掃き出し窓とは?引き違い窓との違いは?サイズの種類やメリット・デメリットは?目隠し・寒さ対策もご紹介

最終更新日 2023年06月12日
掃き出し窓とは?引き違い窓との違いは?サイズの種類やメリット・デメリットは?目隠し・寒さ対策もご紹介

掃き出し窓があれば庭やベランダに出やすく、換気や通気も簡単そうで何かと便利。一方で防犯や断熱性などが心配ですが、そもそも掃き出し窓とは?引き違い窓とはどんな違いがあるのでしょうか。また、掃き出し窓のメリットやデメリットって何でしょうか? YKK APの南雲さんに教えてもらいました。

掃き出し窓とはどんな窓?

人が出入りしやすい窓

掃き出し窓とは、窓の下部分が床まである引き違い窓のこと。日本で一番よく使われているといわれる窓です。「かつて、ほうきで掃除をしていたころに、ここからゴミを庭へ掃き出したことからこう呼ばれるようになった、という説もあります」

掃き出し窓、引き違い窓、片引き窓の違い

引き違い窓とは、左右にスライドする方式の窓を指します。窓をレール上を水平移動させて開閉します。この中で、窓の下部分が床まである窓を掃き出し窓と呼びます。ちなみに片引き窓はレールの上を水平移動させて開閉する窓と、FIX窓(開閉できない窓)を組みあわせた窓を指します。

掃き出し窓の例
掃き出し窓の例
庭やウッドデッキ、ベランダに出入りしやすいのが掃き出し窓のメリットの1つ。【画像】「APW 331」引違いテラス戸(画像提供/YKK AP)

掃き出し窓のメリットは?

まず簡単に窓の外へ出られる、中に入れるのがメリットです。またドア(開き戸)と違い、外側に網戸を付けられるので開け放しにして風を取り入れやすくなります。さらに人が出入りできるほど開口部が広いので、採光性もよく、庭などの景色もよく見え、開放感もあります。

※ドアでも内側に網戸を備えられるタイプもありますが、開け放す際にドアが風であおられないようロックする必要があります

庭など外へ出やすい
羨望も楽しめる 掃き出し窓
写真のように庭に出やすく、眺望も楽しめます。【画像】エピソードNEO(画像提供/YKK AP)
掃き出し窓のメリット

・人が出入りできる
・開け放して風を取り入れやすい
・採光性がいい
・眺望がいい
・開放感がある

掃き出し窓のデメリットは?

開口部が広い分、断熱性の高い窓にしないと、室内が外気の影響を受けやすくなります。また人が出入りできるので、防犯に注意が必要です。さらに面積が大きいこともあり、台風時の飛来物などで割れる心配があるほか、窓が大きくなるほど開閉時に重く感じられるようになります。「当社の場合、オプションで開閉が軽くなるハンドルを用意しています」

ちなみに網入りの防火窓なら飛来物でも割れにくいと思っている人が少なくありませんが、それは間違いです。防火窓のガラスは炎によるひび割れでは一定の時間脱落しませんが、飛来物が当たればガラスが割れて金属の網も曲がってしまうため、普通の窓と同様に、割れて穴があきます。

掃き出し窓のデメリット

・断熱性の高い窓にしないと室内の断熱性が下がってしまう
・防犯に注意
・面積が大きい分、飛来物で割れやすい
・面積が大きい分、開閉が重くなる場合もある

備えるのに適した場所は?

1階なら庭やウッドデッキに、2階ならバルコニーに面した場所に設置すれば、自由に出入りできます。洗濯物を干す場所の近くに設置すれば家事が楽になります。

掃き出し窓の目隠し対策

開口部が広い掃き出し窓は、家の外の景観を楽しむことができるのがメリットの1つ。しかし「室内から外がよく見える」ということは、同時に外の道路や隣家から家の中が覗かれやすくなるということでもあります。

外からの視線を遮りたい場合、室内側の対策としては窓にカーテンやロールカーテン、ブラインドを備えるのが一般的です。あるいは窓の外側にシェード等を設置する方法もあります。

また道路や隣家の境界に外壁を設けたり、目隠し用の植栽を植えれば、カーテン等をいちいち開閉する手間が省けます。ただし定期的に外壁や植栽のメンテナンスが必要になります。

もし、室内からの景観をあまり望まず、採光や庭等への出入りのために掃き出し窓を備えたいならば、掃き出し窓のガラスの種類を変えるという方法もあります。

1つは、一般的に浴室等に使われることの多い型ガラスです。ガラスの片側の表面がデコボコしているため、外から見ると人のシルエットはわかりますが、ぼんやりとしか判別できません。

もう1つは、乳白色の特殊な膜を使うガラスです。高断熱窓は2枚~3枚のガラスを使用しますが、このガラスとガラスの間に乳白色の特殊な膜を挟むことで視線をカットするというものです。外から見ても人のシルエットかどうか判別しにくく、型ガラス以上に視線をカットします。

視線をさえぎるガラスの種類だけで言えば、他にも「すりガラス」や「ミラーガラス」等がありますが、これらを用いた掃き出し窓がほとんどなく、希望するなら特注で作るしかありませんから、現実的ではないでしょう。

そのほか、最も手軽な方法として、ホームセンターなどで入手できるガラスフィルムをDIYで張るという方法もあります。

リビングルーム窓のイメージ
目隠しとしてカーテンを備えるなら、外からの視線を遮りながら採光性が高いケースメントカーテンなどがオススメ(写真/PIXTA)

掃き出し窓の寒さ対策

開口部が広いため、何も対策をしないと「室外から熱が入りやすい」「室内から熱が逃げやすく」なるため窓の断熱性能を高める必要があります。窓の断熱性能が上がればエアコン等の負担が減り、省エネになって光熱費の抑制にも繋がるでしょう。さらに、断熱性能が高いと窓の結露が減り、カビが生じにくくなります。

窓の断熱性能を高める方法としては、主に2つあります。

断熱性能の高い掃き出し窓を設置する

1つは断熱性能の高い掃き出し窓を設置するという方法です。

従来日本で最も普及してきた窓は「1枚ガラス+アルミフレーム」の窓ですが、最近はそれよりも断熱性能の高い「高断熱窓」が人気です。窓の断熱性能を高めに、ガラスを2枚~3枚使った「複層ガラス」を用いているのが特徴の1つです。

高断熱窓に使われている複層ガラスは、ガラスとガラスの間に乾燥した空気またはガスを封じ込めたものです。さらにガラスの表面に熱を伝えにくくする処理(Low-E皮膜処理)が施されます。

高断熱窓のもう1つの特徴は、ガラス部分を支えるフレーム部分の断熱性能も高いということです。ガラス部分の断熱性能が高まっても、フレームの断熱性能が低ければ、そこから熱が出入りしてしまいます。自宅の窓を見てみれば、フレームの面積が意外と占めていることがわかるでしょう。

そこで高断熱窓には断熱性の高いフレームが用いられていますが、最も断熱性能が高いのは樹脂を使ったフレームです。次いでアルミと樹脂を使ったアルミ樹脂複合フレームとなります。

断熱性能の高い掃き出し窓を選ぶなら、複層ガラスを使った樹脂フレームまたはアルミ樹脂複合フレームの窓を選ぶと良いでしょう。

断熱性能の高い内窓を備える

断熱性能を高めるもう1つの方法は、既存の掃き出し窓の内側に断熱性能の高い内窓を備える方法です。

窓の断熱性能自体は、上記の高断熱窓と同じですし、既存窓との間に空気層が生まれるため、遮音効果も高まります。また工事時間も60分程度ですみ、窓を変えにくいマンションでも、内窓の設置はOKという場合が多いので、手軽に断熱性能を高めることができます。

一方で、窓が2つになるため、掃除の手間がかかる点は注意が必要です。

カーテンや断熱シート その他の対策

もっと手軽に断熱性能を高めたいなら、カーテンを用いる方法があります。生地の厚いカーテンを用いるほど断熱効果が高くなりますが、その分閉めた時に部屋が暗くなります。

またホームセンターなどで入手できる断熱シートや、隙間風を防ぐ隙間テープを使う方法もあります。

ただし、カーテンや断熱シート、隙間シート等を用いても、高断熱窓ほどの効果は望めません。根本的に掃き出し窓の断熱性能を高めたいなら、高断熱窓か高断熱の内窓の設置を検討しましょう。

掃き出し窓の種類

掃き出し窓のサイズは豊富

日本人によく知られている窓ですから、サイズのバリエーションは豊富です。「最近は室内と室外が一体化して見えるようなリビングのデザインが人気です。そのため床から天井までの大開口窓にしたいという要望が多く、商品によっては2500mmを超える高さも用意しています」

一方幅は、人の出入りできるサイズですから「当社のAPW 330の規格サイズの例でいうと、2枚建ての内法(窓の内側のサイズ)で1190mm~2560mmを用意しています」。

APW330掃き出し窓のサイズ例
掃き出し窓サイズ表
APW 330のカタログより一部抜粋。「サッシW」「サッシH」の数値は外法(フレームを含む窓のサイズ)。単位はmm(画像提供/YKK AP)

また出入りする際に、段差が生じる場合がありますが、最近は下記の下枠がフラットなタイプもあります。あるいは窓の納め方次第(設計次第)でこうした段差を解消することもできます。

段差のない掃き出し窓
段差のない掃き出し窓
室内外のフラット化人気に伴い、下枠の段差がほとんどない、フラットな掃き出し窓もあります。デザイン性の魅力だけでなく、つまずきや転倒も防ぎやすくなります。【画像】エピソード 下枠ノンレール引違い窓(画像提供/YKK AP)

また掃き出し窓というと、2枚の引き違い窓をイメージしがちですが「庭への出入りだけでなく眺望も楽しみたいのであれば、例えばFIX窓と掃き出し窓を組みあわせた片引き窓もあります」。掃き出し窓をFIX窓の左または右側に1枚、あるいはFIX窓の両側に1枚ずつなど、間取りに合わせて組みあわせ方はいろいろあります。

FIX窓と掃き出し窓を組みあわせた両袖片引き窓の例
掃き出し窓を利用した片引き窓
かつてなら引き違い窓を4枚そろえていたような場所でも、真ん中にFIX窓を備え、左右の掃き出し窓で出入りできるようにした両袖片引き窓。縦に入るサッシ部分が省かれる分、眺望がよくなります。【画像】両袖片引き窓 APW 511(画像提供/YKK AP)

高断熱窓や防火窓もある

面積が大きくなる掃き出し窓だけに、部屋の断熱性能を高める高断熱窓や、火災の際に延焼時間を引き延ばせる防火窓はしっかり用意されています。

高断熱窓は、Low-E複層ガラスやトリプルガラスを使った高断熱窓が用意されています。フレーム部分の外側がアルミ+内側が樹脂の複合タイプや、さらに断熱性能の高い外側・内側とも樹脂製のタイプから選べます。

防火地域や準防火地域で使用する防火窓にも掃き出し窓があります。もちろん防火+高断熱タイプも用意されています。

網のない防火窓もある
網のない防火窓もある
網のない耐熱強化複層ガラスを使った防火窓もあります。これなら掃き出し窓のメリットの1つである眺望性を損ないません。【画像】「防火窓Gシリーズ」耐熱強化複層ガラス仕様(画像提供/YKK AP)

防犯窓のほか、防犯・減災用にシャッターを

掃き出し窓には防犯性の高い「CPマーク(※)」の入った防犯建物部品(いわゆる防犯窓)もあります。この窓では2枚のガラスの間に特殊な膜を挟んだ防犯合わせガラスを使用します。この特殊な膜は非常に破れにくいため、ハンマーなどで叩かれてガラスが割れても、膜に割れたガラスが張り付いて残ります。そのため穴があきにくく、侵入までに5分以上(多くの泥棒が侵入を諦めるといわれる時間)かかります。

※警察庁、国土交通省、建物部品関係団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が認定・公表した「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表された建物部品のみを「防犯建物部品」と呼び、「CPマーク」の使用が認められています

ちなみに防犯窓は、飛来物によってガラスが割れても、同様に割れたガラスを膜に貼り付けようとしますので、膜が破れない限り、被害の拡大を防ぎやすくなります。

高断熱窓にも防犯窓がある
高断熱窓にも防犯窓がある
左が防犯合わせガラス、右が単板ガラス。高断熱窓にも防犯窓が用意されています。さらに引き違い窓の場合、通常の錠とは別に、補助錠を備え防犯性が高められています。【画像】破壊試験(防犯合わせガラス、単板ガラス)(画像提供/YKK AP)

防犯・減災の性能をさらに高めるなら、シャッター付きの掃き出し窓がおすすめです。「最近は手動/リモコンなど開閉方法の違いやスチール製/アルミ製といった素材の違いだけでなく、閉めても通風・採光できるタイプや、外出先でのスマートフォンによる操作で開閉できる機能付きなど、さまざまな種類や機能があります。またシャッターには防火シャッター(スチール製のみ。サイズ等の制限あり)もあり、これを備えれば窓を防火窓にしなくても済みます」

通風・採光できるシャッター
通風・採光できるシャッター
全部閉めても、一部または全部のスリットを開けて通風・採光できるシャッター。【画像】リモコンスリットシャッター(画像提供/YKK AP)

どんな暮らしをしたいかによって備える窓が変わる

かつては日本の窓といえば掃き出し窓が主役でしたが「都市部にお住まいの方の中には、防犯性を重視して1階には掃き出し窓を設けず、2階のリビングやバルコニーのみに設置しているという方もいらっしゃいます」。これは窓の配置方法で防犯を考えた例ですが、もちろん1階でも掃き出し窓を防火窓にする方法もあるでしょうし、防犯シャッターを備える方法もあります。つまり掃き出し窓のデメリットの1つと言われている「防犯」ひとつとっても、その対策方法はたくさんあるのです。

そもそも「ほうきでゴミを庭に掃き出したから掃き出し窓」という説があるように、掃除機のなかったころからあった窓です。一方で時代は進み、現在はさまざまなカタチの窓が登場しています。そのため「この窓がいい」と決め打ちをする、あるいは設計士や施工会社に言われるままに備えるのではなく、まずは家を建てる際に設計士にどんな暮らしをしたいのかを伝える中で、窓を選んでいくといいでしょう。

まとめ

掃き出し窓は庭やバルコニーへ簡単に出入りできる窓です。

防犯・防火・防災の観点からシャッターを備えることがおすすめです。

どんな暮らしをしたいのかによって、選ぶ窓の種類や位置が変わります。

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取材・文/籠島康弘 
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