土壁の特徴や壁紙にはないメリットは?リフォーム方法と工期や費用の目安についても解説

公開日 2021年06月25日
土壁の特徴や壁紙にはないメリットは?リフォーム方法と工期や費用の目安についても解説

土壁は昔から日本の住宅に広く取り入れられてきた。現在は壁紙が主流になっているが、珪藻土の普及により人気が高まり、LDKなどさまざまな空間に取り入れられている。そこで、土壁のメリット・デメリット、土壁の上から壁紙は張れるかなどリフォーム方法や費用の目安、DIYする場合の注意点について、さまざまな内装材を手掛ける四国化成工業に伺った。壁の素材選びの参考にしてほしい。

土壁とは?

土壁とは、土を使用した左官仕上げの壁のことで、仕上げ(上塗り)用の土色により、聚楽(じゅらく)壁・錆(さび)壁などがある。土壁の原料は土の他に藁なども用いられ、高温多湿の日本の気候風土に適している。
土壁で最もポピュラーなのが珪藻土。珪藻土とは、海や湖に生息する珪藻(植物プランクトンの一種)の死骸が、長い時間をかけて堆積してできた土のことで、調湿・保温・断熱効果に優れている。
壁紙のホルムアルデヒドなどの化学物質などの問題から珪藻土をはじめとする自然素材が見直されるようになり、さまざまな空間に取り入れられるようになった。

ビニールクロスに比べて、珪藻土は湿度が上がると湿気を吸収する
珪藻土の特徴である「吸放湿作用」で、室内の湿度を一定に保つことができ、結露を抑えてカビやダニの発生を抑制(グラフ提供/四国化成工業)

土壁は、石などを混ぜ込んでゴツゴツとした仕上がりにしたり、ツルツルと滑らかに仕上げたりと、原料の種類や混ぜ込む素材によって肌合いが変わるのも魅力。従来はアースカラーのナチュラルな色みが主流だったが、最近ではカラーバリエーションが増えたことでアクセントウォールとして取り入れるなど気軽に取り入れられるようになっている。また、コテ跡を残すような塗り方など仕上げ方によっても立体感を演出できたりと、ニュアンスを楽しむことができる。自然素材の塗壁である砂壁と比べてカラーや仕上げのバリエーションが豊富なことから、個性あふれる空間にできるのもポイントだ。

コテパケ スパニッシュ仕上げ/スパニッシュ仕上げ
左:コテパケ スパニッシュ仕上げ/右:スパニッシュ仕上げ
コテパケ ラフ仕上げ/ラフ仕上げ
左:コテパケ ラフ仕上げ/右:ラフ仕上げ
さざ波仕上げ/くし引き サークル仕上げ
左:さざ波仕上げ/右:くし引き サークル仕上げ
くし引き 扇仕上げ/ヤマギリ 扇仕上げ
左:くし引き 扇仕上げ/右:ヤマギリ 扇仕上げ
コテパケ 扇仕上げ
コテパケ 扇仕上げ
同じ土壁でも仕上げ方によって表情が変わるので、模様付けは空間のアクセントにもなる(画像提供/四国化成工業)
シンプルな白を基調にしたインテリアにも馴染む土壁
カラーバリエーションが豊富なので、さまざまなニュアンスの空間をつくることができる(画像提供/四国化成工業)

土壁のメリット・デメリット

土壁のメリット

土壁は、主原料が土のため、耐火性に優れ、断熱効果も高い。また、室内の湿度が上がれば水分を吸収して窓の結露を防ぎ、乾燥すれば溜め込んだ水分を放出するという調湿効果によってカビやダニの発生を抑え、室内を快適に保つことができる。脱臭効果や化学物質を吸着してきれいな空気にしてくれる効果も。吸音性や遮音性にも優れているのが特徴だ。
また、有害な化学物質を含まない自然素材のため、「シックハウス症候群(ホルムアルデヒドなどの化学物質に対するアレルギー)」を起こさないことからも健康面でも安心な素材と言える。

混ぜる土の色合いや粒度により、さまざまな色みやテクスチャを楽しむことができるのも土壁の魅力。コテ跡を残すような塗り方など仕上げ方によってもニュアンスを変えることができる。

<土壁のメリット>

・土は燃えない素材のため耐火性や断熱性が高い
・調湿作用、脱臭効果で空気をきれいにしてくれる
・吸音性や遮音性に優れている
・自然素材なのでアレルギーになりにくい
・さまざまな色みやテクスチャ、仕上げ方でニュアンスを変えることができる

土壁のデメリット

土壁は汚れても水拭きをすることができないため、汚れた場合はそれを味と捉えていく必要がある。紫外線の影響などによって経年劣化で退色し、接着強度が落ちてポロポロと土が剥がれ落ちてくることがある。天然素材になるので落ちた土そのものに害はないが、放っておくと壁の強度が低下するので注意しよう。また、土壁などの塗壁は施工技術も必要になるため、壁紙よりも3~5倍費用が高くなる。塗装後に水分が蒸発してしっかり乾燥するまで1~2日程度かかることから、工期も長くなる。

<土壁のデメリット>

・汚れを水拭きできない
・紫外線による経年劣化で接着強度が落ちて土が取れることも
・壁紙に比べて費用が高く、工期が長い

土壁の上から壁紙は張れるのか?

土壁の上に壁紙を張る場合は、リフォーム会社に相談を

土壁は土の粒による凹凸があり、接着力が弱く剥がれやすくなることから、土壁の上に直接壁紙を張るのは不向き。特にコテ跡を残す仕上げにしている場合などは、壁面の凹凸が大きいため剥がれやすい。土壁から壁紙に変更する場合は、壁紙を張る前に凹凸を平らにする必要があるが、土壁を剥がしたりベニア板を張るなど大掛かりになるため、基本的にはリフォーム会社など専門業者に依頼するのがベター。DIYする場合は下地用シーラーやシールパテなどを使用しよう。
反対に、ビニールクロスの上から塗れる土壁はあるので、自然素材で上品な仕上がりの土壁にリフォームをしたいという場合は、壁紙対応のものを選ぼう。

土壁のリフォーム方法と期間・費用の目安

土壁のリフォーム方法

土壁は汚れを水拭きできないため、10年くらいを目安に汚れが目立つようになったらメンテナンスしよう。リフォームする場合は、下地がボロボロだったり剥がれてしまっていると、その上に塗り重ねても全部剥がれてしまう危険性があるため、必要に応じて下地の補強を行うことも必要。

土壁などの塗装された壁のリフォームは、同じように自然素材の塗壁にするのが相性が良く、長持ちする。ペンキを塗ってしまうと、調湿効果や脱臭効果など自然素材がもつ本来の性質が失われてしまうため、砂壁、珪藻土などの土壁、漆喰(しっくい)などの自然素材のものを重ねるようにしよう。

築157年の古民家の構造躯体を引き立てつつ空間をモダンに演出するブルーの土壁
自然素材の土壁はこなれ感のある風合いに仕上がるため、リフォームにも適している(画像提供/四国化成工業)

土壁リフォームの期間・費用の目安

土壁などの塗壁の場合、珪藻土など種類によって価格帯はさまざまであるが、左官技術が必要になるため、2000~5000円/m2くらい(製品材工価格・模様付け無しの場合)を目安に考えておこう。家全体ではなく主要な空間にメリハリをつけて取り入れるなど工夫しよう。
また、壁のリフォームにかかる期間は塗装に半日~1日、乾燥までに1~2日の計3日程度を目安に考えておこう。

・土壁リフォームの費用相場とリフォーム日数
リフォーム内容 土壁の塗装
費用相場 2000~5000円/m2程度
リフォーム日数 塗装に半日~1日、乾燥までに1~2日の計3日程度
コテ跡を残すように仕上げた土壁
土壁や砂壁、漆喰などの塗壁の場合は、塗装後の乾燥するまでの時間を考慮しておこう(画像/PIXTA)

土壁をDIYで塗装する場合の注意点について

土壁は塗装技術が必要であるため、リフォームする際はなるべく専門業者に依頼するようにしよう。もし、DIYで塗装する場合は、塗料や道具などのアイテムをホームセンターなどで購入することが可能だ。

DIYする場合の注意点

壁のリフォームで最も重要なのが下地。下地の状態がボロボロでは上塗りしても下地ごと剥がれてしまうため、必要に応じて下地を補強しよう。塗材がはみ出ないように、スイッチまわり、サッシ、床など塗装する場所以外をビニールシートと養生テープでしっかり覆っておこう。

塗料は水と混ぜるだけなので材料自体はシンプルだが、混ざり方が均一でないと強度にバラつきが生じて施工後に剥がれてしまうこともあるため、塗料が均一になるまでしっかり混ぜ、まず狭い一面から塗って確認を。
塗装方法はコテとローラーの2種類あるが、コテ塗りは技術が必要になるため、心配な場合は簡単に塗れるローラー対応の材料がオススメだ。コテ跡を残したい場合には、ローラーで全体を塗装してからコテ跡をつけるとうまく仕上げられる。

また、塗壁は水分が蒸発して固まるため、作業から乾燥までは部屋の換気をして風通しを良くしておくこと。乾燥にかかる目安は、夏場で1日、冬場は2日程度だが、しっかり乾くまで触れないようにしよう。

土壁は、カラーバリエーションや仕上げ方のバリエーションが豊富。デザインや施工面積によっては塗装技術が必要になる。DIYが難しい場合は、プロであるリフォーム会社に依頼しよう。

まとめ

土壁とは、土を使用した左官仕上げの壁のことで、仕上げ(上塗り)用の土色により、聚楽(じゅらく)壁・錆(さび)壁などがある

耐火性や断熱性に優れており、調湿効果や脱臭効果、化学物質を吸着してきれいな空気にしてくれる効果も

土壁をリフォームする場合は、土壁の状態を確認して必要に応じて補強をするのが重要

砂壁や土壁など塗装された壁のリフォームは、同じように自然素材の塗壁にするのが相性が良く、長持ちする

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取材・文/金井さとこ
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