「申し訳ありません」「申し訳ございません」は、どちらもビジネスシーンでよく使われるフレーズ。口癖のように使っている…と思い当たる方もいるでしょう。「申し訳ありません」の、より丁寧な言い回しが「申し訳ございません」です。相手を敬いつつ謝罪の気持ちを伝える際などに使用しますが、あなたのその使い方、本当に正しい? 詳しく見ていきましょう。

【目次】

申し訳ありません
「申し訳ありません」と「申し訳ございません」の違いは?

「申し訳ありません」と「申し訳ございません」は、どちらが正しい?

■まずは、「申し訳」の意味を考えてみましょう

「申し訳ありません(ございません)」の語意は、「言い訳もできないほどの非を認める」ということ。「申す」は「言う」の謙譲語です。「こちらに非があることを潔く認めて謝罪します」と、実は大変重みのあるフレーズなのです。語源をたどると気軽に使用するのがはばかられますが、たったひとつのポイントである「言い訳をしない」ということをおさえておけば大丈夫! 

例えば、取引先とのミーティングに10分遅れてしまう…そんなシーン。電話やメール、SNSなど、その状況下で使用できる通信手段のなかから、先方にメッセージが届きやすい方法で「お約束の時間に10分ほど遅れてしまいそうです。申し訳ございませんが、ご対応いただけますようお願いいたします」など、要件を簡潔に伝えましょう。先方の時間をできるだけ無駄にしないためにも、迅速な一報がとても重要なのです。

その際やってはいけないのが、遅れる理由をくどくどと説明すること。「申し訳ない=言い訳できない」と理解しておけば、このフレーズを使わざるを得ないシーンで言い訳はできませんよね。

■「申し訳ありません」と「申し訳ございません」、どちらの言い回しが正解?

どちらもビジネスシーンで使える、正しいフレーズです。「申し訳ありません」の、より丁寧な言い回しが「申し訳ございません」。取引先、上司、年長者、また初対面の人などへは、「申し訳ございません」のほうが好印象です。一方、気心の知れた相手には、よそよそしさや回りくどい印象を与えてしまうかもしれないので、深い謝意を表す場合でも「申し訳ありません」で十分でしょう。

ビジネスシーンでは、より丁寧な言い回しや敬語を使用することが多くなりますが、言葉や会話はコミュニケーションを潤滑にするためのもの。相手との関係性やシーンを考慮して、上手に使いこなしたいものです。

■「申し訳ございません」は二重敬語に当たる?

ワンフレーズの中で同じような敬語を重ねて使う「二重敬語」。回りくどい言いまわしになって真意が伝わりにくくなるので、一般的には適切ではないとされています。「申し訳ございません」は、二重敬語ではなく丁寧な言い回し。通常使用してOKです。

「申し訳ありません(ございません)」は、起きてしまったことに対する謝罪のほか、「(お手間をおかけすることになって)申し訳ございませんが、ご確認くださいますようお願いいたします」など、相手を慮ってあらかじめ謝意を伝えるケースでも使用しますね。二重敬語ではありませんし、過去でも現在でも未来でもと、広範囲に使うことができる大変重宝するフレーズです。

メールや電話を丁寧な印象に!「申し訳ありません」「申し訳ございません」の例文5選

ビジネスシーンの円滑なコミュニケーションのために必須ともいえる「申し訳ありません」「申し訳ございません」。基本的には謝罪の用語とはいえ、スマートに使いこなせたら、かえって好印象を残すことができるかもしれません。早速、例文を見てみましょう。

■1:ご連絡いただいておりました件、お返事に時間がかかり申し訳ございません。

■2:少々お電話が遠いようです。申し訳ありませんが、もう一度お話しいただけますか?

■3:この度はこちらの不手際でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。

■4:申し訳ありませんが、至急ご対応いただけますでしょうか。

■5:配慮が足らず、申し訳ありません。

言い換えで、さらにデキる文面に!「申し訳ありません」「申し訳ございません」の類似表現5選

つねに「申し訳ございません」では、定型文をコピー&ペーストしたような印象を与えてしまうかもしれません。類似のフレーズに「失礼いたしました」「お詫び申し上げます」などがあり、目上の相手には「陳謝申し上げます」も効果的です。また、取り返しがつかないほどの事態を謝罪する文面では、「お詫びの言葉もございません」というバリエーションもあります。「心苦しいのですが」は、相手の意向に添えない場合や断る際に使える大人のフレーズです。

■1:「失礼いたしました」

■2:「お詫び申し上げます」

■3:「陳謝申し上げます」

■4:「お詫びの言葉もございません」

■5:「心苦しいのですが」

なお、「すみません」も「申し訳ありません」と同じように使いがちですが、ビジネスでは不適切。気楽な相手なら、「申し訳ありません」とかしこまるより「すみません」を使ったほうがスムーズにコミュニケーションが図れる場合もありますが、カジュアルな言い回しであることを理解したうえで使用しましょう。

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本日はビジネス敬語の基本中の基本、「申し訳ありません」「申し訳ございません」の使い方を確認しました。正しく使って、マナー美人を目指しましょう!

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参考資料:『精選版日本国語大辞典』(小学館)/『とっさに使える敬語手帳』(新星出版社)/『すぐに使えて、きちんと伝わる敬語サクッとノート』(永岡書店)/『印象が飛躍的にアップする大人の「言い方」練習帳』(総合法令出版)/『心理学的に正しい!人に必ず好かれる言葉づかいの図鑑』(宝島社) :