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Reproの「沸騰のお話し」基礎編

 前回の「炊飯」の時にも登場したReproにおける「沸騰」のお話し。
そもそもReproって「◯◯℃で△△分加熱」って言うデバイスなんだから「沸騰」じゃなくて「100℃で△△分」なんじゃないの?
「ご説ごもっとも!」と言いたいところなんですが、そうでもないんです。このお話は結構根が深くて分かりにくくて難しい。と言うことで、すでに「Repro lab#4 沸騰のお話し」として1時間のトークライブをしているので、ご興味とお時間がある方はこちらをごらんください。

 このお話し、確かにめんどくさいんですが、Reproを使いこなす上ではとても大切なことなので、上の動画を見る時間がない人のために今回はnoteで記事としてご説明させていただきます。
先に言っておきます。今回はお料理のお話しではありません。ただ皆さんが日頃 料理している時に何も考えずごらんになっているであろう、あの「ぐつぐつ」が本当は一体なんなのか?を改めて考えてみます。

「水の沸点は100℃です。」
事の発端は、あの小学校の理科の実験に始まっています。アルコールランプにビーカーに温度計…  
それが多くの人にとって最初に「水の沸騰」について学んだ原風景でしょう。
いま改めて偉い物理学の先生に「水の沸点は何℃ですか?」と聞くと、ビックリするような答えが返ってきます。
「それは自発核生成のことですか?それなら300℃ぐらいですかねえ。」
えっ!じはつかくせいせい
えっ!300℃
それでは順を追って説明していきますね。

固体・液体・気体と分子の運動

自発核生成とはいわば爆発的沸騰のこと

「物質は温度によって固体液体気体へと変化していきます」と理科の授業で習いました。水だったら「水蒸気」ってことですね。
そして同時に、それは水分子がちょっとだけしか動けない(ブルブルしているだけ)か、少しだけ自由に運動できる状態なのか、それともかなり自由に動ける状態なのか、つまりは氷なのか水なのか水蒸気なのかは、水分子の運動量によって決まるんだよ、とも習ったのをうっすら覚えていますか?
ここで「分子が運動できる」ってことについて空間的に考えてみましょう。
分子がいっぱい運動できる=分子の回りにすきまがいっぱいある
ということになりませんか?誰でも狭い部屋で自由に運動はできませんから、これは直感的に理解できるかと。
で、さっきの「自発核生成」という言葉ですが、これは液体(水)の分子が気体(水蒸気)の分子になれるほど、分子と分子の間にすきまがある時には、自発的に気体になるんだよ、ってことを意味しています。
つまり液体の水が一瞬にして気化してしまう、いわゆる「水蒸気爆発」のような状態のことで、こんな状態になるためには(=そんなに分子間にすきまが空いてしまう)のは、300℃ぐらいの高温である必要があると言うわけです。

いつものブクブクは沸騰核生成です

まあ自発核生成が本来の物理学的な意味での液体が気体になることだとしても、じゃあ 普段私たちが見ている、あの「ブクブク」はどうやってできているのでしょう?
ちなみに、あの沸騰のことは物理学の世界では「沸騰核生成」と呼ばれています。

この沸騰核生成とは、鍋底の目に見えない分子レベルのキズの中に、実は最初から水の気体の分子が入り込んでいたりします。そして鍋底が110℃以上の温度を保っている(つまりは下から連続加熱されている)状態になると、このキズの中にいた水蒸気の分子がきっかけとなったりして気体の分子を作り始める(=連続的に泡が出る)のです。
ここでとっても大事なことを確認します。
お鍋の煮汁を沸騰させるためには、連続加熱されていることが必要です。

黒豆を煮る 沸点近くでも落としぶたなどをしているとほとんどグツグツしません

Reproで目標温度を98℃とか沸点近くに設定しても、きちんとふたをずらしてかけていたり、落としぶたをしたり、ときちんと保温ケアをすると、ほとんどブクブクしておらず、出力インジケーターもほとんど火を止めているか、超弱火になっていることを示しています。

そう、「○○℃で△△分」というReproの精緻な温度管理機能を使うことにより、とても静かにきれいな煮物が作れる反面、それでは「連続加熱」をしないため、沸騰させたい(=煮汁を煮詰めたい)煮物はいつまで経っても煮汁が煮詰まらないということになってしまいます。だからReproでは、

静かに炊くタイプの煮物→温度で管理する「加熱(低)アクション」を使う
煮詰めるタイプの煮物   →「沸騰アクション」を使う

と使い分けることが必要になります。
前回の「炊飯」も基本的には「煮詰めるタイプの煮物」の一種だから「沸騰アクション」を使っていたというわけです。

魯肉(ルーロー)は沸騰アクションで煮詰める

みんな大好き魯肉飯なんて、煮詰めるタイプの代表格です。詳しいレシピは上の「基本の魯肉(ルーロー)」をタップしてください。

上は魯肉(ルーロー)のマルチステップですが、STEP03と04が沸騰ステップ。そこには「0.8」とか「-0.7」とか書かれています。連続加熱するため、温度でなく出力(火力)で制御する「沸騰アクション」は出力=沸騰レベル という数字で強弱をコントロールしています。ちなみに「沸騰レベル0.0」が、ギリギリ微沸騰している状態(小さい泡がふつふつしているのが続いている状態)を示しており、レベルを0.1プラスマイナスすると実際の出力は20W刻みで上下します。

こちらは前回も掲載したグラフです。おさらいですが「沸騰アクション」では、原則97℃を目指して通常の加熱と同様に初期加熱していきます。そして97℃に達すると「一定火力フェーズ」に移行して、指定した「沸騰レベル」の一定火力で加熱をするようになります。

実際には、この97℃という一定火力フェーズに移行する温度を変更する設定とか、単に「煮詰める」以外の沸騰アクションの使い方など、まだまだ説明させていただきたいことは色々あるのですが、今回は「基礎編」ということでここまで。
おさらいすると、大切なことは以下の通り

(1)沸騰アクションは、100℃にすることではなく「一定火力」で加熱するコマンドで、主に「煮詰める系の煮物」に使います。
(2)沸騰アクションの強弱は沸騰レベルの数字でコントロールします。ちなみ0.1=20W単位です。
(3)沸騰アクションは原則97℃までは通常の「加熱(低)アクション」と同様に初期加熱し、97℃に達すると一定火力フェーズに移行します。

今回は、面倒くさいお話しにここまでお付き合いいただきありがとうございました。次回はちゃんとお料理の話しに戻ります。

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