マンション、戸建ての修繕費とは?大規模修繕・長期修繕計画とは? 修繕にまつわる言葉の意味を解説

最終更新日 2023年03月29日
マンション、戸建ての修繕費とは?大規模修繕とは?長期修繕計画とは? 修繕にまつわる言葉の意味を解説

「修繕費」「修繕積立金」「修繕積立基金」「大規模修繕」「長期修繕計画」など、修繕にまつわる言葉を耳にしたことはあるだろうか? 修繕とは、経年劣化によって建物に生じた不具合を回復させること。今回は「修繕」にまつわる言葉を説明しよう。

修繕費とは?管理費との違いは?

修繕費とは、建物や設備に不具合が生じた場合に、その機能や外観を回復させるために行う工事の費用のこと。建物や設備は年月が経つとともに劣化したり不具合が発生したりすることが避けられない。したがって住宅を所有して住み続ける以上は、修繕費も負担し続けなければならないのだ。
ちなみに管理費とはマンションの共用部分の日常的な維持管理、例えば管理員の人件費や清掃、設備の点検などに使われるお金で、修繕費とは区別される。

修繕積立金と修繕積立基金の違いは?

修繕積立金

マンションを購入すると、修繕積立金を毎月支払うことになる。これはマンションのエントランスや外壁、廊下などの「共用部分」を修繕するためのお金で、マンションの所有者全員が加入する管理組合が徴収するものだ。 修繕積立金の相場については国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を策定し、費用の目安を提示しているので、参考にしてほしい。

賃貸マンションの場合はこうした修繕積立金は存在せず、共用部分の修繕は基本的に大家が負担することになる。ただし廊下の蛍光灯の交換や、エントランスの清掃などに共益費が充てられるケースは少なくない。

修繕積立基金

修繕積立金と似た言葉に「修繕積立基金」というものがあるが、これは新築マンションを購入するときに数十万円程度のまとまった金額を一括で支払うお金のことだ。使い道は修繕積立金と同じく共用部分の修繕だが、入居して5年前後で実施することが多い外階段の鉄部の塗装の塗り直しなどの費用に充てたり、将来の修繕費が不足しないようあらかじめ確保しておくためのお金と位置付けられる。

一戸建ての場合は?

マンションとは違い、一戸建てではこのような修繕積立金というものは存在しない。では修繕費が必要ないのかというと、そんなことはない。一戸建ても年月が経てば建物や設備が劣化したり故障したりするのだから、それらを回復させるための修繕費がかかるのだ。ただしマンションのように修繕積立金を毎月徴収する仕組みがないので、自分で毎月積み立てるなど修繕工事に備えておく必要がある。

マンションでは修繕積立金を毎週徴収されますが、戸建ては自分で積み立てておく必要があります

マンションの大規模修繕とは?

マンションの管理について語るときには、大規模修繕という言葉が必ず出てくる。大規模修繕とはその名のとおり、規模の大きな修繕のことだ。前述した修繕積立金でまかなう共用部分の修繕は、おおむね大規模修繕に該当する。

具体的な大規模修繕の例を挙げると、鉄部の塗装のほか、外壁のタイルの補修、給排水管の修繕や取り換え、屋上や外壁の防水工事、エレベーターの修繕や取り換えなど多岐にわたる。集会室や駐車場など共用施設の修繕も大規模修繕の一種だ。

大規模修繕があるなら小規模修繕や中規模修繕もあるのでは?と思うかもしれない。小規模修繕という言葉はあまり聞かないが、大規模修繕に含まれない小さな修繕は確かにある。例えば共用部分の照明の交換や家具などの補修といったものだ。こうした小規模な修繕は日常的な管理の範疇に入るものなので、修繕積立金でまかなうのではなく管理費から費用が支出されるケースが一般的といえる。

外壁の工事など、新築から10~15年で大規模修繕は実施される

マンションの長期修繕計画とは?

長期修繕計画という言葉も、マンションの管理にまつわる用語だ。これは、どの工事をどのくらいの周期で行うのかを30年以上の長期にわたって計画することを指す。なにしろ建物も金額も大規模なので、きちんと計画を立てて修繕工事を実施する必要があるのだ。

マンションの各種修繕は工事をする箇所や工事の内容によって周期が異なる。例えば外壁の修繕は15年前後、鉄部塗装は4~6年程度おきに行う必要があるが、エレベーターや給排水管の取り替えは30年前後に一度発生する。また、日常的なメンテナンスをきちんと行えば周期を長くしたり、修繕費を抑えたりすることもできるだろう。

先に述べた修繕積立金は、この長期修繕計画に基づいて金額が設定される。長期修繕計画で30年以上の期間中にかかるトータルの修繕費を計算し、そこから各住戸が毎月支払う修繕積立金を逆算するのだ。小さい住戸と大きな住戸とで負担する額が同じだと不公平感があるので、通常は専有面積の広さに応じて割り当てられる。

修繕積立金を計算するときにはトータルの修繕費を毎月均等に割るのが分かりやすいが、その方式だと入居の当初から修繕積立金の負担が重めになる。そこで当初は負担を軽くして、数年ごとに徐々に値上げしていく方式を採用するマンションが多い。マンションを買うときには新築・中古を問わず長期修繕計画が作成され、それに基づいて修繕積立金が算出されていることを確認しておこう。

長期修繕計画はあくまで計画なので、修繕工事を実施する場合は工事業者から見積もりをとるなどして実際にかかる(消費税込みの)費用を確定させる。その際、管理組合の理事会で承認をとり、最終的には組合の総会で決議するのが一般的だ。

なお、令和5年度の税制改正で、管理計画の認定を受けたマンションが、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に長寿命化のための大規模修繕工事を行った場合、翌年度の建物部分に課税される固定資産税額が減額されることが盛り込まれた。これは、マンションの老朽化が進む一方で、長寿命化工事に必要な修繕積立金が不足しているマンションが増えているためだ。自治体からの認定を受けるには、修繕積立金の額の引上げが条件になるが、老朽化が進んでいるマンションの場合は前向きに検討する価値があるのではないか。

住宅の修繕費はマンションか一戸建てか、新築か中古かにかかわらず負担しなければならない費用だ。費用を惜しんできちんとした修繕を行わないでいると、建物や設備が傷んで住宅の価値が下がり、かえって大きく損をしてしまいかねない。大切な住宅の資産価値を維持していくためにも、計画的な修繕の実施が重要といえる。

マンションの「長期修繕計画や修繕積立金に関するガイドライン」の改定

令和3年9月28日に「長期修繕計画や修繕積立金に関するガイドライン」の見直しが国土交通省から公表された。

大きな変更点としては新築・中古関係なく、マンションの長期修繕計画を「30年以上で大規模修繕工事が2回以上含まれる期間」としたことだ。

また、脱炭素社会の実現や光熱費用の低減を目的とした「省エネ性能を向上させる改修工事」や「エレベーターの定期点検を計画に追加する重要性」といった、社会的要請を踏まえた内容が盛り込まれたことも注目したいポイント。さらに、適切な修繕積立金の目安となる額も見直されている。

しかし、ガイドラインはあくまでも目安。自身が所有するマンションの計画変更や修繕積立金の変動が気になるところではあるが、まずは現況の長期修繕計画書をこのガイドラインを見ながら、確認してみてほしい。

疑問はもちろん、共用部分に対する要望や確認すべきことがあれば、管理組合や管理会社・専門の建築士などに相談し、正しく管理をしていくことをオススメしたい。

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