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約10万人のビッグデータを分析!「3才までのアレルギーの実態」「妊娠週数別、体重増加量の目安」などがあきらかに

更新

2011年にスタートし、約10万人の妊婦さんが参加した「エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)」をご存じですか? 妊娠中こそ知っておきたい、子どもたちの未来のための取り組みと、その研究成果をご紹介します。

★ラストにアンケートご協力のお願いがあります。ぜひ最後までお読みください。

子どもたちの未来のための取り組み、「エコチル調査」とは?

環境要因(化学物質や生活)が子どもの成長・発達にどう影響するのか、研究されています(環境省ホームページへ)


【もっと詳しく! エコチル調査って何?】

エコチル調査とは、2011年に環境省によってスタートした全国調査の名称。約10万人の妊婦さんからスタートし、子どもが誕生してからも、親子を対象に調査を続けています。目的は、妊娠中や出産後の環境(化学物質の取り込みや生活習慣)が、生まれた子どもの成長・発達にどう関連しているのかをあきらかにすることです。

調査スタート時、おなかの中にいた赤ちゃんは、2022年度の今、11才になった子も! 今後も引き続き、調査は続けられる予定です。

実はこうした“子どもの健康と環境に関する調査”は、デンマークなど海外にもあり、長年データ収集と分析が進められてきました。その中でも、日本のエコチル調査はアジア初の10万人規模。そのため、世界各国から注目されているんです。


【何を調べるの?】

今、子どもたちの間で食物アレルギーやぜんそく、肥満など、いろいろな健康問題が増えているといわれています。また近年では生活の中で、洗剤や塗料、ペットボトルなど、化学物質を含む製品を使うことが当たり前に。ですが、日ごろから使っているそれらが子どもの健康や成長にどんな影響を与えるかは、はっきりとわかっていません。エコチル調査では、環境中の化学物質や生活習慣等と子どもの健康の関係を調べるため、妊娠中から継続して、血液や尿中の化学物質の量など、さまざまなことを調べています。

■妊娠中の調査
アンケート調査、ママの血液や尿の検査、パパの血液の検査など

■産後の調査
ママの毛髪の検査(出産時)、
母乳や臍帯血(さいたいけつ=へその緒内の血液)の検査、
子どもの毛髪や血液の検査など

【以下のような調査をしています!】


エコチル調査では、約10万人分の妊婦さんの妊娠経過や生活習慣も調べています。現在、たくさんの研究成果が出てきているので、今回はそのうちの二つをご紹介します!

エコチル調査の研究内容についてはこちら!(国立環境研究所ホームページへ)

エコチル調査の成果【その1】


3才までにアレルギーと診断される子はどれくらいいるの?

食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症を含むアレルギー性鼻炎・結膜炎など、子どものアレルギー疾患が増えています。重症化を防ぐため、早期発見が大切とされていますが、これまで乳幼児のアレルギー疾患の実態について、発症前から経時的に調査した全国レベルでの報告はありませんでした。そこでエコチル調査の研究チームが妊娠中から子どもが3才になるまでのデータを分析! アレルギー疾患と診断された子どもの割合と年齢があきらかになってきました。

【調査数:9万2945名】


調査対象者のママたちに、過去1年間で医師に食物アレルギーと診断されたか否かを聞き、割合を調べたところ、1才時5.9%、2才時9.9%、3才時は5.2%が診断されたという結果が出ました。そのうち、アレルゲンとなる食品でもっとも多かったのが卵、次に牛乳、小麦の順でした。

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は2才までに診断された子どもが多く見られました。またアトピー性皮膚炎は、実際に症状があっても診断されていない子どもが多いこともわかっています。乳児湿疹と言われたり、診断を告げられずに医師からステロイドが処方されたりするケースも多いようです。

一方、ぜんそくやアレルギー性鼻炎・結膜炎は年齢が上がるにつれて増えていっています。このことからアレルギー疾患は、症状ごとに発症の年齢パターンが異なることが示唆されました。これらの結果は、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021や食物アレルギー診療ガイドライン2021にも引用されています。


参考・引用論文/JECSに参加している小児における3歳までのアレルギー免疫について【著:山本貴和子ら】「World Allergy Organaization Journal. 2020 Nov 7;13(11):100479.」
グラフ出典/エコチル調査10周年成果集 エコチル調査でわかってきたこと(2021 エコチル調査 千葉ユニットセンター)より

約10万人のママの声から、アレルギーにかかわる食品の“食べ始め月齢”が判明!(環境省ホームページへ)

エコチル調査の成果【その2】

約10万人のデータから「妊娠中の体重増加曲線」を作成!

厚生労働省の資料によると、日本では、2500g未満で生まれる“低出生体重児”の割合が、ここ40年間で1.8倍ほどに増加。約10人に1人(9.5%前後)が低出生体重児として生まれていることになります。低出生体重児で生まれた赤ちゃんは将来、糖尿病など生活習慣病のリスクが上がるという報告もあり、注意が必要です(DOHaD説)。

そこで2021年、厚生労働省は、ママと赤ちゃんの長期的な健康のため「妊娠前からはじめる 妊産婦のための食生活指針」を発表。出産までの望ましい体重増加量も、新しい目安が示されました。
※厚生労働省「人口動態統計」、「低出生体重児保健指導マニュアル」より

【注】妊娠中の体重増加量は妊娠前のBMI(体格指数)によって目安が変わります。


エコチル調査だからできたこと

出産までの新たな体重増加量の目安が発表されたものの、実は「妊娠何週にどのくらいの体重増加をするとその目安を達成できるのか」については、参考となる数値がありませんでした。そこでエコチル調査研究チームが、約10万人の妊婦さんのデータを分析! 母子健康手帳の体重記録を使用して、妊娠40週で目安体重に到達するためには、いつ、どれくらい体重が増えていればよいのかを妊娠前のBMI別に算出。それをもとに「体重増加曲線」を作成しました。
早速、BMIを計算して“自分の場合”をチェックしてみましょう。

BMIの計算法
妊娠前の体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)=あなたのBMI


普通体形さん、太め体形さんなど、各BMIごとのグラフはこちらからダウンロード可能!(国立成育医療研究センターホームページへ)


参考にして!妊娠中の体重増加量の目安例

BMI18.5以上25未満(普通体形妊婦さん)
妊娠20週=(妊娠前の体重から)+2.6~4.9㎏
妊娠30週=+6.4~9.1㎏

BMI25以上30未満(太め体形妊婦さん)
妊娠20週=(妊娠前の体重から)+0.4~2.7㎏
妊娠30週=+3.8~6.5㎏

BMI30以上(太め体形妊婦さん)
基本的に個別対応となります(以下は目安)。
妊娠20週=(妊娠前の体重から)+0.3㎏未満
妊娠30週=+1.9kg未満

この範囲内であれば、適切な体重増加の軌道に乗っていると考えられます(あくまでも目安です)。ぜひ、妊娠中の体重管理の参考にしてみてくださいね。

●BMI18.5以上25未満(普通体形妊婦さん)の体重増加曲線

●BMI25以上30未満(太め体形妊婦さん)の体重増加曲線

●BMI30以上(太め体形妊婦さん)の体重増加曲線


【注】この調査は2011~2015年に行われたため、2021年以降、新しい目安に沿って指導が行われる妊婦さんとは結果が異なる可能性があります。

参考・引用論文/エコチル調査の縦断データを基にベイズ推定法を用いて作成した「妊婦の体重増加指導の目安」に準じた妊娠体重増加曲線【著:森崎菜穂ら】「Journal of Epidemiology. 2021 Aug 28.」
グラフ出典/10万人の妊婦健診情報から「妊娠中の体重増加曲線」を作成 妊娠中の体重管理の参考になることを期待(国立成育医療研究センタープレスリリース)より

協力/環境省


記事を読んだら、ぜひアンケートへ!

この記事に関する読後調査をさせてください! あなたの声を、子どもたちの未来にかかわる研究を続ける専門家たちへ届けたいと思います。

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