天井の高さで空間の印象はグッと変わる!? 平均や最低の高さは?高いほどいいの?の疑問解消

公開日 2022年02月28日
天井の高さで空間の印象はグッと変わる!? 平均や最低の高さは?高いほどいいの?の疑問解消

いざ家をつくるときに「家の天井高」といわれても、どのくらいの高さなのかぴんと来ない人もいるでしょう。
「吹抜けにするか、しないか」の選択肢しかないと思うかもしれません。実は、天井高には一般的な高さはありますが、ある程度調整可能な部分でもあり、少しの差で空間の印象は変わるもの。
せっかくのマイホームづくり、天井高にも注目してみては? 今回は、一戸建ての天井高について、LOHAS studioの岡本さんにお話を伺いました。

まずは天井高の決まりと一般的な高さを知ろう

天井高とは?高さの最低基準は

まず、天井高とは何かを説明すると、床の表面から天井までの高さのことです。

建築基準法では、住宅内の居室の天井は2100mm(2.1m)以上と定められています。

これは、居室に限っての話で、継続して使用しないと判断される場所(トイレや浴室、納戸、廊下など)は除かれます。
2100 mmは、身長の高い人であれば天井に届きそうで圧迫感のある高さで実際にはあまり見かけません。
最近の一戸建ての天井高は2400mmが多く、2400mm~2600mmの範囲であることが一般的です。

2400mmが主流となるのは、サッシや建具、下地材など材料の規格や、尺貫法が根付いた設計習慣、階高が2800mm~3000mmであることから、“都合がいいサイズ”というのが理由です。

例えば、天井高2400mmの部屋の壁の下地に910×2420mm規格の石こうボードを使えば、ジョイントしたり切ったりせずにそのまま使えるので、建材の無駄がなく手間もかからない。既製品のドアも2000mm、2200mm、2400mmといったラインナップが多い。そのため、天井高の基準を2400mmにしている建築会社が多いのです。

平均の天井高の測り方

天井の高さが一定であれば単純に床から天井を測った数値ですが、勾配天井や一部吹抜けがあるなど、天井の高さが一定でない場合は、その空間での平均の高さとなります。

計算の仕方は「平均の天井高 = 部屋の容積 ÷ 部屋の床面積」となります。

下図中の1階は部屋の天井の高さが一定なので、単純に床から天井まで測った(1)の高さが天井高になります。2階は天井の高さが一定ではないため、天井高は「部屋の容積÷部屋の床面積」で計算して求めるかたちです。単に最低値(a)や最高値(b)の高さを指すものではないので注意してください。

天井高の測り方の解説図
天井の高さが一定の場合は床から天井までの高さ、一定でない場合は「部屋の容積÷部屋の床面積」で計算した高さが天井高となる(イラスト作成/SUUMO編集部)

天井高を上げるときの注意点

設計について

天井高を上げることは、開放的な空間づくりの有効な手段でもあります。吹抜けや上階の半分程度の空間を取り込んだハーフ吹抜けは、開放的で贅沢な印象がありますよね。そこまではいかずとも、10cm~数十cm上げるだけでも印象は変わります。

プランニングの際に相談すれば、ほとんどの場合、一定の範囲内で天井高を高くすることは可能です。リフォームの場合は、例えば2×4(ツーバイフォー)の住宅や、大きい梁(はり)などの構造材がある場合など、難しいケースもあるので注意してください。

コストアップ

また、新築の場合でも、コストアップにつながる場合が多いプランなので、コストアップしてもかなえたいことなのか、どうしてその空間の天井高を上げたいのかについて、優先順位をよく考えておくことが肝心です。開放的な空間づくりへのアプローチは、天井高だけではないので、どういった空間を希望しているのかをプロに伝え、天井高を上げることが最良かを相談してみるのが良いでしょう。

なお、新築で吹抜けをつくる場合、建築会社の費用算出方法の違いや選ぶプランの違いにより、吹抜けにした方が総額が下がるケースもあります。優先順位に応じて、希望するプランが得意な会社を選ぶこともおすすめです。

高さ制限や斜線制限

また、建物全体の高さが上がりすぎると斜線制限に引っかかりやすくなることも知っておきましょう。
斜線制限には、「道路斜線制限」「北側斜線制限」「隣地斜線制限」などがあり、隣接する敷地境界、道路の幅や建物との兼ね合いで、建物の高さを規制するものです。

主に、道路や隣の敷地に立つ建物の日照・採光・通風に支障をきたさないようにする目的とした制限です。

高い天井のメリット、デメリット

では、天井を高くすることで、どのようなメリット、デメリットがあるのか確認してみましょう。

【メリット】

・開放感がある
・勾配天井や吹抜けなど、空間形状の選択肢が多彩
・空間の容積が増えるので、人が集まる空間では汚れた空気がたまりにくい
・高さのある家具が入れられるため、収納量を増やせる
・照明の選択肢の幅が広くなる
・2段ベッドを使用する場合に、高さにゆとりがあり使いやすい

住み心地として、もっともメリットを実感しやすいのは開放感でしょう。空間の広がりはもちろん、壁の高さがある分、大きなサッシやハイサイドライトを採用して、明るい空間をつくることができます。

また、照明やカーテンの選択肢も増えるので、インテリア性もアップします。最近人気のある壁面ライブラリーなどをつくる際も、大容量確保することができます。
リビングなど、人が集まり、長い時間過ごす場所は、天井を高めにすると空間の容積が増えるため、汚れた空気がこもりにくくなります。高めの天井に適した空間といえるでしょう。

なお、吹抜けやハーフ吹抜けほど天井が高い場合は、かなり高い位置に窓を付けられるため、外からの視界に対するプライバシー性を高めつつ採光や通風を確保できるというメリットがあります。隣家が近い密集地で有効なプランです。

吹抜けとハイサイドライトのあるリビング
吹抜けの高い位置に窓があると外光を部屋全体に取り入れやすく、明るい室内に(画像提供/LOHAS studio)

【デメリット】

・内装工事費が全体的にアップすることが多い(材料費、建材のサイズ調整による大工手間の工賃)
・(断熱・気密性の低い家では)空間の上下の温度差が大きくなり、エアコンの効きが悪く感じる
・照明やエアコンの位置が高いので、掃除がしにくいことがある
・照明の明るさが通常よりも必要になる
・大きなサッシを採用するとカーテンやブラインドのサイズが特注になるので費用が割高

天井を高くすることで、サッシの上の垂れ壁が大きくなり間の抜けた空間になってしまうことも。建具の高さを変えたり、高さのあるサッシを取り入れたりするとバランスが取れるようになりますが、当然建材費がアップします。

また、ガラス面が大きくなることで、外からのプライバシー性が落ちることもあるので、周りの環境を確認しつつプランを練っていきましょう。
費用を抑えるためにサッシの性能を下げてしまうと、著しく断熱性能が落ち、結露しやすくなるのでオススメできません。

また、天井が高い場合でも、気密断熱性が高い家であれば、光熱費はさほど影響を受けませんが、天井が高いほど、冬は足元が寒く感じ、乾燥しやすいので注意が必要です。これは、気球の原理と同じで、暖房で空気を温めるほど冷たい空気が下から上に引っ張られて足元が冷えていくためです。

コストアップにはなりますが、快適性を上げるために補助的に床暖房等で寒さ対策をしてもよいでしょう。
気密性の低い中古住宅をリフォームする場合は、特に寒さ対策をしっかりすることが大切。天井高を上げる際は、必ず気密断熱性能をセットで考えましょう。

部屋別に考える、快適な天井高とは

天井は高い方がよいかというと、一概にはいえません。どうしてもコストが上がるので、天井を高くしたい場合は、ここぞという空間で実現し、メリハリをつけるとよいでしょう。

基本的に、天井が高いと開放的で贅沢な印象に、低いと落ち着きやプライベート感が強い空間の印象になります。また、立って過ごす、イスに座る、床に直接座る、上の空間を使う、ペンダントライトを吊るす、など、その部屋での過ごし方や使い方でも快適な天井高が異なるので、どのように過ごすかをイメージしながら施工会社のプランナーに相談するのがオススメです。

■リビング(天井高:2400mm~)
2100mm~2400mmを基本と考え、それ以上でもよい空間。集まる人数が多い場合は、天井高は高いほうがゆとりができる。吹抜けや勾配天井を希望しているなら、リビングでかなえるのがオススメ

■キッチン(天井高:2200mm~2400mm)
システムキッチンを使うことを前提とした場合。キッチンは高すぎるとレンジフードの換気が最適にならないことや、収納の収まりが悪いことがある

■ダイニング(天井高:2200mm~2400mm)
ペンダントライトなどのバランスが取りやすい

■寝室(天井高:2100mm~2400mm)
寝た姿勢は天井まで距離があるので、天井が高すぎると、落ち着かない。カーテンの高さや収納に問題なければ低めでもOK。2段ベッドを入れる場合は2400mmだと安心

■和室(天井高:2100mm~2400mm)
床に近い高さで座るので、天井が高すぎるとバランスが悪い空間に。天井が高めのリビングからひと続きの位置に和室がある場合などは、小上がりを設けて床を上げてもよい

■水まわり(天井高:2100mm~2400mm)
採光や通風を目的としたハイサイドライトを設ける場合でなければ、低めのほうが収納に手が届きやすく使い勝手がよい

■書斎、趣味室(天井高:2400mm~)
テレワークなど、同じ空間に長くいる場合は、換気計画次第だが呼気が滞留しやすいため、天井はなるべく高い方がスッキリと過ごせる。趣味室は天井が高い方が限られた広さでも収納量を確保できる。釣りやサーフフィンなど道具に長さがあるものは、天井が高い方が使い勝手がよい

天井まで壁一面を収納にした書斎
吹抜けと壁面ライブラリーのある、開放的な書斎(画像提供/LOHAS studio)

天井高は、求めるデザインにより決めていくという考え方もあります。シンプルやラグジュアリーな空間を希望するなら天井は高く、ナチュラルやカフェ風、落ち着きのある空間を希望するなら、天井高は上げ過ぎない方がまとまりやすくなります。

また、天井の高さは、居室単位だけでなく、LDKの一部を高くまたは低くするなど、部分的にも変えられます。天井の高さに差を設けることで、空間の役割を緩やかに区切ることも可能です。天井に少し厚みのあるレッドシダーなどの不燃化粧板を張り付けることで、おしゃれに空間を演出するのも手です。
ただし、段差は上手く使えばアクセントになるものの、同じ視界に入る範囲内に凹凸を多く設けすぎると、空間の印象が落ち着かないこともあるので注意しましょう。

まとめ

天井高は2400mmが主流だが、要望に合わせて上げることは可能

最大のメリットは開放感だが、コストアップなどデメリットもあるので注意が必要

空間により快適に感じる天井高が違うので、過ごしやすい高さでオーダーしよう

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取材・文/竹入はるな
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