70年以上変わらない常任理事国、拒否権による機能不全…日本が切望する国連安保理改革

2023.06.15(木)

06:50

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月8日(木)放送「New global」のコーナーでは、“国連安全保障理事会(国連安保理)”について取り上げました。

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月8日(木)放送「New global」のコーナーでは、“国連安全保障理事会(国連安保理)”について取り上げました。

◆“常任理事国”、“非常任理事国”とは?

6月6日、国連総会で安全保障理事会の非常任理事国10ヵ国のうち5ヵ国を決める選挙が実施され、アジア太平洋枠で韓国が選出。アラブ首長国連邦に代わって選ばれた韓国は、今年から非常任理事国になった日本や常任理事国のアメリカとともに北朝鮮への圧力を強める考えです。一方、東ヨーロッパ枠は、ロシアの同盟国ベラルーシとスロベニアの2国で投票となり、スロベニアがベラルーシを退けました。非常任理事国は地域別に割り当てられ、この他にガイアナ、アルジェリア、シエラレオネが選ばれています。

現在、国連安保理では「常任理事国」と「非常任理事国」があり、前者は第二次世界大戦の戦勝国である中国、フランス、ロシア、イギリス、アメリカと核を保有している大国5ヵ国が名を連ね、“拒否権”を持っています。この拒否権が発動されると、たとえ安保理で議決されたものも全てが却下されてしまいます。

つまり、どこかの国に制裁すべきとなっても、常任理事国の1ヵ国でも反対すれば、それは国連の意志として発動できず、ウクライナ侵攻でも当事国のロシアが常任理事国とあって安保理が動きづらいという現状があります。

一方、多国間で多様性のある議論をすべく非常任理事国10ヵ国が設けられていますが、こちらは任期2年で、連続再選はできません。現在は今年までアルバニア、ブラジル、ガボン、ガーナ、UAEが入っており、来年までエクアドル、日本、マルク、モザンピーク、スイスが参加。なお、グローバルサウスの国々が先んじて出馬表明するなか、日本は次回、2032年の立候補を表明しています。

◆「安保理改革」を日本が切望

常任理事国・非常任理事国とあるなか、現状ではどうしても大きな決定権を持っているのは常任理事国です。しかも、この構造は戦後70年近く変わっていません。

こうした状況に、経済ジャーナリストの荻原博子さんは「昔は戦勝国と敗戦国があったが、今は中国、ロシア、アメリカと(考え方が)バラバラ。それをひとつの意見にまとめろというのが無理な話」と戦後、世界秩序を一から作り上げていた頃と今の違い、時代の変化によるギャップを指摘。

お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さんも荻原さんの意見に同意しつつ、「拒否権然り、この構造自体格差がある。国によってパワーバランスが違うという証明のようになっているから、国連安保理とは名ばかりという空気になっても仕方ない」と構造そのものについて言及。

そうしたなか、日本はかねてより“安保理改革”を提唱してきました。例えば、2019年の国連総会では、時の首相・安倍元首相が「安保理の変革を主眼とする構造改革が必須」と演説。その内容の最たるものは、常任理事国も含めた議席数の拡大。

また、キャスターの堀潤は「安倍さんの演説のなかで見落としてはいけない日本の実績がある」と声を大にします。それは「国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)」で、これは1962年に犯罪防止の知識向上を主眼に、国連として初めての東京に設立した専門機関です。

世界中で行われるさまざまな犯罪行為を分析・検証し、検挙・対策を行う専門家を育成し、ここから特にアジア、アフリカへ専門官を輩出。安倍元首相はこうした日本の実績を唱え、世界で協調しようと訴えていたそうで、堀は「多国間でさまざまな枠組みがあるが、日本の役割を我々こそもっと知っていくべき」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

 

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