勇敢なるスコットランド
タイトルのScotland the Brave(勇敢なるスコットランド) という曲をご存知の方は多いかと存じます。
申すまでもなく、スコットランド国歌として扱われている曲であり、カナダのブリティッシュコロンビア連隊の公式行進曲でもあります。
私がこの曲を初めて聴いたのは、中学か高校生の頃に観た映画の中でした。
全寮制の中学高校に入学し、両親が遠隔地にいたため週末に帰宅できず、乏しい小遣いをやりくりして3本300円で観ることのできる名画座と呼ばれた映画館によく出入りしていたものでした。その中の一本で、この曲を初めて聴いたのです。
“Devil’s Brigade” というアメリカ映画で、邦題は何とも下手くそな訳で『コマンド戦略』というタイトルでした。
ちなみに、洋画の邦題はとんでもない誤訳をしていることがあります。
有名な誤訳は『戦略空軍命令』という映画ですが、原題は” Strategic Air Commad” なのです。戦略航空軍を作る時のエピソードが描かれているのですがcommandに部隊という意味があるのを知らず、Commad=命令としか訳すことのできなかった翻訳家のミスです。
Devil’s Brigade も「悪魔の旅団」と訳せば分かりやすいのですが、コマンド戦略では何の意味なのかさっぱり分かりません。
それはともかく、この映画では連合軍がノルウェーにあるドイツ軍基地を攻略するために米軍とカナダ軍の連合部隊を作って戦う様子が描かれています。
そこに登場するのが、ウィリアム・ホールデン扮する米陸軍大佐が指揮するならず者ばかりで編成された部隊と、統率がとれ、規律がしっかりとしたカナダ軍部隊なのです。
この「勇敢なるスコットランド」という曲が、カナダ軍が到着するシーンで使われており、バグパイプの軍楽隊を先頭にカナダ陸軍の兵士が行進してくるのですが、そこでバグパイプが奏でているのがこの曲でした。YouTubeでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=g1awwAgU_t8
当時の私はその曲のことを知らず、単調だけどいい曲だなと思った程度でした。
後年、海上自衛隊に入隊し、遠洋航海で英国を訪れたことがあります。
僅かな時間を使ってロンドンに出て、トラファルガー広場の近くを歩いている時、またこのバグパイプの曲が聞こえてきたのです。
隣に立って見ていたおばあさんの分かりにくい英語の説明のよると、どこかへ派遣されていた連隊が帰還し、その凱旋パレードなのだそうです。
キルトを身に付けた派手な衣装の音楽隊の後ろにライフルを担いだ連隊の兵士たちが続いています。
私が腰を抜かさんばかりの驚いたのは、彼らの身の丈の高さでした。まるで森が動いてきたような大きさなのです。
こんな国相手に戦争を仕掛けちゃいかんとつくづく思ったものでした。
その時、隣で見物しているおばあさんがバグパイプに合わせて一生懸命に歌っていたので、なんという曲なのかを尋ねてみました。
すると彼女は、そんなことも知らずにこの国にいるのかという顔をして”Scotland the Brave”と教えてくれたのです。
何処の訛りかわからないのですが、the Brave を聞き取るのに3回くらい聞き直した記憶があります。これ以上聞いたら怒られそうという時にやっとthe Brave と言っていることが分かった次第です。
私がトラファルガー広場で驚愕したシーンに近いものもYouTubeでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=4TE9my5sqnE
この曲には後から歌詞が付けられています。それもなかなか味わい深いものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=g-JF5bPJZqk
歌詞にはいくつかのバージョンがあるようで、私が好きなのは次のものです。
https://www.youtube.com/watch?v=GowMI4wvmU4
多分、この時の影響がかなり大きいのだと思いますが、スコットランドやアイルランドの音楽に大変興味があります。
もともと私が中学時代はビートルズ全盛でイギリスの音楽に関心があったのは自然なのですが、それから一歩踏み込んでスコットランドやアイルランドの戦慄がとても心地よいのです。
Celtic Woman やCeltic Thunderなどのライブを一度観に行きたいと熱望しています。
ご存じない方はYouTubeで検索すると沢山出てきます。是非一度お聴きください。