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「態度が悪い」と言われた話

YouTubeのコメント欄に、めずらしく新人さんからのコメントがありました。

Nバクの視聴者さんって、指導者クラスとかリーダークラスの方が多いので、新人さんとか若手の方からのコメントって超レアなんですよね。

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直接面と向かって言われたのか、どういう状況でどんな口調で言われたのかは、このコメントからは詳しくわからないものの、「態度が悪い」っていうのは、結構なインパクトですよね。

言われた方は、傷つくか、凹むか、ムカついてキレるか、という展開が簡単に予想できます。

そもそも態度ってなんなの?


一度「態度」について考えてみたいんですが、言葉の意味を調べると、

物事に対面したときに、その人が感じたり考えたりしたことが、
言葉・​表情・動作などに現れたもの。



とあります。

つまり、私達人間は表面的に現れたアクションに、心の内とか頭の中で考えたことが投影される、出てきちゃう、ということになります。


言われてみれば、「落ち着いた態度」とか、「高圧的な態度」とか、「毅然とした態度」とかね。
態度、という単語を使う時、私達は一人の人間の内側にある考えとか、感情とかをセットで表現しますよね。


要するに、他人の態度を見ただけで、人は相手の中身を想像できてしまう、ということです。


例えば目が泳いでたら、なんかおどおどした態度をしているな、と感じるし、おどおどした態度から、なにか不安な感情を抱いているのか、疑問を感じながらもそれを口にできないのか、みたいに考えます。

堂々とした態度だな、と思ったら、その状況において、自信がありそうだな、余裕を持ってそうだな、と想像できます。

態度って、一人の人間の外側と内側が透けて、一つーつになっている、唯一の部分なんですよね。

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いい態度と悪い態度の違い


今回の「態度が悪い」と言われた話に戻ります。

この言葉・このフレーズを新人に対して言い放つ、先輩自身の態度は果たして正解なのか、という問題に関しても、問題の本質としては同じなのでまとめて片付けていこうと思います。

どうやら「態度」というものには、いい態度と、悪い態度があるんですね。

「社会心理学」とか「認知心理学」という学問で研究されたり定義づけされたりする「態度」について色々調べていくと、いい態度、悪い態度というのがどうやって決まっていくか、ということが詳しく解説されています。

対象に対する「肯定と否定」「好きと嫌い」もしくは「快と不快」という、感情的な成分で、人の態度は決定されます。

要は、悪い態度というのは、否定の感情、キライという感情、不快感で構成されているわけですね。

先輩に「あなたは態度が悪い」と言われた、という出来事をもっともっと細かく、残酷なまでにしっかり言語化してみると、

「あなたは私のこと否定的に見ているよね」
「私のことキライなんだよね」
「私の指導方法が不快なんだよね」
「それが表情とか受け答えに出てしまってるのを、
私はキャッチしてますよ」

ってなります。

これを、ギュギュっと短くしたら、「あなたは態度が悪いよね」になるんですね。恐ろしく言葉が足りなくて、怖いですね。

態度と性格は、まるで違う


ここからが、このお話の肝の部分ですが、態度というのは、その人の性格とかキャラクターではない、ということです。

「態度が悪い」のと「性格が悪い」のは、明確に違います。

今回言われたのは、「あなた性格悪いよね」じゃなくて、「態度が悪いよね」なんです。

「態度が悪い」というのは、一見人格を否定されているように感じますが、全然人格否定じゃないんです。うちに秘めたる感情や考えの否定ですらない。

外に現れてしまった「表情や言動・行動」の否定です。

先輩として、そこそこいい感じに経験も積んで、指導する立場に立つと、後輩の「行動」を正したいときがあります。

ここで「態度が悪い」の一言で済ましてしまうのは、言うまでもなく、ぶっちぎりの間違いなんですよね。



むしろ、後輩の行動を受けて、先輩側が感じている不快感とか否定的な感情、これを思いっきり発言に反映させてしまってるこの先輩も、先輩としての「悪い態度」を発揮してしまっている。

態度が悪い新人に対して、態度が悪い先輩が応戦してる状態です。

じゃんけんでいうと、あいこですね。このままでは一生あいこです。

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態度じゃなくて、言葉で示すべし


今回の結論です。

態度が悪い、って言われちゃったということは、もうすでに
「不快感」という自分の内側にある感情を、行動で示してしまってるわけなので、色々とバレてしまってます。

先輩の指導方法に対して何かしら不快感や嫌悪感を抱くきっかけがあったのなら、態度に出すのではなく、言葉にしてみませんか?というのが、今回の結論、提案です。


その職場の教育方針に対して納得できないことがあるなら、言いやすい誰かに意見を言ってみてもいいかもしれません。

毎日必死に食らいついてるのに「態度が悪い」と言われてどうすればいいのかわからないなら、ボクは、私は、こういう時にこんな考えを持ちます、このタイミングでこんな感情になるんです、と心を開いてしまえばいい。


心を開いてしまえばいい、というより、もう態度に出ているのなら、内側がバレているので、隠すものは特にないと思うんですよね。

ただこれは、「態度が悪い」と言われたことを問題だと感じて、どうにかしたい、と思ってる場合のアドバイスです。

「態度が悪い」と言われたとしても、だってあなたのことキライだもん、仕事がおもしろくないんだもん、態度悪いのはわざとですよ〜、という新人や若手もいると思います。

こういう場合は、そもそも新人側から先輩に歩み寄ろうとする、互いにわかり合おうとする気持ちが皆無なので、先輩側だけがエネルギーを使うしかなくなります。

指導者として何がまずいのか、なぜ不快感を感じられているのかを探り続けて、態度が悪い新人の正解を当てにいかないといけません。

こんなこと、全員がやってくれると思いますか?
相手は、親や先生、恋人や家族じゃない。

新人側も、お給料を貰いながら先輩に指導をもらっている、労働者として対等に雇用されている関係性の中で、一方だけがエネルギーを割き続け、一方だけがカロリー負担すべきかどうか、考えてみてもいいかもしれません。

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リアクションを磨くべき理由


人懐っこい後輩とか、リアクション達者な新人とか、質問力の高い若手がどんどんチャンスを掴んで、スイスイ成長していく、というのは過去の動画でも語ってますが、


社会人としての突破力、推進力って、こういうことなんじゃないかと思います。

Nバクのフォロワーさんは、指導者や先輩側がたくさんいらっしゃるので、敢えてお伝えしたいんですが、

「態度が悪いな」という後輩とか新人を見かけたら、なにか納得できないことがあるんだな、なにか不快に感じた出来事があるんだな、と考えてみるのも一つだと思います。

「態度=感情」である、ということを思い出して、相手に一歩近づいてみると、潮目がガラっと変わるんじゃないか、と私は思っていたりします。

「態度」をコロコロ変えるのは処世術だと思いますか?


最後に補足ですが、「態度=感情である」と、認知心理学や社会心理学で定義されているお話をそのまま綴りましたが、感情と態度を変えられる世渡り上手な人も世の中にはいますよね。

この人たちは、自分の本音とセリフを毎回変えられる、人によって態度を変えられる、自分の手の内と表情を変えられる人ですね。これを完ぺきにできる(と思っている)人も、中にはいると思います。

ただ、AIロボットじゃなくて、私たちは人間なので、調子が悪いときもあれば、気分がのらない日もある。無意識下という、コントロール不良な領域もある。

こういう感情は、確実に態度として漏れ出るんじゃないか、と私は思っています。

人間はどこまでも不完全な生き物で、プログラムされたとおりに動けないし、感情も意識もあります。価値観だってそれぞれ違います。

教育したい人と、その職場の仕事を覚えたい人、というマッチングが済んでいる組み合わせなら、お互いニーズがマッチしている者同士、手を取り合って進んでいきたいもんだなぁ。と。

そんな風に思います。

※2021.6.30 Nラジより抜粋



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