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【紅麹】当該メーカーが製造した商品は”食品”なのか?

この記事でわかること 【一般消費者・食品事業者向け】
1.  当該商品は食品?医薬品?
2. 行政の重大な見落とし(?)
3. HACCPの形骸化(?)
4.果たして真相は?

1. 当該商品は食品?医薬品?

食品と医薬品の法律上の区分については、これまでにもお話してきました。

これに加えて厚生労働省では、””としての区分も定めています。
通称”食薬区分”(正式名称:専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト)があります。ここに収載されていないものは、原則食品とみなすというリストです。
一方、このリストには別添2としてこのような表があります。
 医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト

https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/kenko_shokuhin/ken_syoku/kanshi/seibun.files/20230217_hii.pdf

ここにあるように、紅麹(ベニコウジ)は”医薬品的効能効果を標ぼうしない限り”食品としての扱いになるようです。例えば、紅麹色素であれば、食品として扱うということです。

では当該機能性表示食品はどうでしょうか?商品には機能性表示として
・悪玉コレステロールを下げる
・L/H比を下げる

とあります。
トクホ商品でこのような許可表示として、これらの表現は認められているので、ギリギリセーフという解釈なのでしょう。
ちなみに医薬品的効果効能とは、何らかの疾患に影響がある ということを指します。高コレステロール血症・糖尿病・高血圧は疾患ですが、コレステロール・血糖値・血圧は状態を示す指標であるので、医薬品的効果効能には当たらないという理解のようです。

一方、機能成分であるモナコリンK(ロバスタチン)については、大きな疑問が残ります。
当該メーカーのHPでは、

"紅麹に含まれる有用成分「米紅麹ポリケチド」は、お米を紅麹菌によって発酵させることで作られるポリケチド類の総称で、血中のLDL(悪玉)コレステロールを下げる作用が確認されており、機能性関与成分として用いられることもあります。「米紅麹ポリケチド」には様々な成分が含まれていますが、中でも薬理活性物質モナコリンK(Monacolin K)は、米国で承認されている高コレステロール血症治療薬ロバスタチンと同じ構造を持ち、体内でコレステロールの合成を阻害する働きがあることから、高コレステロール血症の改善といった高脂血症薬と同じ作用を示すことが知られています"
とあり、堂々と医薬品成分が含まれることを認めています。

パンや餅にカビ(真菌類)が生えることは、肌感覚としてお分かりいただけると思います。当該商品の製造工程では、原材料である米を餌として紅麹(カビ)を増殖させ、コレステロール低下作用のあるを生産していることがわかります。すなわち”医薬品”を製造するという意図のもとに商品が設計されているのではないかと疑われます。

2021年7月13日には、アメリカFDAがロバスタチンを含む製品に注意喚起しており、当該製品を購入・使用しないように勧告しています。なぜなら摂取により、筋肉痛や圧痛・虚弱などを伴うミオパチー(筋肉の疾患の総称)が起こり、急性腎不全につながる横紋筋融解症が報告されているためであることが理由です。
https://hfnet.nibiohn.go.jp/alert-info/detail4720/.

これらのことから、腎機能が低下したヒトにおいて、当該食品を摂取することで腎障害が起こることは、予測されていたのではないかと思われます。

2. 行政の重大な見落とし(?)

ロバスタチンはスタチンとして1987年に初めて商業化された強力なコレステロール低下薬(HMGCoA還元酵素阻害剤)です。”青カビが米や麹を餌に増殖したらとロバスタチンができた”という発見の経緯はあるものの、米が原材料に入っているから食品という考え方は違うのではないでしょうか?
一方、既に述べたように、食薬区分とは”医薬品成分が入っている原材料は健康食品には使えないよ”というリストであり、これを定めているのは厚生労働省です。
なぜ当該原料が食薬区分リストに収載されていないのかについては、
全く理解することができません。

3. HACCPの形骸化?

当該メーカーは製造工程中の青かびのコンタミネーション(通称コンタミ)を匂わせています。LC-MS/MS分析でプベルル酸が検出されたという件です。
現在、食品工場ではHACCP(危害分析重要管理点)が導入されており、コンタミしたロットは市場には出荷できないはずです。HACCPは、宇宙食製造時に微生物のコンタミネーションを排除するというのが基本理念であることから、そのチェックは大変厳しく、例えば工場へ立ち入るヒトは納豆(納豆菌は大変強く、すぐにコンタミしてしまうため)を食べることも禁止されるぐらいです。
もし青カビがコンタミしたのであれば、分析ですぐに検出できるはずですし、出荷が見合わせられるはずですが、なぜ今回は見落とされたのでしょうか?それとも、”コンタミした”ということにしたいという意思が働いているのでしょうか?

4.果たして真相は?

以上まとめると、

当該メーカーは医薬品原料を製造し、それを機能性表示食品として販売していたのではないか

との疑いが浮かび上がってきます。この点は、

他の機能性表示食品とは大きく異なる点であり、極めて特殊なケース

であると考えられます。果たして真相はどうなのでしょうか?

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