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「称賛する」ことによって何が起きるのか?

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カテゴリ:
  • コミュニケーション
  • 組織マネジメント

従業員が自ら考え行動することを促すには、きっかけとして「称賛」が有効ですが、この「称賛」についてPRAISE CARDの活用において多くのお客様と議論を交わす中で、ひとつの発見がありました。それは、「称賛されること」の価値よりも「称賛すること」の価値に共感する声が多いということです。

そこで今回のコラムでは、この「称賛すること」に焦点を当て、それがもたらす具体的な価値や効果とそのメカニズムについて考察します。

 

1.「称賛する」ときの感情

一般的に、称賛されれば誰もが嬉しいと感じるものですが、誰かを「称賛する」ときの感情とは一体どのようなものなのでしょうか。

PRAISE CARDの利用シーンの中から、以下のような傾向を見ることができました。

・「称賛カードを贈ったらきっと喜んでくれるだろうな」と、相手の笑顔を想像しながらカードを選んで送ることを心地良いと感じる。称賛カードを贈ったのに相手が受け取ってくれないと「寂しい」と感じる人は多い。逆に、称賛カードをもらえないことを残念に思ったり気にしたりする人はあまり多くない。

・実証実験の中では、開始から2週間ほどは称賛されることが楽しく、それによって勇気づけられ、モチベーションの向上を感じる人が多かったが、それ以降は、自分が誰かを称賛することで相手を喜ばせることの方が楽しく、幸せを感じるという声が増えた。

つまり、誰かを称賛することは、相手を喜ばせること(=他者貢献)であり、多くの人はそれによって、いわば誰かにプレゼントを贈った時のように、ほっこりとして穏やかな幸福感を感じているのです。

 

 

2.「称賛する」ことで生まれる価値

では、「称賛する」ことは、具体的にどのような価値につながっていくのでしょう。

まず、誰かを称賛するためには、相手をよく見なければなりません。そのため、自然と俯瞰した広い視野で物事を捉えることができるようになります。相手から称賛をもらうだけでなく、自分からも称賛を贈ることで、「まわりと自分」という視点から自己理解を深め、より深く自身の強みを知ることにもつながります。また、相手をよく見て相手のことを考えていると、「相手の良いところを見つけてあげたい」という気持ちが生まれ、利他的モチベーションが高くなります。利他的モチベーションとは、仕事を通じて「他の人のためになることをしたい」とか「誰かを助けたい、誰かに良い影響を与えたい」と思う状態のことを指します。

これは、実際にPRAISE CARDの活用データと利用者アンケートを相関分析した結果からも確認することができます。

 

PRAISE CARDの分類とアンケート項目

 

 

「越境行動」や「利他的モチベーション」と称賛系カードデータの相関

ここでは、利用者アンケートの中から「越境行動」と「利他的モチベーション」に該当する回答を抽出し、その人たちが実際に贈ったPRAISE CARDを「挨拶系カード」「感謝系カード」「称賛系カード」の3つのカテゴリに分けてその相関を分析しました。すると、称賛系カードを多く贈っている人ほど、利他的モチベーションが高いという結果が出ていたのです。

これはどのようなメカニズムなのでしょう。スポーツドクターである辻秀一氏の著書「フロー・カンパニー」によると、アスリートがインタビューなどで「応援してくれた方やスタッフに感謝します」と言うのは、人に感謝したり相手を称賛したりすることにより、自分が「フロー状態」に近づくことがわかっているため、意識的に感謝・称賛をしているのだと言います。

「フロー状態」とは、ひとつの活動に深く没入し、他の何ものも問題とならなくなる状態です。フロー状態になると、その経験自体が非常に楽しいので、純粋にそれをすることのために多くの時間や労力を費やすようになります。

つまり、誰かを称賛し喜ばせることは、誰かにプレゼントを贈った時のような「役に立てた、貢献できた」という幸福感につながり、そんな他の何ものにもとらわれない心穏やかな状態(=フロー状態)が良いパフォーマンスを生み出す、ということを、アスリートは知っているのです。

 

3.「称賛する」ことが定着した組織の強さ

このように、称賛することが当たり前になり、利他的モチベーションが高まった組織には、以下のようなことが起こります。

 
①チームワークが向上する

互いに称賛し合い、互いを支援し合いながら目標に向かって進んでいくことで、チームワークが良くなります。またその結果、仕事の効率が上がり、生産性や品質が向上することもあります。

 
②社員のモチベーションが高まる

他者を支援することで、自分の存在価値を感じることができるようになります。人の役に立つことは本人の幸福感につながるため、組織に所属すること自体が自己実現の手段となり得ます。

 
③社員の責任感が強まる

利他的な行動をとるようになることで、自分中心の視点から、社会や企業・組織全体への貢献という俯瞰した意識を持ちやすくなるため、社員の責任感が強くなります。

 
④越境力が向上する

自然と他者視点になり、俯瞰した広い視野で物事を捉えるようになることで、自組織に留まらず越境力を持った前向きな取り組みが生まれやすくなります。

 

こうして、「称賛すること」が根付いた組織は、持続的に成長を続ける「強い組織」へと近づいていくことができるのです。PRAISE CARDは、この称賛文化の定着に大きく役立ちます。ご興味のある方は、ぜひ一度トライアルしてみてください。

本コラムに興味を持たれた方は、是非一度トライアルしてみてください。
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