格助詞
概要
ここでは、格助詞の種類と意味について学ぼう。格助詞は、体言や連体形に接続する。
まずは主な格助詞の一覧から。
が・の
意味がたくさんあり、「が」を「の」と訳したり、「の」を「が」と訳したりするので、ややこしい。下の例文でそれぞれの意味をおさえよう。現代語からイメージできるものも多い。
主格
前にある語が主語であることを表し、「…が」と訳す。
- 例文:雪の降りたるは言ふべきにもあらず。(枕草子)
- 訳文:雪が降っている朝はいうまでもなく趣深い。
同格
前にある語と後にある語が同じであることを表し、「…で」と訳す。
- 例文:白き鳥の、嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる(伊勢物語)
- 訳文:白い鳥で、くちばしと脚が赤い、鴫(しぎ)ほどの大きさの(鳥)
連体格
前にある語が後にある体言を修飾し、「…の」と訳す。
- 例文:我が前を馬に乗りながら通る。(俊頼髄脳)
- 訳文:私の前を馬に乗ったまま通った。
比喩
前にある語が後にある語を修飾し、「…のように」と訳す。格助詞「が」にはこの用法は無い。
- 例文:千年をすぐすとも、一夜の夢の心地こそせめ。(徒然草)
- 訳文:たとえ千年を過ごしても、一夜の夢のような気持ちがするだろう。
※1個目の「の」は連体格。
※「こそ〜已然形」の係り結びの法則が効いている。「め」は推量の助動詞「む」の已然形。
準体言
体言の代用となる語であることを表し、「…のもの」と訳す(助詞だけで体言になってしまう感じ)。「準体格」とも言う。
- 例文:この歌はある人のいはく、大友の黒主がなり。(古今和歌集)
- 訳文:この歌はある人が言うには、大友黒主が詠んだ歌である。
※1個目の「の」は主格。
より
上の「が・の」に比べると優先度は下がるものの、現代語からイメージできないものを中心に押さえておこう。
起点
「…から」と訳す。
- 例文:暁より雨降れば、(土佐日記)
- 訳文:明け方から雨が降っているので、
通過点
「…を通って」と訳す。
- 例文:東面の小門より入らせたまへ。(平家物語)
- 訳文:東面の小門を通ってお入り下さい。
比較の基準
「…より」と訳す。
- 例文:常よりも思し出づること多くて、(源氏物語)
- 訳文:普段よりも思い出すことが多くて、
手段
「…で」と訳す。
- 例文:ただひとり、徒歩より詣でけり。(徒然草)
- 訳文:たった一人、徒歩でお参りに行った。
即時
「…やいなや」「…とすぐに」と訳す。
- 例文:名を聞くより、やがて面影は推し量らるる心地するを、(徒然草)
- 訳文:名を聞くとすぐに、顔つきは見当をつけられるような気がするが、
補足
他の格助詞としては、を・に・へ・と・から・にて・して、などがある。
まとめ表はこちら。
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