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従業員の欠員率が「5%以上」の企業半数超え「宿泊業」「建設業」「情報通信業」で人手不足が浮き彫りに

2023.12.25

東京商工リサーチ(TSR)は、12月に実施したアンケート調査で約7割(71.1%)の企業が人手不足と回答し、このうち欠員率5%以上の企業は51.4%と半数に達したことを明らかにした。欠員率は、常用労働者数に対する求人数の割合で、数値が高いほど人手不足感が高いことを示す。コロナ禍から経済活動の本格化で、あらゆる産業で深刻な人手不足が広がっているようだ。

※本調査は、2023年12月1日~11日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答3669社を集計、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
※欠員率=(現在募集中の従業員数÷現在の従業員数)×100。従業員数には、1カ月以上の期間を定めて雇用する非正規雇用者を含む。

現在の人手の欠員率「5%以上」が半数

現在の人手の欠員率「5%以上」が半数

本調査結果によれば、現在の人手の欠員率について最も多い回答は「5%以上」で51.4%(3669社中1886社)だった。「5%未満」では19.7%(724社)で、人手不足と考える企業は、全体の7割(71.1%)を占めた。一方「不足していない」は28.8%(3669社中1059社)だった。

規模別では「5%以上」は大企業50.1%(369社中185社)、中小企業51.5%(3300社中1701社)で、ともに半数を占めた。また「不足していない」は、大企業が18.1%(67社)に対し、中小企業が30.0%(992社)で、中小企業が大企業を11.9ポイント上回った。

産業別欠員率「5%以上」最高は農・林・漁・鉱業で75.0%

産業別欠員率「5%以上」最高は農・林・漁・鉱業で75.0%

欠員率が「5%以上」で、最も構成比が高い産業は農・林・漁・鉱業で75.0%(16社中、12社)だった。次いで、2024年問題が迫る建設業が71.3%(517社中、369社)、DX化の推進などで需要が旺盛な情報通信業が66.9%(221社中、148社)で続く。

「5%以上」と「5%未満」を合わせた構成比が7割を超える産業は、建設業(87.0%)、農・林・漁・鉱業(81.2%)、情報通信業(76.9%)、運輸業(75.7%)、サービス業他(71.2%)の5産業だった。

一方「不足していない」の最高は、不動産業で47.9%(73社中、35社)とほぼ半数を占めた。次いで、金融・保険業が42.8%(28社中、12社)で続く。

業種別欠員率「5%以上」最高は宿泊業で85.0%

業種別欠員率「5%以上」最高は宿泊業で85.0%

欠員率が「5%以上」の構成比を業種別(中分類、回答母数10以上)で見ると、最高が宿泊業で85.0%と唯一、8割を超えた。このほか、2位の職別工事業72.7%、3位の設備工事業71.6%、5位の総合工事業70.4%と、建設業が目立つ。

「不足していない」の最高は、木材・木製品製造業で61.9%。次いで、印刷・同関連業が57.3%で高い。印刷・同関連業は、ペーパーレス化・デジタル化に伴う需要減退などで市場の縮小が続く。「不足していない」の構成比が5割を超えた業種は、8業種だった。

欠員率「5%以上」でも賃上げが「2023年を超えそう」1割にとどまる

欠員率「5%以上」でも賃上げが「2023年を超えそう」1割にとどまる

欠員率が「5%以上」の賃上げは、最高が「2023年と同程度」の54.5%(1792社中、977社)だった。「2023年を超えそう」と回答した企業は13.7%(246社)で、1割にとどまった。

10産業のうち「2023年を超えそう」と回答した産業の最高は、情報通信業で23.0%(139社中、32社)と唯一、2割を超えた。以下、2024年問題で人手不足が深刻化している運輸業が16.6%(66社中、11社)で続く。

一方、欠員率が5%以上にも関わらず、「賃上げできそうにない」企業の構成比は、最高は不動産業の26.9%(26社中、7社)で突出。「賃上げできそうにない」が「2023年を超えそう」を上回った産業は、農・林・漁・鉱業、建設業、不動産業の3産業だった。

まとめ

東京商工リサーチは本調査結果を受けて「人手不足が深刻さを増している一方で人手が『不足していない』と回答した割合が、8業種で5割を超えた。構造不況の業界で、慢性的に人手の過剰感が出ている業種が多い。こうした業種から人手不足の深刻な業種への人材流動化をどのように促すかが重要なテーマになっている」としている。人手不足の企業においては人材獲得と人材定着の両面から取り組んでいく必要があるだろう。オフィスのミカタでは人材定着施策によるメリットやおすすめツールを紹介している。併せて参考にしていただきたい。

出典元:従業員の欠員率「5%以上」 企業の51.4%と半数超え 「宿泊業」「建設業」「情報通信業」で人手不足が浮き彫り(株式会社東京商工リサーチ)

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