チャンス発見」のこと

僕にとっては当たり前になっていたことですが、問い合わせをいただくと、世の中的にはそうでもないんだな、ということが分かってきましたので、備忘録的にまとめました。皆さんが、発明塾について理解を深めていただく一助になれば幸いです。

楠浦 拝

P.S. 企業内発明塾をはじめとした、TechnoProducer株式会社(テクノプロデューサー)の各種サービスについての資料は、以下からダウンロードいただけます。発明塾的な視点で発明に取り組んでみたい方は、ぜひご活用ください。


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