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立食パーティーでは話しかけるより立ち去る方が難しい

世の中、立食パーティが苦手という人はそこそこ多いのではないのだろうか。

私もその一人である。気まずい思いをしてしまうのが想像できるからだ。

そしてその理由はうまく話しかけられない気まずさ、ではなく、話を切り上げて立ち去る時の気まずさ、なのである。

立食パーティにも色々あるが、ここでは同業種の交流会のようなもので、知り合いが一人もいない参加者がそれなりの割合がいるケースを考えてみたい。

すでに知り合い同士の人がたくさんいて、内輪ノリのような空気が醸成されている立食パーティは話しかけることの難易度も高いのでここでは考えない。

このような立食パーティで知らない人に話しかけることについて、私はそう難しいとは感じていない。

みんな交流したいと思ってその場に来ているわけだし、笑顔で挨拶をすれば悪い反応が返ってくることは少なくないように思う。

話す内容も最初の方は自己紹介やらここに来たきっかけだったり、ある程度ありきたりもので問題ないのだから。

辛くなってくるのはある程度話が進んできて、話のネタも尽きてきた頃合いである。

そろそろ話を切り上げて別の参加者との会話に移っても良いのではないか、という思考が頭をかすめてくる。話相手もなんとなく同じことを思っているようで、なんとなくそわそわしているように感じる。

そうすると目の前の相手の話に身が入らなくなり話も盛り下がる。空気も少し悪くなったところで、早く話を切り上げねばと焦り悪循環になってしまう。

それから話している話のきりが良いところを探して半ば強引に「ありがとうございました」と別れるわけではある。

後半話に身が入らないあたりで、自分はなんて失礼な奴なんだ、と自己嫌悪に陥るおまけ付きである。

相手がちょっとした界隈の有名人だった場合はさらに具合が悪い。

有名人なだけあって気さくな方が多く、最初の方は話が弾む。しかししばらく経つと相手から他にも話したい人がいそうな空気が漂ってくる。話も尽きてきたころなのでここで爽やかに話を切り上げれば良いのだが、間の悪さの埋めたさからなのか、私はこういう時に限って質問をさらに重ねてしまう。

最後には相手が申し訳なさそうに他にも挨拶したい方がいるのでと言って立ち去っていく。こちらも笑顔で見送るわけだが、心の中ではもっといい切り上げ方がなかったのかと考えてしまうのだ。

立食パーティは参加者を束縛しないのが暗黙のルールである。話を盛り上げるのと同じくらい、気持ちよく「解放」するのも高等なテクニックが必要なように感じている。

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