登記簿謄本とは?オンラインで取得できる?登記事項証明書との違いや取得方法を解説

最終更新日 2024年04月09日
登記簿謄本とは?オンラインで取得できる?登記事項証明書との違いや取得方法を解説

確定申告で住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けるときや、住まいを売却するときなどに必要になる「登記簿謄本」。取得するにはインターネットでの請求と法務局の窓口を利用する方法があるが、どう違うのだろうか? 実際にインターネットで取得してみた。

登記簿謄本とは

不動産の登記簿謄本は、その土地や建物の概要、所有者、抵当権設定など、これまでの記録や現状が記載されている書類のこと。

そもそも土地や建物の所有権などの権利は、個人が主張するだけでは公的に認められない。所有者が法務局へ登記を申請すると、公的な第三者である登記官が土地や建物を調査した上で情報を記録し、一般公開する。これによって、所有者は認められた権利を行使できるという仕組みだ。
こうした登記の記録を載せた登記簿謄本は、確定申告で住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けるときをはじめ、不動産の購入・売却、相続など、所有者が変更となるタイミングでも欠かせない。

なお、登記簿謄本に書かれている情報は、土地と建物でやや異なる。土地の場合は、面積や所有者、抵当権設定の有無といった権利関係など。建物の場合は、居宅か事務所かといった種類をはじめ、鉄筋コンクリート造などの構造、床面積、所有者や権利関係などだ。

登記事項証明書・登記簿抄本との違い

登記簿謄本と似た言葉に、「登記事項証明書」や「登記簿抄本」がある。登記簿謄本と、いったい何が違うのだろうか?

結論から言うと、まず登記事項証明書と登記簿謄本は、実質的には同じものだ。

謄本とは、原本の内容を転写(コピー)した文書のことを指す。以前は、登記情報は「登記簿」という紙の書類に記載されていた。登記簿謄本が必要になって取得する場合は、その不動産を管轄する登記所(法務局や、法務局の支局、出張所)の窓口へ行って直接請求するか、郵送で請求し、登記簿の写し(コピー)を受け取っていた。
しかし、現在はコンピュータ化されたことにより、登記情報は紙の登記簿ではなく登記記録というデータとして保管されている。もともと「謄本」には原本を転写した文書という意味がある。データから登記情報の証明書を発行するようになったため、「登記簿謄本」という名称は、「登記事項証明書」と変更されたのだ。

そして「登記簿抄本」は紙の登記簿の一部分だけの写しのこと。登記事項証明書の一部分を出力したものは「一部事項証明書」と呼ばれている。

かつての名称 現在の名称 書類の内容
登記簿謄本 登記事項証明書 土地や建物の所在地や構造、面積、所有者や抵当権設定の記録・現状が記載されている
登記簿抄本 一部事項証明書 登記記録の一部を出力した証明書

登記事項証明書の4つの種類

登記事項証明書は、一部事項証明書を含め、記載内容によって以下の4種類に分けられる。

・全部事項証明書
・現在事項証明書
・一部事項証明書
・閉鎖事項証明書

それぞれの記載内容や証明できる範囲は以下の通り。

1. 全部事項証明書

所有権の移転、抵当権の設定・抹消など、過去から現在まで、登記記録にある全ての事項が記載された証明書のこと(閉鎖登記記録を除く)。官公庁や金融機関に登記事項証明書の提出が求められたら、この全部事項証明書を提出すれば問題ない。

2. 現在事項証明書

以前の所有者や抹消された抵当権(担保権)が記載されず、現在の権利状況だけが分かるもの。現在の状況のみを把握したい場合は、現在事項証明書が見やすく分かりやすい。

3. 一部事項証明書

登記記録の一部が記載されているもの。例えば、大規模なマンションの敷地は権利者が多く、全部事項証明書では情報が膨大になる場合もある。そのため、自分の記録のみが必要な場合には一部事項証明書を請求するといい。

4. 閉鎖事項証明書

合筆された土地や滅失された建物など、閉鎖された土地や建物についての登記登録情報が記載されている証明書のこと。

登記簿謄本の取得方法

法務局から登記事項証明書を取得するにはいくつかの方法がある。

まず、登記所(法務局や、法務局の支局、出張所)の窓口で交付申請を行い、受け取る方法。以前は、その不動産を管轄している登記所へ出向くか、郵送でやりとりする必要があったが、現在はオンライン化されたことで離れた場所にある不動産の登記事項証明書でも、最寄りの登記所で受け取ることができるようになった。
そのほか、オンラインで請求し、受け取る方法もある。法務局の「登記・供託オンライン申請システム」内の「かんたん証明書請求」から交付の請求をし、受け取りは登記所の窓口か郵送だ。

手数料は交付請求・受け取り方法によって異なる。下の表にまとめた。

交付請求の方法 受け取り方法 手数料※
登記所窓口 登記所窓口 600円
オンライン 登記所窓口 480円
オンライン 郵送 500円

なお、登記記録は公表されているため、登記事項証明書は誰でも取得できる。書類を必要とする本人が手続きできない場合は、代わりに家族や知人などが申請しても問題ない。

登記簿謄本をオンラインで請求するメリット

オンラインで手続きが済む、法務局の「かんたん証明書請求」。実際に、筆者の自宅の登記事項証明書を交付請求してみた。

登記所の窓口まで行かなくても良い

オンライン請求・郵送交付にすれば、登記所の窓口へ行く必要がない。仕事や家事、育児などでいそがしく、なかなか登記所まで足を運べない場合にも便利だ。

窓口交付より手数料がお得になる

登記所の窓口で交付するよりも、オンラインで請求したほうが発行手数料が安く済む。手数料の差額は100円程度だが、登記所が遠い場所にあれば交通費もかかるので、その分の交通費も節約できるだろう。複数枚を取得する場合は、1通当たりの手数料が安いほうがトータルでお得になる。

平日21時まで請求を受け付けている

法務局の窓口の受付時間は、平日9時から17時までだ。しかし、オンラインなら申請時間は平日の8時30分から21時まで。日中に窓口に行けない場合も、仕事や用事が終わってから手続きを進められる。

登記簿謄本をオンラインで請求するデメリット

「登記・供託オンライン申請システム」は24時間対応ではない。それを頭に入れておかないと、デメリットに感じることもある。

平日17時15分以降の請求対応は翌営業日になる

請求自体は平日21時まで可能だが、17時15分以降の請求は翌営業日の8時30分以降の受付となってしまう。急ぎの場合は注意しよう。

土日は申請できない

登記所の窓口も同じだが、土日祝を含めた利用時間外は申請ができない。オンライン上で下書きだけしておきたくても、システムの申請ページそのものにアクセスできないようになっている。途中でアクセスが断たれてしまう可能性もあるので、21時ぎりぎりのタイミングで記入するのは避けよう。

郵送交付だと到着まで時間がかかる場合もある

受け取りを郵送にすると、受付から配達までに早くても1~2日はかかる。金曜の夜に申請した場合、土日をまたいでからの受付となるため、4日もかかることになる。
混雑状況によっては7~10日かかる場合もあるため、確定申告の時期などには余裕を持って申請したほうがいいだろう。窓口交付ならその場で受け取れるため、急ぎであれば登記所に足を運ぶのもひとつの方法だ。

登記簿謄本をオンラインで取得する流れ

実際に登記事項証明書をオンラインで取得する方法を、ステップごとに解説していく。

1. 申請前に準備を行う

オンラインで請求する場合も、窓口へ出向いて請求する場合も、その不動産の「所在・地番」(登記上の住所)が必要となる。これは登記上の住所のことで、普段使用する住所(住居表示)とは違うことがほとんど。「所在・地番」は不動産の権利書や固定資産税の納税通知書に書かれているので確認を。わからない場合は、法務局に問い合わせれば教えてもらえる。
また、オンラインで請求する場合は、インターネットバンキングが利用できるか、行きやすい場所にPay-easy(ペイジー)対応のATMがあるかを調べておこう。ATMへのアクセスが悪い場合、登記所の窓口で直接請求したほうが良いこともある。

2. 「登記・供託オンライン申請システム」で必要事項を入力する

「登記・供託オンライン申請システム」の利用が初めての場合は、まず申請者情報登録から。申請者IDやパスワードを設定し、氏名、住所、メールアドレスなどの必要事項を入力する。この登録が済んだら「かんたん証明書請求」にログインできる。操作手引書もダウンロードできるので、読みながら進めていくと良いだろう

3. 「かんたん証明書請求」から請求書を作成する

ログイン後、証明書請求メニューで、手続分類「不動産」の「登記事項/地図・図面証明書交付請求書」を選択しよう。そして、登録事項証明書を取得したい物件の情報を入力していく。直接入力よりも、画面上の「オンライン物件検索」を使うほうが確実だ。
物件情報の入力が終わったら、「証明書交付請求画面に直接反映する」がチェックされているかを確認し、確定をクリックする。登録事項証明書の種類(全部事項証明書・一部事項証明書など)、交付方法(郵送・窓口)、郵送の送付先なども選ぼう。
前述したが、受け取りが窓口か郵送かで手数料は異なる。郵送種別では速達や書留を選ぶことも可能だが、手数料が上乗せされるので注意が必要だ。

4. 手数料を納付する

「処理状況を確認する」をクリックし、ピンク色の「納付」が点灯すれば、請求は完了だ。数分たって、処理状況照会を何度か押してもピンクにならなければ、請求エラーの可能性がある。早めに問い合わせるのがいいだろう。
手数料をインターネットバンキングで電子納付する場合は、そのまま同システム上で納付できる。Pay-easy対応の金融機関ATMで納付する場合は、収納機関番号や納付番号、確認番号が必要になるので、スクリーンショットを取るか印刷するかして、持っていくのがおすすめだ。ATMは現金やキャッシュカードを使えるが、各金融機関のシステムの利用時間に限られている。一部ATMは現金に未対応なので、あらかじめ確認しておこう。また、クレジットカードによる手数料の支払いはできない。

閲覧だけなら「登記情報提供サービス」が利用できる

登記事項証明書の内容を見たいだけなら、インターネットで登記情報を確認できる「登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/)」もある。その不動産の所有者のみが記載された「所有者事項」と、登記記録全てが記載された「全部事項」をPDFでダウンロード可能。所有者事項のみなら手数料は1通当たり145円、全部事項のみなら手数料は335円で、クレジットカードで支払いができる。

住宅ローン控除や住まいの売却などの際に必要な公的な証明書には使えないが、登記されている内容を知りたいだけなら、手数料の決済が終了次第、すぐに閲覧できるので便利(ただし、利用可能なのは平日8時30から21時まで)。

所有者事項
不動産の所有者が誰なのかが分かる「所有者事項」。登記情報提供サービスで取得したもの

取得した登記簿謄本の見方

取得した登記簿謄本は、どこに何が書いてあるのだろうか。登記情報提供サービスで入手した登記事項証明書の情報をもとに解説していこう。

物件の概要が分かる「表題部」

表題部

表題部には、建物の物理的な状況が記載される。これは、マンションの専有部分についての情報。専有部分が何階のどの住戸なのか、敷地の所有権割合はどれくらいなのかが分かる。住宅ローン控除を受ける際に申告する「床面積」は、登記事項証明書に記載された「床面積」を書くこと。ほかにも、所在、地番や家屋番号、種類(居宅、事務所、店舗、共同住宅、倉庫など)、構造(鉄筋コンクリート造や木造など)、登記の日付と登記の理由などを確認できる。

所有者が分かる「権利部(甲区)」

権利部(甲区)

権利部(甲区)には、所有権に関する内容が記載される欄だ。つまり、その不動産が、いつ、誰が、どうやって取得したのかが書かれている。現在の所有権を確認するには、履歴の最後にあたる一番下の欄をチェック。最初に購入されたタイミングで「所有権保存」の登記が行われ、売買されるごとに「所有権移転」が追加される。何度も売買を繰り返されてきた物件ほど、この欄の数が多くなる。

所有権以外の権利が分かる「権利部(乙区)」

権利部(乙区)

権利部(乙区)で分かるのは、その物件に対する所有権以外の権利関係。住宅ローンを借りるとき、担保として設定される抵当権。住宅ローンを完済し、抵当権を抹消するとその旨が記載される。この登記事項証明書では、まだ抵当権が設定されている(住宅ローン返済中)ことが分かる。抵当権者は一般的に銀行などの金融機関。借りた金額、金利なども一緒に書かれる。

そのほか、「賃借権」「地上権」「地役権」などがあてはまる場合は記載される。賃借権と地上権はどちらも借地権の一種で、他人から土地を借りて使用したり、建物を建てたりする権利を指す。地役権は通行や送電設備の設置などのために土地を使う権利のこと。地役権があると、使用料を請求できるケースもある一方、建てられる建物に制限が生じることも。

【Q&A】登記簿謄本に関するよくある質問まとめ

登記簿謄本とは何ですか?

登記簿謄本とは、不動産の状況と権利を公的に示すものだ。住宅ローン控除を受けるときや、不動産の売買や相続に欠かせない。過去から現在まで全ての事項が書かれた「全部事項証明書」など、全部で4種類がある。紙の登記簿で管理されている登記情報の写しが登記簿謄本で、データで管理されているのが登記事項証明書。

登記簿謄本はどこでもらえますか?

登記所の窓口、または法務庁の「登記・供託オンライン申請システム」で交付申請を行い、受け取れる。オンラインの場合は郵送でも交付可能。早ければ1~4日で到着するが、余裕を持って早めに申請を。オンラインの場合、請求自体は平日21時まで可能だが、17時15分以降の請求は翌業務時間での受付となるため注意。公的な証明には使えないが、「登記情報提供サービス」を使えば、手数料の決済が終わり次第、すぐに閲覧できる。ただしこちらも、利用可能時間は平日8時30分から21時まで。

登記簿謄本で何が分かりますか?

登記簿謄本には表題部と権利部(甲区、乙区)で構成されており、表題部には不動産の所在や地番、土地の面積、建物の構造、床面積など物理的な状況が記載されている。権利部の甲区には不動産の所有者や所有権が移転した理由など、乙区では所有権以外の権利として地上権や賃借権、抵当権などの有無が分かるようになっている。

まとめ

登記簿謄本と登記事項証明書は、内容的には同じもの。不動産の売買や相続の際に欠かせない書類

登記事項証明書は4種類ある。提出を求められた際は、全部事項証明書であれば問題ない

登記事項証明書は窓口とオンラインで請求できる。オンラインは郵送交付もできるが日数がかかることも

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