「大国町」は『だいこくちょう』と読む。「どこにあるの?」という人のために、まず位置を確認しておこう。地下鉄御堂筋線「大国町」駅は「なんば」の隣駅で、ビジネス街の「本町」まで6分、「梅田」まで11分、「新大阪」まで18分。逆方向へ向かうと「動物園前」、「天王寺」と続いており、大阪南部や関西空港方面へのアクセスも非常に便利な場所だ。住所は大阪市浪速区になる。
また、ランキングでは地下鉄御堂筋線大国町駅としてランクインしているが、地下鉄四つ橋線の駅でもある。両線は同じホームから発着しており、目的地に応じて使い分けることも可能だ。
さらに、大国町駅から地上に出て周囲に目を向けるとJR大阪環状線・関西本線の「今宮」「新今宮」、南海本線の「新今宮」、南海高野線の「今宮戎(いまみやえびす)」も至近だ。地下鉄堺筋線「恵美須町」も約700mと徒歩圏である。阪堺電軌阪堺線「恵美須町」も含めると、8路線7駅が利用できるという、交通至便な街なのだ。
「大国町」という駅名や地名の由来とされるのが「敷津松之宮」の境内に摂社として建てられている「大国主神社」。古くから「木津の大国さん」としても親しまれており、徒歩圏にある「今宮戎神社」との両社をお詣りする“えびす、だいこく両社詣って本まいり”という風習もある。毎年1月に開催される「十日戎(とおかえびす)」には、多くの参拝客でにぎわいをみせる。
駅の周辺に地名として残る「敷津」は、万葉集に詠まれた「敷津の浦」が由来という説もある。古来の大阪市近辺には海が大きく入り込んでおり、港や砂浜もあったとされるが、その名残が地名にも残っているようだ。また、大国町駅から東にすぐのところにある「木津卸売市場」は江戸時代の1710年ごろから商売が始まり、1810年に「大阪木津卸売市場」として開設された古くからの市場だ。近隣の農村で収穫された青物の取引が盛んに行われたという。しかし、現代の大国町近辺は姿を変えている。
まず、大国町駅から東側のエリアを紹介しよう。大型家電量販店やライブハウスが並ぶ近代的な街区もある一方、隣にはレトロなお店も残る趣のある街並みも残っている。古くから“大阪の台所”としても知られた大阪木津卸売市場はリニューアルされて、ランチ時には行列のできる人気のスポットだ。
大国町駅から西側のエリアを巡ってみよう。大通りから一本中に入ると集合住宅やビルの街並みが続く。浪速区一帯は戦災によって大きな被害を受けたエリアで、古い木造建築はほとんど残っていない。戦後に行われた戦災復興の区画整理事業によって道路幅がゆったりと確保されているためなのか、中層建築が並んでいる割には、圧迫感をそれほど感じない。
特色のある大型のスーパーが2店、軒を並べるように営業しているほか、保育施設や公立図書館、公園なども点在する都市型の住宅街といった様子だ。JR関西線の線路方面まで脚を延ばしてみると大阪市営住宅もある。
住宅事情をみると、築年数のたったマンションも見受けられる一方、新築マンション建設の工事現場を何カ所も見かけたので、新しい物件も供給されていきそうだ。ただ、SUUMOで最新の賃料相場を調べてみると、周辺エリアに比べても思ったほどに割安感はない。「なんば」よりも平均賃料は高い結果となっているのだ。
「2016年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング 関西版」で大国町を穴場だと答えた人の属性をみると、同じ沿線や大阪市内に居住している人が多かった。「大国町エリア」は、知る人ぞ知る便利なエリアとして既に人気があるのかもしれない。この記事を読んで興味をもった方は、具体的に物件を探してみるのもよいだろう。