孫社長が言った ”大概にしてほしい” が示す 本当の意味
*上記はソフトバンクグループの株主総会を紹介するブルームバーグの記事
”大概にしてほしい”
とは、ソフトバンクグループの孫正義社長が定時株主総会で株主の質問に対して答えた言葉。
株主総会の動画は次のリンクからどうぞ。
40分あたりからの2番目の質問に対する回答
次のような質問だった
Q2:株価とNAVに関する考え方について に対する回答
”自社株買い以外で株価が上げられない現実をどのように認識しているのか”
”必要以上にNAVが強調され、それを信じた投資家が高値掴みをしている実態と併せて伺いたい”
という質問。
質問が読まれているのを聞きながら苦笑いする孫社長、
”なかなか厳しいご指摘ですよね”
”よう言うわ、と言いたいところですけども”
”経営者としては悲しい言葉ですね”
メディアやアナリストは絶対に言わない、投資家だから感じる、率直で厳しい質問。(言い過ぎの面はあるが)
このような質問をするなら株主にはならないんじゃないかと思うが、
以前から株主であり、最近のこのような状況に苦言を呈しているのか。
まぁ、この際どうでもいい。
ちなみにこの質問の前の質問も
”自社株買いの時期はいつか”
という”自社株買い”についての質問だった。
その質問に対する回答は、
”自社株買いは重要な選択肢の一つとして私の頭の中では考えているし、経営陣で常に議論している重要テーマの一つだ”
と冷静に回答している。
質問の仕方は違うが、同社に対する注目ポイントは”自社株買い”ということ。
事業のことや、ソフトバンクグループの将来についてとか ではなく、
”自社株買い” という、企業価値を決める要素としてまったく本質的ではない部分のことに注目しているのだ、株主は。
なぜこんな質問をしてしまったのか
適正な表現ではないかもしれませんが、そのような考えの方を孫正義氏が引き寄せたということではないかと思うのです。
人は、価値観の同じ人に近付こうとする、価値観の同じ人同士が引き寄せ合う性質がある。
孫正義氏は説明会のたびにNAVを主張し、NAVと現在の時価総額を比較して安い、と主張する。その結果、そこに価値を感じて投資する投資家が集まってしまった。
孫正義氏をカリスマのように語る人が多いが、彼らが株主であるということを聞いたことがない。そんなに彼を称えるのであれば投資家として応援すればよいのになぁと思うのだが、、、それとこれとは違うのか、または言わないだけで、実は株主なのか(株主であることを言いたくない?)
価格を見る投資家と価値を見る投資家
大きくわけて2つの種類の投資家がいる。
株価を見る投資家
企業価値を見る投資家
株価を見る投資家にとってはその企業が何をやっていようとどうでもいい。企業価値を見る投資家はその企業が何をしているかが大事だ。
ソフトバンクグループは孫正義氏のプレゼンによって、株価を見る投資家を引き寄せてしまった。株主は ”孫正義氏はすごい” といいながら、事業内容ではなく、株価を上げるために何をしてくれるのかにしか興味がない(投資家が多い・・・言い過ぎ失礼)。
企業価値を見る投資家に株主になってもらうために
では、企業価値を見る投資家を集めるのにはどうしたらよいか。
企業は社会課題の解決のために存在している。
と私は考えています。
解決しようとする社会課題が大きければ大きいほど企業の存在意義は大きい。その社会課題解決のために社長がどれだけの覚悟を持っているかを投資家は評価する。投資家はその企業を応援することでしかその課題解決に関われない。だからこそ、長期でその課題解決に寄り添う。短期的な投資よりも長期でその企業に投資することでその社会課題の解決に関わる。
つまり、投資家にとっての関心は、その社会課題であり、その企業がその社会課題をどのように解決するのか、経営者は覚悟を持ってやり遂げようとしているのか、なのである。
翻って、ソフトバンクグループ、どんな社会課題を解決しているのだろう。主張しているのはNAVと現在の株価とのギャップの大きさの主張ばかりで説明をしていない。
”投資会社”、VCのような会社だと主張するのであればそれでもいい。
であれば、主張すべきはNAVだけではなく、自分たちが投資することで大きくなった企業がどう社会課題の解決に貢献しているのか、を主張すべきなのではないかと思うのです。
株主は経営者の鏡
ソフトバンクグループの孫さんが株主総会で株主の質問に対して
”大概にしてほしい”
と答えた、その質問を引き出したのは孫正義氏本人である。
彼がそのような株主を選んだ、ということ。
株主は経営者の鏡である
ということ。
もちろん、プレゼンだけでえらぶほど投資家は愚かではない。
そのほかの様々な経営判断、すべての積み重ねによって、そのような投資家を引き寄せた。株主にした、ということ。
それはきっと、株主だけではなく、ステークホルダーすべてにおいていえることだでしょう。
投資家との対話に失敗してしまったと言わざるを得ない
*追記2022年1月2日 長期投資家と対話について
企業選別の方法
そこから ”企業選別の基準” が見えてきますね。
・その企業が提供する製品・サービスを見ましょう。
感じられるものがあるはず。細部にこだわるのか、コストパフォーマンス重視か。そんな製品・サービスを求める顧客が集まります。そうすれば一層、その傾向は強まるでしょう。自分の価値観に合っているか考えましょう。
・働いている人を見ましょう。
活き活きと笑顔で働いていますか。その人が笑顔なら、きっとその会社で働いている多くの方が笑顔でしょう。
・取引先を見ましょう。
取引先も儲かっていますか。自社だけが儲かればよい、は取引先の負担が大きくなり、その取引先も自社だけ儲かれば、と考える。サプライチェーンがそんな価値観で出来上がります。継続性に限界があるかもしれません。取引先も一緒に儲かりましょう、という意識が継続性につながり強い組織を作ります。
・経営者が付き合っている相手を見ましょう。
社長を支える経営陣メンバーの意識がそのチームのメンバーの意識に波及します。やりがいを持って使命感を持って事業に取り組んでいる経営陣なら組織の末端まで経営者の意識を浸透させることができるでしょう
(見えにくいかもしれませんが、インタビュー記事なSNSなど昔では見えなかったものが見えます)
いろいろな角度からじっくり見てみると、その企業に対する理解が深まり、投資すべきかどうかの判断につながります。
株主になったら、できれば株主総会に出て会社とコミュニケーションをとりましょう。
行動が同じ価値観の人を引き寄せる
孫社長が引き寄せたのではないか、という話をしましたが私たち自身でも意識すべきことがありますね
私たちも自分の一つ一つの言葉、行動が自分の意志として伝わり、価値観のあった人を引き寄せるのです。まずはそれを意識して
・自分は何者か
・何を考えているのか
を積極的に発信し、自分の良心に素直に行動したいと思っている。(このnoteはその一つの手段だと思って書いているのです)
同じ価値観の人が集まれば強い
価値観の違う人を集めようと、自分が正しいと主張したり、説得しようとしたりする必要はない。無理は続かないのです。
自然に集まった価値観が同じ人と行動する。もとからあった自然の重力で集まった集団は強い。集めることに無駄な労力を必要としない。無理がない、集まることを頑張らない集団は継続性がある。
継続性こそ最強の力なり
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(こういうのは頼むのは若干気が引けるのですがw、よろしければぜひ!)
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