飲み込む密輸、過去にも死者=水際緩和で「運び屋」急増
新型コロナウイルス禍で入国制限を完全撤廃した昨年4月以降、航空機による海外からの違法薬物の密輸が急増している。飲み込んで体内に隠して運ぶのは古典的な手口だが、薬物の包装が破れるなどして命を落とすこともある。
東京税関によると、航空機で海外から薬物を密輸する「運び屋」の摘発件数は、2023年上半期(1~6月)で81件に上り、72件だった22年の年間の件数を上回った。
航空機による密輸にはスーツケースの二重底やブラジャーのカップ部分に違法薬物を隠す手口などがある。薬物を飲み込んで運ぶ手口は発覚しにくいとされるが、死亡する危険性もある。
19年5月にメキシコから成田空港へ向かう機内で死亡した40代の日本人男性の体内からはコカインを小分けにした袋246個が見つかった。袋の破損による薬物の過剰摂取が原因とみられる。
税関などによると、薬物の包装に問題がなくても、大量の異物を体内にとどめる負担は大きい。顔色の悪さや下腹部の不審な膨らみなど、体調の異変から税関職員が「運び屋」と気付くケースもある。
レントゲン撮影で体内に異物が確認されれば、警察官立ち会いの下、網の上に排せつさせ、薬物かどうか調べる。下剤などを無理やり飲ませることができないため、排せつまで数日間、待つこともあるという。
捜査関係者は「出てきた薬物は長時間体内にとどまっていた影響で、包みが剥がれたり、変色したりしているものもある。1個でも包みが破れ、体内に薬物が漏れ出ると命を失う危険がある」と警鐘を鳴らした。
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