【2021年版】不動産業界の将来性。市場規模や10年後のビジョンとは

知識

過去と未来

転職を検討するならば必ず確認しておくべきなのが、業界の将来性です。不動産業界の将来は、明るいものなのでしょうか。

今回は、不動産業界の現状と、将来の見通しについて解説します。転職前に、ぜひ参考にしてみてください。

不動産業界の市場規模【2019-2020年】

まずは、不動産業界の市場規模について紹介します。

不動産業界の売上高

財務総合政策研究所の調査によると、2014年に36兆9,811億円だった不動産業の売上高は、2018年度には46兆5,363億円になっています。5年間で10兆円増と、市場規模は拡大しています。

また、不動産会社の売上高ランキング(上位10社)を見ると、不動産業界の規模をイメージしやすくなります。ここで、2019年から2020年にかけての売上高を見てみましょう。

【不動産業界売上高(2019-2020年)】

企業名 売上高
1 三井不動産 1兆9,056億円
2 三菱地所 1兆3,021億円
3 住友不動産 1兆135億円
4 大東建託 9,736億円
5 東急不動産HD 9,631億円
6 野村不動産HD 6,764億円
7 オープンハウス 5,403億円
8 オリックス 4,666億円
9 レオパレス 4,335億円
10 ヒューリック 3,572億円

業界動向RESEACH.COM 不動産業界 売上高ランキング(2019年-2020年)より作成

ご覧のように、大手と言われる不動産会社は非常に多くの売り上げがあります。一方で、10社を合計しても約8.6兆円なので、残りの40兆円はそれ以外の会社が売り上げていると考えることができます。それだけ広がりがあるのが、不動産業界の特徴といえます。

不動産の市況

首都圏では、新築分譲マンションの価格が2019年に過去最高水準までに上昇しています。また、2019年の消費税増税前の駆け込み需要により、新築物件だけでなく利便性や経済面に優れた中古マンションや中古戸建ても、需要の高まりを見せました。

ここ数年はオリンピック・パラリンピック東京大会の開催以降に、不動産業界の景気がよくなったと耳にすることがありました。同時に大会後には不動産価格は低下するとの予測する声もありました。しかし、過去のシドニーやロンドンなどでは、大会後の住宅価格に影響はなく、むしろ上昇しています。また、新型コロナウイルスによって2020年の開催が延期され、2021年の2月現在も、開催されるかどうかは不透明な状態です。

この新型コロナウイルスは、東京都心部の人口流出を招き、不動産需要が下がることで業界衰退の一因になるという懸念点にもなっていました。しかし、実際には、例えば2020年11月単月で東京に流入した人口と流出した人口を差し引いたところ、約4,000人が東京都から減った程度のものでした。人口流出は東京都全体の人口1,300万人のわずか0.03%にとどまっています。むしろ、在宅勤務やテレワークが求められるなかでは、手狭な賃貸物件ではなく、都心から少し離れたところに戸建てやマンションの購入を検討する人が増えたことで、新築物件の購入などの市場は盛り上がりを見せています。

また、少し先の2025年には大阪万博の開催が決定しています。こうしたオリンピック以外の国際イベントに関連して宿泊施設や商業施設の需要が増えることが見込まれ、むしろ不動産市場には中長期にわたって市場が拡大する好材料があると考えることもできます。

まだまだ持ち家が多数派

不動産業界は、どのような要因に支えられて堅調に推移しているのでしょうか。

公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が2021年2月に公表した住居の居住志向及び購買等に関する意識調査では、「持ち家」を支持する人が7割を超える多数派であることが分かりました。

《アンケートの内容と結果》

問「現在の住まいに関係なく、持ち家派か賃貸派か」

持ち家派…74.5%(2019年データ:80.9%)

賃貸派…25.5%(2017年データ:19.1%)

また、同調査の「いま、不動産は買い時だとおもいますか?」という質問に対しては、2019年の調査よりも4.3ポイント上昇した17.3パーセントが「買い時だと思う」と答えています。

その理由として、現在の住宅ローンが低金利であること住宅ローン減税をはじめとした住宅取得を目的とした支援制度が充実しているといった事柄が挙げられています。

もちろん、賃貸物件も住まいの重要な選択肢であることは間違いありません。実際、賃貸住宅の市場は物件数・入居需要も多い都市部を中心に拡大しています。持ち家に対する需要と満足度を見る限り、今後も住宅購入は堅調であると推測することができます。

不動産業界は衰退するのか

好調に推移する不動産業界ですが、「少子高齢化と人口減少から逃れることができず衰退する」との見方もあります。ここでは、データからわかる不動産業界の盛衰について説明します。

動向調査から見る不動産業界の今後

帝国データバンクが100業界(197分野)の動向を予測した『業界天気図』動向調査(2020年度見通し)によると、不動産業界の予想図は、以下のように賃貸・戸建て・マンション分野とも、総合的に“堅調”という評価を受けています。

賃貸 戸建て マンション
晴れ

企業業績も安定成長

曇り

市場停滞、もしくは好転の兆し

・消費税増税の反動減も限定的

・大手を中心に堅調

・消費税増税の反動減も限定的

・業績は底堅く推移する

※帝国データバンク『業界天気図』動向調査(2020年度見通し)(※2020年1月末時点までに開示されたデータによる)

このように良好な見通しとされる不動産業界は、その担い手も堅調に推移しています。

2017年度の不動産業の法人数は、全産業の1割以上(11.8%)を占め、4年制大学卒業者の就職先としても2018年3月で1万4,143人となりました。全就職者数43万6,156人の約3.2%が不動産関連の仕事に就いていることになり、就職者数も増加傾向にあります。

不動産業の法人数 32万8,553社
不動産事業所数 35万3,558所
不動産業界への大卒就職者数 1万4,143人
不動産事業者の営業年数 25年以上 68.8%

10~25年未満 21.1%

また、一般社団法人「土地総合研究所」の調査によると、不動産流通企業のうち、約7割が営業年数25年以上で、10~25年未満の事業者も2割を超えています。このような層の厚さも、不動産業界が手堅い業界だといえる理由となるでしょう。

【参照データ】

不動産流通推進センター 2019不動産業統計集(9月期改訂)(2017年度データ)

土地総合研究所 『不動産業についてのアンケート調査』報告書(不動産流通企業1,000社を対象)

国内における不動産業界の役割と展望

変化する社会情勢の中、2019年4月に日本政府は国土交通省主導による「不動産業ビジョン2030」を発表しています。そこで、不動産業界は日本を支える重要な基幹産業であることを定義しています。

社会問題と不動産業界

2030年までの間に、少子高齢化・人口減少が急速に進むと想定され、人口構成の変化により不動産業界にも大きな変化が生じる見込みです。

具体的なところでは、管理の行き届かない空き家・空き地等が急増し、老朽化による別の問題が引き起こされることも懸念されています。

また、都市への人口集中が進み、地方の地価は下落傾向が続くという見通しもあります。

新技術・新製品(新サービス)に期待

新技術の開発・活用、浸透により、IoTやVRを使った新製品・新サービスが登場しています。

距離の制約を越えて、従来では不利な立地とされていた地域であっても、暮らし・働き・訪れる場として選択される機会が増えるかもしれません。これにより、多様なライフスタイルが定着し、地方創生が実現できる可能性があることにも注目すべきでしょう。

また、使用する期間に対し利用料を支払うサブスクリプション型のビジネスモデルも増加しています。

不動産の場合は、所有から利用を中心として価値へ転換する動きがあり、この傾向がさらに強まると、オフィス需要の変化によるスペースシェアリングサービス、ライフスタイルの変化による二地域居住や複数拠点など、不動産活用の多様化が実現するはずです。

このような変化に際して、不動産業界には、社会問題や国民のニーズを的確に把握し、それに対応した事業計画を形成することが期待されています。

また、不動産という生活の場が最適に活用されることで、日本全体を支える存在であるという期待も掛けられているのです。

「2022年問題」と不動産業界

2022年には農地が宅地として開放される「2022年問題」を迎えます。その影響はどのようなものなのでしょうか。

生産緑地法「2022年問題」とは

2022年に、「生産緑地」として指定された市街化区域内の農地を宅地へと転換することが可能となります。これにより500㎡以上の面積である市街化区域内の農地が全国的に宅地化することで、土地の過剰供給や、資産価値の低下が起こることが懸念されています。それが、「2022年問題」です。

1991年に改正された「生産緑地法」により、生産緑地に指定された農地は営農以外の行為が制限されるようになりました。その代わりに固定資産税が軽減され、また、相続税の納税猶予が受けられるなどの優遇措置が取られています。

しかし一度、指定を受けると、生産緑地の所有者が亡くなる等の理由で農業を辞めるか、あるいは指定を受けた日から30年経過するまでは、買取りの申請や売りに出すことはできなくなります。

つまり30年を迎える2022年で、固定資産税や相続税の優遇措置がなくなり、指定農地は土地の売却の傾向が強まることが予想されているのです。

「2022年問題」と不動産業界

生産緑地のほとんどは三大都市圏に集中しており、全国にある生産緑地の約8割が、2022年に期限を迎えるとみられています。広大な土地が売却され、宅地化すると供給過多となり、不動産価格や賃貸物件の賃料が大きく下落しかねません。すでに過剰状態にある戸建て市場に、さらなる供給がなされると、売れ残った新築戸建ての値下げ合戦が起こる可能性も考えられ、現在対策が必要とされている住宅ストックの活用促進や空き家問題がさらに深刻化すると考えられます。

このような大規模宅地化による地価の下落を防ぐため、2018年4月に改正都市計画法が施行され、用途地域に「田園住居地域」が新たに追加されました。旧生産緑地における建築制限が設けられたのです。この改正によって、大規模な宅地化や高層マンションやショッピングメガモールの建設などの大規模開発を防ぐ効果が期待されています。

今後、慎重に動向を見極めながら不動産業界としてできる対策を講じていくことが重要です。

コロナによる不動産業界への影響と投資マネー

2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、人口集中する都心部ではどのような変化が起きているのでしょうか。

2020年夏すでに都心回帰

企業の業績悪化により、家賃やローンが払えず自宅を手放す人がいます。また、都心部ではテナントの撤退が相次ぎ、空室率が上昇の一途です。

その一方、高所得者層を中心に、都心にある好立地のタワマンなどの人気が再燃しています。一時期は都心離れ・郊外志向が加速するかと思われていましたが、再度、都心の不動産の購入や投資が活発化するという動きが広がっているのです。

2020年7月の民間調査によると約6割の人が「都心に住みたい」と回答していることが明らかになっています。

《住みたい環境》

都心に住みたい 33.1%
できれば都心に住みたい 27.1%
どちらかといえば郊外に住みたい 21.1%
郊外に住みたい 3.8%
どちらともいえない 15%

NHKクローズアップ現代2020年10月1日(木)放送内容より作成

(2020年7月調査 有効回答数491名)

土地価格についても、2020年9月29日に発表されたデータでは、都心部については上昇幅が縮小してはいるものの地価が上がり続けています。

東京に集まる投資マネーの危険性

コロナ禍で資産価値の変動が大きい世界の他都市に比べ、東京の不動産価値は底堅いということで、投資マネーを呼び込み、2020年上半期だけで東京に投入された不動産投資額は1兆6,000億円に上ると言われます。

東京とよく比較されるニューヨーク市では、コロナ禍の2020年3月~5月、市の人口の約5%、42万人もの人が郊外に引っ越したという調査もあり、東京は一人勝ちとも指摘されます。また、世界の主要都市ではテナント離れも進んでいます。

その中にあって東京は、投資対象となる大規模物件については空室率がもともと低い上、感染拡大後もほとんど変化はないという見方があり、安定した賃料収入が見込めると投資マネーを呼び込んでいるのです。

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