所得証明書とは?取り方や課税証明書との違い、収入証明の種類や必要な場面を解説

最終更新日 2024年03月31日
所得証明書とは?課税証明書との違いや必要な場面、取り方を紹介

住宅ローンの借入や賃貸住宅の入居など、住まいに関する契約においてよく求められるのが「所得証明書」です。しかし、「所得証明書」ではなく「課税証明書」「課税非課税証明書」といった名称を用いる市区町村も多く、取得の際には混乱してしまうことも。ここでは所得証明書の取り方をはじめ、源泉徴収票など住まいの契約で求められることが多い書類について解説します。

所得証明書とは

「所得証明書」とは、「所得額」が記載された書類で、各市区町村が発行しています。所得額とは、各年(1月1日~12月31日)の収入(年収)から、給与書等控除額などの必要経費を差し引いた金額で、市区町村が市区町村税・県民税などの住民税を計算するための基準となります。このため所得証明書は、収入を証明する公的な書類(収入証明書)のひとつとして、住宅ローンや賃貸住宅の申し込みなどの際に提出を求められることがあります。

課税証明書との違い

所得証明書とよく似た書類で、「課税証明書」があります。「課税証明書」は、「住民税の課税額」を証明する書類で、市区町村が発行しています。課税証明書には、1年間の所得額、住民税の額、扶養、所得控除額などが記載されます。
課税証明書は課税額の計算基準となる「所得額」も掲載されているため、所得証明書の役割としても利用できます。
ちなみに「非課税証明書」は、住民税が課税されていないことを証明する書類です。

所得証明書の代わりに、所得額が記載された「課税証明書」を発行する市区町村も多い
所得証明書の名称は市区町村によって異なるが、「課税証明」「市民税・県民税等の証明」「税証明」などのキーワードが付くケースが多い

所得証明書の名称は市区町村により異なる

所得証明書(課税証明書)の名称は市区町村で異なり、大きく次の2つに分かれます。

ひとつは、「市県民税課税・非課税証明書(所得証明書)/福岡市」「所得(市・道民税)証明書/札幌市」というように、『所得証明』というキーワードが入るケース。

もうひとつは、「市民税・県民税課税(非課税)証明書/横浜市」「市民税・県民税証明書/名古屋市」「特別区民税・都民税課税(非課税)証明書/中央区」というように、『所得証明』という言葉が入らないケースです。

ですから、オンラインで検索した市区町村のページに「所得証明」という名称がなくても、「課税証明」「市民税・県民税等の証明」「税証明」などの書類があれば、それが所得証明書として利用できると考えて問題ありません。

所得証明書はどこで手に入る?取り方(取得方法)とは

所得証明書(課税証明書)がどこで取れるのでしょうか。必要な手続きや持ち物をご紹介します。

所得証明書の発行場所や申請内容

所得証明書(課税証明書)は、翌年の1月1日時点に居住している市区町村が発行します。例えば、2023年分の証明書は2024年1月1日に居住していた市区町村が発行するため、2024年1月2日以降に引っ越した場合、前に住んでいた市区町村に請求する必要があります。

また、奨学金や年金、配偶者の扶養や融資(住宅ローン等)の申請など、所得証明書の利用目的によって、必要な「記載情報・証明する年・証明書の枚数」などが変わります。提出先に必要事項を事前に確認しておきましょう。

所得証明書とは何かを不動産会社などに確認する夫婦
銀行や不動産会社などから「所得証明書」の提出を求められたら、必要な「記載情報・証明する年・証明書の枚数」や「課税証明書などでも大丈夫か」を確認しておこう(画像/PIXTA)

所得証明書の窓口申請の方法と必要な物

所得証明書(課税証明書)は、市役所の担当課(市民税課など)のほか、出張所や連絡所などで申請できるケースもあります。

本人が請求する場合に必要な物は、多くの場合「本人確認書類(マイナンバーカード・免許証など)」と「手数料」としています。手数料は市区町村ごとに違いますが、300~400円程度であることが多いです。このほか、窓口で「交付申請書(請求書)」を記載しますが、「証明書の利用目的」「どの種類の証明書が必要か」など、その場で分かりにくい内容もあるので、事前に疑問点を提出先に確認しておくと安心です。

所得証明書を本人以外(代理)が請求する場合

「委任状」と「代理人の本人証明書類」を持参すれば、本人以外(代理人)の請求も可能です。ただし「委任状」は自治体の公式サイトでダウンロードし、必ず本人が記入する必要があります。なお、市区町村内に居住していて、同一世帯の親族が代理する場合は委任状はいらない市区町村もあります。

また、本人が請求する場合と同様に、手数料と交付申請書への準備も必要です。なお、窓口で申請する場合に必要な物については、市区町村によって異なる点もあるので、自治体の公式サイトで事前に確認することをおすすめします。

代理人が所得証明書の申請をする場合、委任状が必要
代理人が所得証明書の申請をする場合、委任状は必ず本人が記入しよう(画像/PIXTA)

所得証明書の発行はコンビニエンスストアでもできる?

所得証明書(課税証明書)は郵送で申請できます。また、全国で900を超える市区町村が、コンビニエンスストアで所得証明書や課税証明書などを発行できるサービスを導入しています。マイナンバーカードを持つ人(本人)が利用でき、全国のコンビニエンスストアなどのキオスク端末(マルチコピー機)から所得証明書を取得できます。

このほか、スマートフォンやパソコンなどからオンラインで申請して、郵送で対応してもらえる「オンライン申請」を導入している市区町村もあります。中には市の公式LINEアカウントから所得証明書を請求できる自治体も。お住まいの市区町村の公式サイトで、どのような交付方法があるのかチェックしてみてください。

所得証明書(課税証明書)をコンビニで取れる市区町村もある
所得証明書(課税証明書)のコンビニ発行サービスを実施する市区町村も。マイナンバーカードがあれば利用できる

住宅の購入・賃貸の契約時に所得証明書と源泉徴収票が必要なことも

ここまで所得証明書(課税証明書)の取り方を説明してきました。しかし、住宅ローンを申し込むときや賃貸住宅に入居するときは、所得証明書だけでは不十分なことも。反対に、所得証明書をわざわざ取らなくても、代わりに使える書類などもあります。どういった書類が住まいの契約をする際に有効なのでしょうか。

会社員等が収入を証明する書類(収入証明書)には、源泉徴収票や所得証明書(課税証明書)などがある
会社員等は、住宅ローンや賃貸住宅の申し込み時に、収入を証明する書類として源泉徴収票と所得証明書(課税証明書)等の2種類が必要な場合がある

源泉徴収票

住宅ローンを申し込む際には、所得証明書などに加えて「源泉徴収票」が必要なケースがあります。源泉徴収票は、会社に勤めている方は、基本的に毎年12月~1月ごろに勤務先から配布される書類で、年間の給与額や社会保険料、源泉徴収された税額などがまとめられたもの。直近で住宅ローンの借り入れや賃貸住宅の契約の予定がある人は、こちらも無くさないように保管しておきましょう。

源泉徴収票を紛失した場合などは、勤務先に再発行を依頼できます。市役所などでは対応していないので注意してください。

給与の支払明細書

賃貸住宅の入居審査でよく求められるのが、「給与の支払明細書」。「給与明細」などとも呼ばれ、1カ月にいくら給与が支払われたかを示す書類です。給与の支給額だけでなく、社会保険料や税金などの控除額、勤怠情報なども書かれるのが一般的。
給与明細書に似たものに、「給与支払証明書」もあります。この給与支払証明書は、第三者に給与の総支給額を証明するもの。こちらの発行は任意で、従業員の依頼を受けて会社が作成します。給与明細書とは違って、期間を自由に決められるのがポイントです。例えば、「昨年4月から今年12月までの給与支払証明書を作成してほしい」と依頼すれば、その通りの給与支払証明書を作成してもらえます。

給与支払証明書は、住宅ローンを申し込むにあたって源泉徴収票だけでは収入状況が把握できない場合などに提出を求められることも。住宅ローンの申し込みだけでなく、扶養控除の申請、保育園の入園申請などにも使われます。

支払調書

自営業やフリーランスなどで源泉徴収票が交付されない方の場合、住宅ローンを申し込む際に「支払調書」を求められることもあります。本来、支払調書は報酬を支払った側が税務署に提出することが義務付けられている書類で、源泉徴収票と同じ法定調書のひとつ。税務署が納税を正確に行っているかを把握するために使われます。報酬を受け取った人に支払調書の写しを渡す義務は会社にはありませんが、慣行として発行時、または希望すれば送付してもらえるのが一般的です。

確定申告書

支払調書と同じく、源泉徴収票がない場合に収入の証明書として用いるのが、「確定申告書の控え」です。確定申告書は、文字どおり確定申告をする際に提出する書類。
「e-Tax」を使ってオンラインで確定申告をした場合は、収受日付印を押された確定申告書の控えはもらえません。その代わりに、「電子申請等証明書」の交付申請ができます。住宅ローンの申し込みにあたっては、過去3年間の確定申告書の控えが求められるのが一般的です。

青色申告決算書

住宅ローンを申し込む際、自営業の方が確定申告書の控えとあわせて提出することが多いのが、確定申告書類のひとつである「青色申告決算書の控え」です。確定申告書の控えと同様、基本的には3年分が求められます。なお、青色申告決算書には、一般用様式のほか、不動産所得用様式、農業所得用様式、現金主義用様式の4種類があります。ひとりで作成するのが難しければ、青色申告会、税務署や国税庁などにも相談を。作成をサポートしてもらえます。

収支内訳書

青色申告をしていない自営業やフリーランスの方の場合、住宅ローンの申し込みにあたっては、確定申告書の控えとあわせて「収支内訳書の控え」の提出を求められることも。収支内訳書とは、1年間の売上や経費などをまとめた確定申告書類のひとつで、一般的に「白色申告」で提出します。一般用様式、不動産所得用様式、農業所得用様式の3種類があります。

納税通知書

所得証明書の代わりとして使えることも多いのが、「納税通知書」。「住民税(市民税・県民税等)決定(納税)通知書」などとも呼ばれます。毎年5月~6月ごろに配布(送付)され、前年度の1月1日~12月31日の所得額と今年度の住民税の税額や納付時期が記載されています。
すでに勤務先でこれらの税金が天引きされている場合は、基本的に「住民税(市民税・県民税等)の特別徴収額の通知書」が勤務先を通じて渡されます。

住宅ローンや賃貸住宅の入居申し込みをする場合、これらの納税通知書を「収入を証明する書類」として認める金融機関や不動産会社もあります。住宅の購入や引越しを考えている人は、これらの書類を保管しておくのがおすすめです。わざわざ所得証明書(課税証明書)を取りに行く手間が省けます。

なお、一般的に4月~6月ごろには、該当する人に固定資産税や都市計画税の納税通知書も送付されます。こちらは建物や土地にかかる税金であり、所有者の所得とは関係がないため所得額の証明には使えません。

年金振込通知書

日本年金機構から年金受給者に送られる「年金振込通知書」も、公的な収入証明書のひとつ。賃貸住宅の契約や介護施設への入居などの際に必要になることがあります。年金振込通知書は、翌年4月までにおける各支払期(2カ月に1度)の年金額を通知するもの。毎年6月ごろに送付されます。「ねんきんネット」への登録、または「マイナポータル」と連携することで、オンラインで管理できます。PDFでもダウンロードできるようになるため、提出が求められたときに便利です。

まとめ

所得証明書は、所得額が書かれた市区町村が発行する公的な書類。市区町村によって名称が異なるので注意が必要

所得証明書は1月1日時点で居住している市区町村で取得できる。市区町村によってはオンライン申請やコンビニエンスストアでの取得も可能

住宅ローン借入や賃貸住宅の入居にあたっては、所得証明書だけでは不十分なことも。源泉徴収票、確定申告書、年金振込通知書などが追加で求められるケースもある

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取材・文/森島薫子 監修/SUUMO編集部 イラスト/杉崎アチャ
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