【留学中の日本人との付き合い方】留学先で日本人とつるむメリットとデメリット、適切な付き合い方

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留学は多くの人にとって一生に一度の経験です。そんな留学中に、他の日本人とどの程度関わっていくべきか、多くの人が考える課題となっています。この記事では、留学先で日本人と関わるメリットとデメリットを検討し、適切な関わり方を提案します。

目次

留学中に日本人とつるむのは良いのか、悪いのか

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結論から言うと、留学中に日本人とつるむのが良いか悪いかどうかは、留学の目的や状況によります。自身の留学の目的や置かれた状況を理解した上で、留学中に日本人とつるむメリットとデメリットを比較し、自身に合った日本人との関わり方を探るのが賢明だと言えます。

意外と多い、留学先の日本人

海外に留学すると、現地の人だけに囲まれた生活を想像する人もいるかと思いますが、留学先で日本人と出会うことは全く珍しくありません。

独立行政法人日本学生支援機構の「2021(令和3)年度日本人学生留学状況調査」と、外務省の「海外在留邦人数調査統計(令和4年(2022年)10月1日現在)」によると、新型コロナウイルスで一時的な減少を見せたものの、日本人留学生と日本の領土外に在留する邦人(日本人)の数は統計開始以降、増加傾向にあるとされています。特に、留学先や移住先として人気なアメリカ、イギリス、オーストラリア、そしてそれらの国々の有名な都市にはそれだけ日本人が多いのが現状です。よほどマイナーな国や都市に留学しない限り、日本人と出会うのは避けられないと言えます。

留学中に日本人とつるむメリット

留学中に日本人と関わることは、それなりのメリットも存在します。

1. 心地が良い留学生活を送れる

留学中に日本人とつるむ一番のメリットは、その心地の良さと楽しさ、精神的な支えとなる部分が大きいです。不慣れな海外生活において、文化や言語の違いから生じるストレスやホームシックを感じることがあります。このような時、同じ背景を持つ日本人との交流は、文化や言葉の壁を感じることなく、気軽に気持ちを共有できる場となります。共通の価値観や文化を共有しているため、何か悩みを相談した際に理解を得やすく、一時的な逃げ場としてだけでなく、留学中の良きパートナーとしての役割となる場合もあります。

2. 海外の日本人コミュニティでしか得られない情報、出会いがある

日本人のコミュニティには、学業、生活、キャリアに関することなど、日本人ならではの情報が集まります。これらの情報は、現地の人たちや他国籍の友人からはなかなか得られないこともあります。

  • 学業:留学先の先輩や友人から、授業や課題に関するアドバイスが得られる。
    • 例えば、「〇〇教授の試験はこのウェブサイトを参考にすれば良い」など
  • 生活:現地の生活のコツやオススメの場所を知ることができる。
    • 例えば、「〇〇駅に日系のスーパーがある」「〇〇寮は汚いからやめた方がいい」など
  • キャリア:留学先の求人情報やキャリアアドバイスが得られる、ロールモデルやメンターとなり得る人や出会える。
    • 例えば、「〇〇社のソフトウェアエンジニアとして〇〇さんが働いているから紹介してあげる」など

上記以外にも、ボストンキャリアフォーラムなど日本人留学生だけが経験するイベントに関する情報を得る、一緒に参加する仲間を得るといったことも頻繁に行われます。

3. より絆の深い友人ができる

海外において、日本人はマイノリティ(社会的少数者)としての立場にあります。一般的に、マイノリティは外部からの圧力や差別に対抗するために、内部の結束を強めることがあると言われています。この現象は、日本人留学生間においても明らかに見受けられ、留学中に出会った日本人との友情は、日本国内での友情よりも深い絆で結ばれることがよくあります。同じ背景や価値観を持つ者同士が、留学という特別な環境下で共に過ごす時間は、互いの経験や感情を深く共有しやすいためです。特に、留学生活の中で直面する困難や課題を一緒に乗り越えたり、旅行やパーティなど現地での楽しいイベントを共に楽しむことは、関係性をさらに深める要因となります。このような経験を通して、留学中に得られる日本人の友人は、時に生涯の友となることも少なくありません。

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留学中に日本人とつるむデメリット

留学中に日本人とつるむことは多くのメリットがある一方で、デメリットも多く存在します。

1. 現地の友人や他国籍の友人が出来にくい

留学中に日本人と多く時間を過ごしてしまうと、当然ながら現地の人や他国籍の人と関わる時間が減り、仲を深める機会も逃してしまいます。人間の行動や意思決定には、多様な心理的メカニズムやバイアスが影響していますが、その中でも「現状維持バイアス」(status quo bias)という概念があります。これは人間が既存の状況や選択肢を好む傾向があることを示しています。留学中に、日本人の友人や日本人コミュニティの居心地の良さに甘えてしまうと、このバイアスが強まり、新しい環境や人々との関わりを避ける傾向が強くなるかもしれません。結果的に、留学の醍醐味である現地の友人や多国籍の友人を作ることが出来なくなってしまいます。現地の文化を深く理解したり、多国籍の友人との交流を楽しむためには、意識的に異文化交流の機会を増やす努力が必要です。

2. 語学(英語)が上達しにくい

留学中に日本人との交流に時間を費やしすぎると、英語や留学先の言語の使用時間が短くなってしまいます。言語の習得は、それを頻繁に使うことで実践的なスキルを身につけるのが最も効果的で、継続的な実践が不可欠です。特に、留学中にネイティブスピーカーの友人と会話を経験することで、辞書や単語帳には載っていないスラングや日常会話のニュアンスを実際に学ぶことができます。加えて、実際の生活の中での会話は、リスニングや発音、アクセントの習得にも役立ちます。留学中に日本人同士のコミュニケーションが中心となってしまうと、上達したい言語の浸水が限られ、自然な会話の流れや表現、そして地域独自の言い回しや文化を学ぶ機会が損なわれてしまいます。

3. 現地の情報が得にくい

現地の文化や言語を理解した上で、現地のネットワークに深く入り込むことで得られる情報があります。例えば、アメリカには「Fraternity」や「Sorority」と呼ばれる大学の社交クラブや、地域に根ざした様々なコミュニティイベントが存在します。これらのグループやイベントは、主に地元の住民や学生が中心となって活動しており、外部の人々にはなかなか知られていない情報や独自の文化が存在します。留学中に日本人の友人や知人とのみ交流を深めてしまうと、このような現地の情報や文化に触れる機会が減少してしまいます。また、現地の人々との交流を通じて、学業や日常生活、キャリアに関する役立つ情報から、地域の隠れた名所や美味しいレストランまで幅広い情報を得ることができます。前述した通り、日本人のコミュニティ内で情報が循環することもあるでしょうが、それは限られた情報であり、真の現地情報は、現地の人々との交流を通じて得られるものです。

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留学の目的と状況を確認する

留学中に日本人とつるむのは良いのか、悪いのかは、留学の目的や状況(留学期間、語学力など)によります。留学の目的を達成するためにも、留学中に関わる比率パターンを理解した上で、自分に合ったバランスを取ることが必要です。

留学中に関わる比率パターン:

留学中に関わる人の比率のパターンは、以下のようになります。

  • A 日本人とだけ関わる
  • B 現地人もしくは他国籍の人と日本人 どちらも関わるが、日本人といる時間が長い
  • C 現地人もしくは他国籍の人と日本人の関わる時間が同じ
  • D 現地人もしくは他国籍の人と日本人どちらも関わるが、現地人もしくは他国籍の人といる時間が長い
  • E 現地人もしくは他国籍の人とだけ関わる

留学中にAの状態になるのは考えにくいですが、Eの状態になるのも難しいのが現実です。

留学の目的の例

  • 語学力(英語力)を向上させる
  • 異文化交流をして視野を広げる
  • 海外で活躍する日本人から学びを得る

例えば、留学の目的が①語学力(英語力)を向上させるであるのならば、現地の友人(ネイティブスピーカー)との関わりを重視するべきです。②異文交流をして視野を広げるであるのならば、他国籍の友人(留学先出身ではない、日本人以外の留学生など)との関わりを重視するべきです。③海外で活躍する日本人から学びを得るであるならば、日本人コミュニティで多くの時間を過ごしても問題ないかも知れません。

また、留学の期間や語学力によっても、関わるべき友人の層やバランスが変わるでしょう。留学の期間が短ければ短いほど、現地の友人や他国籍の友人との関わる時間を大切にすべきですし、語学力が低ければ低いほど、(日本人とつるみたい気持ちをグッと抑えて)現地の友人や他国籍の友人と話す時間を増やすべきです。

留学中のおける目的意識の重要性

言語習得、異文化体験、学問の探求、キャリアアップなど、留学の目的は人によって様々です。留学中に自身の目的を忘れ、過度に日本人との交流時間に重きを置くと、一部の留学生は「劣等感」や「何のために留学に来たのか」という焦りを感じることがあります。このような感情は、留学中に目の前の快適さにとらわれてしまった結果、自らが掲げた当初の目的とのギャップを意識するようになったことから生じるものです。例えば、語学力を上げるために留学を選んだのに、日本人との交流が中心となり、目標の言語を十分に上達しなかった場合、帰国後にその成果が得られなかったと感じるリスクがあります。留学は自己成長の機会であり、その目的をしっかりと意識しながら日常を過ごすことが、最終的には留学生活やその先の人生をより豊かにする鍵となります。忙しい留学生活の中でも、定期的に自己反省の時間を設けて、留学の目的を見直すことで、より充実した留学生活を送ることができます。

留学先で日本人と上手く付き合う方法

語学の習得を主目的とする学生は、日本人と関わる機会や日本語を頻繁に使う環境を制限したいと感じるかもしれません。前述の通り、主要な留学先で完全に日本人から距離を取るのは簡単ではありません。しかし、英語を効果的に学びつつ、日本人とも良好な関係を築くための方法を探ることは可能です。

  1. 最初に自分のスタンスを宣言する
    • 明確に自分の留学の目的や希望する交友関係を伝えることで、誤解を防ぐことができます。相手には冷たいと思われるかもしれませんが、何も言わずに距離を取るよりよっぽど丁寧で効果的です。
  2. 日本人と会って日本語を話しても良い頻度を決める
    • 月に1回、週に1回など、留学の目的や状況に合った定期的な交流の頻度を設定し、それを守ることで、語学習得と日本人の友達作りとのバランスを保つことができます。
  3. 日本人と話す時も、現地の言語(英語)を使う
    • 日本人同士でも現地の言語(英語)でのコミュニケーションを取ることで、日本人の友人と距離を取ることなく留学生活を送ることができます。
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まとめ

留学中の日本人との付き合い方は、留学の目的や状況によって変わるものです。大切なのは、自分の目的を明確に持ち、その目的に合わせて関わり方を調整することです。留学は限られた時間の中での貴重な経験です。日本人との関わり方を適切に調整しつつ、充実した留学生活を送りましょう。

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この記事を書いた人

アメリカのシアトルに留学中。青山学院大学在学中に、TikTokとMicrosoftの日本法人での長期インターンを経験。大学4年時に、シアトルのUniversity of Washingtonに留学。現在はアメリカのスタートアップに勤務。

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