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【解説】営業力: 「顧客の心」に処する技術と心得 - 田坂広志著

私は、本書の著書である田坂広志さんをとても尊敬しています。
東京大学の工学博士、多摩大学の名誉教授という肩書を持ちながら、
目に見えない精神世界についても非常に研究熱心で、仕事だけでなく、
人生についても大きな気付きを与えてくれる方です。

そして、私の所属している会社は、この本のタイトルである「営業」に関するサービスを提供し、私はそのマーケティング領域で働いています。
つまり、私のお客様はこの書籍を読んでいるような、営業に関する領域で働いている方であり、その皆さんにもお役立ちいただけるような内容をまとめていければと思います。

■書籍情報
営業力: 「顧客の心」に処する技術と心得
田坂広志 著

今回は一番重要であるマインド部分にフォーカスしてご紹介します。

営業とは人間力である

営業力とは、何か。
本書では、「人間と組織を売り込む力」と定義されています。
なぜ、「商品やサービスを売り込む力」ではないのか。

これを理解するために、一度すべてを「無」にして考える必要があります。商品もサービスも実績もコネクションもない状態で、どのようにお客様に成約してもらうかを考えるということです。

私も含め多くの方は会社からの恩恵を当たり前だと思っています。
会社のブランドに実績、商品や営業するためのハウスリスト、営業マニュアルに集客にかける予算などなど、これらは会社から与えられているものであり、自分の実力やスキルとはある意味関係がありません。
この恩恵がなかった場合に、どのようにすべきかを考えてることが重要だと説明されています。

この、何もかも削ぎ落とした状態で残るもの、
それが「熱意」だと言うのです。

熱意をもってお客様と対応した場合、「商品やサービスが売れた」のではなく、「自分が売れた」と感じるようになり、そこから「人間を磨く」という大切さに気づくことが出来るというのです

この熱意については、絶対達成である横山先生のYoutubeや書籍をあわせて読むことをオススメします。

営業とはアートである

そして、営業とはまず「顧客の信頼を得る」ことから始まります。
つまり、「この人なら大丈夫だ」と思ってもらうことから始まります。

ここで質問させてください。
以下の図をみて、皆さんならどちらから購入したいと思いますか?

友人とは金銭的トラブルを避けるため取引しない、という例を除き、ほとんどの人は友人Bから購入するはずです。これがAさんがそれ相応に値引きをしたとしても、同じ結果だと思います。※少なくとも私はそのようにします。

つまり、サービスや商品の優劣や価格の前に、商談をする「人間」によって意思決定が行われている可能性があるいうことです。
これは、WEBなどで商品についての情報理解が事前にあるお客様と対応する場合でも同じことがいえます。

だからこそ、顧客と信頼関係を築き、押し売りにならない「顧客中心」の営業スタイル(商談)を実施しなければなりません。
そのために、「商談の場」を「売る」ことから「体験してもらう」という認識に改める必要があると著者は説明しています。
商談の場では、成約してもらった後に、どのような素晴らしい未来が待っているかを疑似体験してもらう場として機能させることが大切です。

この疑似体験を行うため、「技術」だけでなく敬意や共感などの「心得」を身につけることをオススメされています。
これらが結びついた時、商談はアートになると説明されています。

営業におけるアートとは、お客様の心を掴み、お客様の心を開き、お客様の心を捉え、これからのお客様のビジネスというキャンバスに、色彩豊かな絵を描くことが求められます。

営業とは科学である

「営業を科学する」という言葉は、ここ数年でデジタルが発達し、数多くのデータを取得できるようになったことも寄与して、世の中に浸透してきているように感じます。

数年前までは、勘と個人のスキルに頼っていた営業は、現在はデータ(数値)をもとに改善できる時代になってきました。
言い換えると、数年前は精神論だけで営業が実施されていた訳ではなく、
現代ほどデータを取得できる環境が世の中になかったのです。


これは、数年前にスマートフォンが爆発的に普及し、多くの人が過去には出来なかった「世界中の人と繋がる」ことがSNSなどを通じて手軽に出来るようになったのと同様、ビジネスの世界にも同じような波が訪れてきています。

そして、科学(データ)の素晴らしいところは「再現性がある」ということです。この「科学的な営業」については、データサイエンティストである松本健太郎氏が詳しく説明されていますので以下を読んでいただけるとその重要性に気づくことができるはずです。

「科学的な営業」とは何か、「エセ科学な営業」は存在するか
https://comemo.nikkei.com/n/nc7f13cbce108

松本健太郎氏のnote

また、セレブリックスの今井さんのsales isもこの科学的な営業のアプローチを学ぶのにおすすめです。

これらをまとめると、営業を科学することは以下のような感じです。

まとめ

本書の大切なマインドに関する部分だけまとめてみました。
これまでの内容を振り返ると、営業力とは、「営業とは人間力を基盤としてアートとサイエンスをもって、顧客の未来を見通す力」とも言えそうです。

お客様がまだ気づいていない課題を、言葉では表現できない空気や雰囲気を含んだ暗黙知を汲み取り、論理性や科学的論拠をもってお客様に理解・納得してもらうことが重要だと感じます

本書については、上記の考え方に基づき、営業に対する心得を説きながら、お客様目線で商品を購入するための細部にわたる技術(テクニック)や考え方を実体験をもとに語られています。

このnoteでは触れていませんが、例えば、以下のような技術(テクニック)が学べます。※目次より一部抜粋

Kindle Unlimited会員であれば無料で読むことができるので、お時間空いた時にぜひお読みになってください。

次回は、このアートとサイエンスをテーマしている書籍、「美意識」が求めれられる時代を生きる - 世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?を解説していきたいと思います。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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