ラーメン構造とは?壁式構造とは?逆梁工法や逆梁アウトフレーム工法は?特徴やメリットデメリットをイラストで解説!

最終更新日 2023年08月07日
ラーメン構造って何? 特徴やメリットをイラストで解説!

「ラーメン構造」という言葉を聞いたことがありますか? これは主に建物の構造の一種ですが、マンションでは柱や梁の材料の違いでも構造を分類しています。これら構造や材料の違いでそれぞれメリット・デメリットがあるのですが、どんな特徴があるのでしょうか。「ラーメン構造」は戸建てで施工している例もありますが、この記事ではマンションのラーメン構造について一級建築士の井上恵子さんに教えてもらいました。

ラーメン構造とは?壁式構造とは?マンションの構造の違いを見てみよう

「ラーメン」はドイツ語で「額縁」「枠」の意味

マンションの構造は「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類に分けることができます。そのうちのラーメン構造とはドイツ語の「Rahmen」から取られたもので、「額縁」や「枠」を意味します。

マンションの構造は2種類
イラスト

柱と梁で長方形を構成する「ラーメン構造」

ラーメン構造は、垂直方向に建つ「柱」と、柱をつないで水平方向にかけられる「梁」で長方形を構成します。柱と梁のフレームで建物を支え、室内に動かせない耐力壁が出ないため自由な空間をつくりやすくなります。将来リフォームする際も間取り変更の自由度が高い点もメリットです。

デメリットとしては室内に柱や梁が張り出すことが挙げられます。特に天井に出る梁は間取りプランを見ただけでは想像しにくいので、事前にしっかりチェックするとよいでしょう。

低層から高層建築物まで幅広く対応できるのが特徴です。

6枚の面で構成する「壁式構造」

一方の「壁式構造」は、床・天井・壁×4と合計6枚の壁で空間を構成する構造です。「ラーメン構造よりも地震に強い構造で、阪神淡路大震災の際でも壁式構造のマンションは古くても被害がほとんどなかったことがわかっています」と井上さん。

また柱や梁ではなく壁、つまり面で建物を支えるため、室内が凹凸のないスッキリとした空間になり、家具の配置がしやすくなります。

逆に建物を支える壁を取り払うことができないので、将来の大がかりな間取り変更リフォームの自由度はラーメン構造より低くなります。またラーメン構造と比べて自重が重くなるため高層には向かず、マンションでは主に5階建てまでの低層マンションで使われています。

「ラーメン構造」と「壁式構造」の見分け方

このように構造の違いで家具の置き方や将来のリフォームが変わりますが、新築や中古マンションを購入しようと広告を見ても、たいてい「ラーメン構造」か「壁式構造」かについては記載されていません。ではどうすれば見分けられるのでしょうか。

分かりやすいのは間取図を見ることです。ラーメン構造であれば室内に柱が出っ張っていますし、壁式構造は室内がスッキリとしているはずです。また上記で述べたように、壁式構造は高層には向きませんから、6階以上のマンションであれば、まずラーメン構造です。

軽量鉄骨の賃貸住宅に多いのはブレース構造

「ラーメン構造」と「壁式構造」はマンションでよく用いられる構法ですが、低層の賃貸集合住宅などは軽量鉄骨で造られることも多く、そのさい「ブレース構造」が採用されます。

「ブレース」とは建物を補強する部材のひとつです。柱と梁で構成された四角形の対角線上に、斜めに設置します。このブレースを使う構造を「ブレース構造」と呼びます。

木造一戸建ての構法のひとつに「木造軸組工法」がありますが、そこで使われる「筋交い」と同じような役目を果たすのがブレースです。

ブレース構造

低層マンションなどでは柱や梁などの構造部材に重量鉄骨ではなく軽量鉄骨を採用することができ、同時にブレースを用いて「ブレース構造」とするケースが多いでしょう。ブレースの役割は、地震や風など、建物に水平方向にかかる力に抵抗することです。

3階建て以上になると軽量鉄骨ではなく重量鉄骨で骨組みを造ります。重量鉄骨造の場合、基本的にブレースは使いません。ブレース構造は、2階建て以下の低層住宅や低層集合住宅で軽量鉄骨を採用する際に用いられる工法だと考えてください。

■「ラーメン構造」「壁式構造」「ブレース構造」それぞれの特徴
構造の種類 メリット デメリット
ラーメン構造 ・柱と梁で建物を支える ・間取りの自由度が高い
・高層マンションにも対応できる
・室内に柱や梁が張り出す
壁式構造 ・壁で建物を支える ・凹凸のないスッキリした室内にできる ・間取り変更や窓の大きさ、窓や扉の位置などに制約がでる
ブレース構造 ・軽量鉄骨を採用の際に用いられる
・柱と梁で構成された四角形の対角線上にブレースを斜めに設置する
・地震や風など水平方向の力に強い建物になる ・基本的に窓や開口部のある部分にはブレースを設けることができない

ラーメン構造の逆梁工法や逆梁アウトフレーム工法とは?

室内に柱や梁が飛び出ないラーメン構造もある

ラーメン構造のデメリットとして室内に柱や梁が飛び出ることを挙げましたが、室内に柱や梁を出さないラーメン構造の工法もあります。柱や梁が室内から飛び出ない分、室内がスッキリするというメリットがあります。主に下記の2つの工法があります。

●逆梁工法

通常工法では天井から梁が下に出っ張りますが、逆梁工法とは梁を床から立ち上げるように設置する工法です。「例えば景観を売りにする高層マンションで、角住戸のリビング等に採用されることがあります」

逆梁工法(左)と通常工法(右)
イラスト

●逆梁アウトフレーム工法

上記の逆梁に加え、住戸の四隅にある太い柱も室外に出す工法です。柱をバルコニーまで出すため梁もバルコニーまで出せます。またバルコニー側を天井高までのハイサッシにすることができます。

ただしバルコニーの手すり部分に梁がくるため、バルコニーが狭くなりがちなほか、梁の部分を足がかりにして子どもが誤って乗り上げる危険性があるので注意が必要です。

逆梁アウトフレーム工法(左)と通常工法(右)
イラスト
■逆梁工法と逆梁アウトフレーム工法のメリット・デメリット
工法 メリット デメリット
逆梁工法 ・窓を高い位置に配置できるので、眺望が良い住戸に向いている ・足元に梁が飛び出るので、家具を置く位置に制約がある
逆梁アウトフレーム工法 ・バルコニー側に床から天井までのハイサッシが備えられる
・室内に柱や梁が出っ張らないので、空間がスッキリする
・バルコニーが狭くなりがち
・バルコニーにある梁の部分に子どもが誤って乗り上げる危険がある

ラーメン構造を採用するときの注意点

ラーメン構造のマンションを購入するときの注意点

ラーメン構造は太い柱と梁によって建物を支えますから、通常の工法の場合どうしても室内に柱や梁が飛び出します。しかし上記の通り、通常の工法より室内がスッキリする「逆梁工法」や「逆梁アウトフレーム工法」もあります。

こうした工法の違いで、家具の置きやすさや窓の大きさなど、使い勝手が変わりますから、購入を希望するマンションがラーメン構造だった場合、どの工法のどれが採用されているか、確認しましょう。

また飛び出している柱や梁の寸法や位置を正しく把握しないと、特に壁側に置く家具のサイズが決められません。販売会社に寸法を確認するか、入居後に寸法を測ってから家具を購入するとよいでしょう。

ラーメン構造で一戸建てを建てるときの注意点

一戸建てでラーメン構造を採用することもできます。マンション同様、広くて天井の高いリビングなど、自由に空間をつくりやすく、将来リフォームする際の間取り変更も容易になります。

一方で、鉄筋とコンクリートを使った「鉄筋コンクリート造(RC造)」や、重量鉄骨を使った「鉄骨造(S造)」(下記参照)になりますから、軽量鉄骨+ブレースを使うブレース構造と比べて材料費がかかります。

さらに建物自体が重くなるため、土地の地盤改良や大規模な基礎工事になる場合は、その分のコストが増えます。

ラーメン構造の耐震性は?

先述の通り、一般的に壁式構造は耐震性が高いのですが、だからといってラーメン構造は地震に弱いかといえば、もちろんそうではありません。

建物の耐震性は構造だけで決まるのではなく、地盤の状況や建物の形状、部材の寸法、壁や窓の位置など、さまざまな要素が影響します。それらを鑑みて専門家が構造計算を行い、地震に耐えられる建物を設計します。

実際、高層マンションや高層のオフィスビルでもラーメン構造は採用されています。

ですから、新築マンションを購入する場合、基本的に、耐震性を心配して構造を選ぶ必要はありません。もし、より地震に強い建物を希望するなら、免震構造、制振構造などを採用している物件を選ぶ方法があります。

また一戸建てを検討する場合、建築家と相談しながらどの構造がいいのか決めるとよいでしょう。

マンションの構造は柱や梁の材料で分けることもできる

鉄骨・鉄筋・コンクリートの組み合わせで3タイプある

一方、柱や梁、壁といった建築物の構成材によってもマンションを分類することができ、それぞれ特徴が異なります。またこちらの分類のほうが広告等に「構造」として記載されることが多いようです。

柱や梁などをつくる構成材には「鉄骨」「鉄筋」「コンクリート」の組み合わせ方で、「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」「鉄骨造(S造)」の3種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

柱で見た場合の構成材の種類
イラスト
左から「鉄筋コンクリート造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」

●鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋を芯として配置した型枠にコンクリートを流し込んでできる構成材を使います。引張(ひっぱり)に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートという双方の特徴を組みあわせることで、高い強度を確保しています。英語で鉄筋コンクリートを「Reinforced Concrete(直訳すると「補強されたコンクリート」)」ということから「RC造」とも呼ばれます。

メリットとしては、上記のとおり強度があること。また型枠にコンクリートを流して形をつくるため、比較的自由な形にしやすく、例えば曲線の壁などをつくることができます。

デメリットとしては重量が重くなること。その自重を支えるため、高くなるほど下階の柱や梁は太くなり、その分室内が狭くなりがちでした。そのためかつては7階程度の分譲マンションにしか採用されていませんでした。しかし近年ではコンクリートの軽量化技術が進み、20階以上の高層も可能になっています。

現在の分譲マンションで最も多いのがこの鉄筋コンクリート造です。またラーメン構造、壁式構造のどちらでも採用されています。

●鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

基本的に上記の鉄筋コンクリート造(RC造)と同じですが、支柱に鉄骨を用いることで、鉄筋コンクリート造の強度と、鉄骨造のもつ粘り強いしなやかさというそれぞれのメリットを備え、同時に両者のデメリット(鉄筋コンクリート造の重さと、鉄骨造の揺れやすさ)も補う構造です。

メリットとしては建物を高層にする場合、鉄筋コンクリート造(RC造)では重さを支えるために柱や梁の断面が大きくなりますが、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)はそれを抑えることができます。

一方デメリットとしては鉄筋コンクリート造(RC造)よりコストが高くなります。また工期も長めです。

こちらはラーメン構造で用いられます。

●鉄骨造(S造)

粘り強くてしなやかさのある鉄骨を柱や梁などの骨組みに使います。鋼材の厚みが6mm以上のものを「重量鉄骨造」、6mm以下のものを「軽量鉄骨造」と分類することもできます。

メリットとしては土台部分くらいしかコンクリートを使わないため、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)と比べて軽量なことです。またコストを抑えやすく、工期も短いというメリットがあります。

デメリットとしては、しなやかゆえに上記2つと比べて風や地震で揺れやすいことです。

柱と柱の間隔(スパン)を長く取ることができるため、工場や体育館など広大な建築物に採用されます。またコストや工期面でメリットがあり、賃貸住宅にもよく採用されます。軽量化を図りたい超高層マンションでは、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)をベースに一部に鉄骨造を採り入れることもあります。

こちらはラーメン構造で用いられます。

マンションの構造と柱や梁の素材と、その特徴

このようにマンションは「ラーメン構造/壁式構造」、さらに「鉄筋コンクリート造/鉄骨鉄筋コンクリート造/鉄骨造」と分類ができ、それぞれ特徴があります。価格や間取り以外にも、これらの分類にも注意してマンションを選びましょう。

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