ここだけ見ればOK! 【図解】源泉徴収票の見方・かんたん解説

会社員であれば、毎年12月頃に会社から源泉徴収票を受け取ります。

しかし、「源泉徴収票の見方がわからず、何を確認すればいいかわからない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

この記事では、源泉徴収票の見方をわかりやすく解説します

源泉徴収票の見方|最低限見るべきポイント

源泉徴収票は、1年間に会社から支払われた給与金額や、徴収された所得税の金額とその内訳が書いてある書類です。

源泉徴収票についてくわしく

ここでは、お金のことにあまり興味のない人でも最低限おさえておくべき項目を紹介します。

源泉徴収票で必ず見ておきたい項目

会社から源泉徴収票をもらったら、少なくとも自分が1年間にいくら稼いだか(額面年収)と、引かれた所得税は必ず確認しましょう。

現在の年収を覚えておくことは、社会人として大切です。

【源泉徴収票でチェックすべきポイント】令和/年分/給与所得の源泉徴収票|額面年収/所得/所得控除/所得税の合計額/所得控除の内訳

上記画像のオレンジの枠は、源泉徴収票で必ずチェックすべき部分で、年収(額面年収)と所得税が記載されています。

ネイビーの枠は、所得税を計算する過程に必要な金額や所得税の負担を軽くする「所得控除」のよりくわしい内訳が書かれています。

ちなみに、源泉徴収票には「手取り金額」は書かれていません。くわしくは「源泉徴収票にまつわるQ&A」で解説します。

源泉徴収票の見方|くわしい項目解説

ここからは、具体的な源泉徴収票の例を使いながら、各項目の見方をくわしく解説していきます。

【源泉徴収票の例:東京都・40代後半・男性】令和/年分/給与所得の源泉徴収票|額面年収/所得/所得控除/所得税の合計額/所得控除の内訳

〈モデルケース:京都に住む40代後半の男性〉

  • 年収600万円
  • 専業主婦の妻がいる
  • 18歳の高校生と、21歳の大学生の2人の子どもがいる
  • 70歳の母親と同居している

所得税計算の内訳

源泉徴収票で年収や所得税、その計算過程に必要な項目を確認したい場合は、「(1)支払金額」「(2)給与所得控除後の金額」「(3)所得控除の額の合計額」「(4)源泉徴収税額」の欄を見ましょう。

以下で、それぞれの欄について解説します。

(1)支払金額(額面年収)

(1)支払金額(額面年収)の見本画像

源泉徴収票の(1)「支払金額」の欄には、その年の1月から12月までに会社から支払われた給与などの合計金額が書かれてあります。いわゆる「額面年収」です。

「支払金額」には、給与、賞与(ボーナス)、残業手当や住宅手当などの各種手当が含まれますが、交通費はほとんどの場合が非課税の金額の範囲で支給されるため、含まれていません。

※参考:通勤手当の非課税限度額の引上げについて|国税庁

(2)給与所得控除後の金額(所得)

源泉徴収票の(2)「給与所得控除後の金額」は、1年の「所得金額」を指します。ここの欄に入る金額は、(1)の「支払金額」から給与所得控除の金額を差し引いたものです。

給与所得控除とは、収入から一定額差し引かれる経費のようなもの。給与所得控除が引かれることで結果的に支払う所得税が安くなります。

会社員は自営業者のように経費に計上できるものがないので、給与所得控除という仕組みを設けて課税の公平性を保っています。

給与所得控除額の計算方法は、以下のとおりです。

給与等の収入金額 給与所得控除額
1,625,000円以下 550,000円
1,625,000円超1,800,000円以下 収入金額×40%-100,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,100,000円
10,000,000円超 1,950,000円(上限)

※この表は、2020年分以降の計算で使用されているものです
※参考:No.1410 給与所得控除|所得税|国税庁

モデルケースの場合の(2)「給与所得控除後の金額」の計算式

源泉徴収票にある「給与所得控除後の金額」は436万円

給与所得控除
:600万円×20%+44万円=164万円

給与所得控除後の金額
:600万円-164万円=436万円

給与所得控除についてくわしく

(3)所得控除の額の合計額

(3)所得控除の額の合計額の見本画像

源泉徴収票の(3)「所得控除の額の合計額」とは、これまで毎月の給与から天引きされていた社会保険料の金額と、家族構成や加入している保険など、個人の事情を加味して控除される金額の合計です。

所得控除とは、本人や家族の状況などの事情に応じて税の負担を軽くするために設けられていているもので、この欄の数字が大きいほど、支払う所得税の額が低くなります

所得金額から差し引かれる項目は、以下のとおりです。

  • 基礎控除
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 配偶者控除
  • 配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 寡婦(寡夫)控除
  • 勤労学生控除
  • 障害者控除
  • 寄付金控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • ひとり親控除

モデルケースの所得控除「347万9,000円」の内訳は、以下のとおりです。

合計347万9,000円

  • 基礎控除 48万円
  • 配偶者控除 38万円
  • 生命保険料控除 12万円
  • 地震保険料控除 5万円
  • 社会保険料控除 85万9,000円
  • 扶養控除
    一般の控除対象扶養親族(16歳以上の子ども) 38万円
    特定扶養親族(19歳以上23歳未満の子ども) 63万円
    老人扶養親族(70歳以上の同居している親) 58万円

内訳にある各項目の概要や計算方法については、「(3)所得控除」の内訳でくわしく解説します。

※参考:所得金額から差し引かれる金額(所得控除)|国税庁

(4)源泉徴収税額(今年の所得税)

(4)源泉徴収税額(今年の所得税)の見本画像

源泉徴収票の(4)「源泉徴収税額」は、1年間の収入にかかった所得税の合計金額を指しています。会社員の場合、毎月の給料から源泉徴収として概算の所得税が天引きされ、年末調整で計算し直して正確な所得税の金額が確定します

ここの欄には年末調整後の確定した所得税額が入ります。

ここの欄の金額は、(2)と(3)の金額を使い、最後に所得税率を掛けて算出します。所得税率は以下のとおりです。2037年までは2.1%の復興特別所得税もプラスで徴収されます。

課税される所得金額:税率
(1,000円未満の端数金額を切り捨てた後の金額)
控除額
194万9,000円まで:5% 0円
195万円超 329万9,000円まで:10% 97,500円
330万円超 694万9,000円まで:20% 427,500円
695万円超 899万9,000円まで:23% 636,000円
900万円超 1,799万9,000円まで:33% 1,536,000円
1,800万円超 3,999万9,000円まで:40% 2,796,000円
4,000万円超:45% 4,796,000円

※参考:「No.2260 所得税の税率」|所得税|国税庁

モデルケースの場合の(4)「源泉徴収税額」の計算式

源泉徴収票にある「源泉徴収税額」は4万4,975円

課税所得金額
:436万円(給与所得控除後の金額)-347万9,000円(所得控除の額の合計額)
=88万1,000円

所得税
:88万1,000円×5%=4万4,050円

復興特別所得税
: 4万4,050円×2.1%=925円

源泉徴収税額
:4万4,050円+925円=4万4,975円

※参考:所得税のしくみ|国税庁

「(3)所得控除」の内訳

ここでは、「(3)所得控除の額の合計額」のくわしい内訳について書かれている項目を解説します。具体的には、家族構成や加入している各種保険料などです。

ここを読めば、モデルケースの「所得控除の額の合計額」である「337万9,000円」がどうやって導き出されたのかがわかります。

所得控除の内訳の見本画像

所得控除の内訳を知っておくと確定申告するときに書類作成がスムーズになります。

源泉徴収票にミスがあった場合、時期によっては会社員でも確定申告をする必要があります。その時のために、会社から源泉徴収票を受け取ったタイミングで、自分がどの程度所得控除を受けているのか把握しておきましょう。

なお、源泉徴収票のミス以外にも、会社員が確定申告する必要があるケースがあります。主に以下のとおりです。

  • 給与の年間収入が2,000万円以上
  • 副業の利益額または給与収入の合計が20万円以上あった
  • 一定額(合計50万円)を超える一時所得があった
  • 1年の途中で退職して再就職をしていない、退職後に事業を始めた

控除対象配偶者の有無

控除対象配偶者の有無の見本画像

控除の対象になる配偶者がいれば、源泉徴収票の「控除対象配偶者の有無等」の左欄に◯が入ります。

配偶者が70歳以上の場合は、「老人」の欄に◯が入ります。「配偶者(特別)控除の額」の欄には、控除を受ける本人の合計所得金額に応じた控除額が書いてあります。

配偶者控除の控除額は以下のとおりです。

控除を受ける本人の合計所得金額 控除対象配偶者の控除額
一般/老人
900万円以下 38万円/48万円
900万円超950万円以下 26万円/32万円
950万円超え1,000万円以下 13万円/16万円

※参考:No.1191 配偶者控除|国税庁

モデルケースの場合、

本人の年収が600万円なので、控除額は38万円

になります。

「配偶者(特別)控除の額」の欄にも、その金額が書かれています。

配偶者控除についてくわしく

控除対象扶養親族の数

控除対象扶養親族の数の見本画像

「控除対象扶養親族の数」は、家族構成についての項目です。控除の対象になる家族がいる場合、一定の所得控除が受けられます。

「特定」の欄は、19歳以上23歳未満の親族の人数が入ります。

「老人」の欄は70歳以上の親族の人数で、「内」の欄は、その老人が同居しているかどうかを示しています。もし、70歳以上の親が1人同居している場合は、「内」と「人」の欄の両方に1と書かれてあるはずです。

「その他」の欄には、16歳以上の親族の人数が入ります。

モデルケースの場合で源泉徴収票を見ると、16歳以上の子どもが1人と19歳以上23歳未満の子どもが1人、同居している70歳以上の親が1人いるという家族構成がわかります。

モデルケースの場合、

扶養控除の合計額は159万円で、

その内訳は、

  • 16歳以上の子ども(一般の控除対象扶養親族) 38万円
  • 19歳以上23歳未満の子ども(特定扶養親族) 63万円
  • 70歳以上の同居している親(老人扶養親族) 58万

です。

扶養控除についてくわしく

社会保険料や各種保険料の控除額

源泉徴収票の「社会保険料等の金額」は、毎月の給与から天引きされていた社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)の1年間の合計金額です。

生命保険料の控除額は、個人的に生命保険や介護医療保険に加入している場合に控除される金額です。保険料として支払ったお金がすべて控除されるわけではなく、上限が12万円に設定されています。

「生命保険料の金額の内訳」の中の5つの欄には、それぞれ支払った保険料の内訳の金額が記載されます。

「地震保険料の控除額」は、地震保険に加入している場合に控除される金額です。1年間に支払った保険料の金額に応じて控除額が決まりますが、生命保険同様、5万円の上限が設けられています。

「住宅借入金等特別控除の額」は、住宅ローンを利用してマイホームの新築、取得、増改築した場合に控除される金額です。住宅ローン控除と呼ばれていて、年末に残っているローンの残高をもとにして控除額が決まります。

モデルケースの場合、

各種保険料控除の合計額は102万9,000円で、

その内訳は、

  • 社会保険料等の金額 85万9,000円
  • 生命保険料の控除額 12万円
  • 地震保険料の控除額 5万円

です。

これまで説明してきた所得控除の控除額を合計すると、299万9,000円になります。

最後に会社員であれば誰でも控除される基礎控除の48万円を足すと、モデルケースの所得控除の合計額は、源泉徴収票にもある通り「347万9,000円」になります。

源泉徴収票にまつわるQ&A

源泉徴収票に関する疑問について解説します。

Q,源泉徴収票で手取り額はわかりますか?

A.源泉徴収票に手取り額の項目はありません

1年間の手取り額は、「支払金額(額面年収)+交通費-源泉徴収税額(所得税)-社会保険料-住民税」で計算できますが、源泉徴収票には交通費と住民税が書かれていないため、自分で計算することもできません。

源泉徴収票は所得税に関する書類です。交通費はほとんどのケースで非課税の金額の範囲で支給されており、また住民税も所得税とは別の税金であるため、いずれも源泉徴収票に記載されていません。

1年間の手取り金額が知りたい場合は、源泉徴収票とともに1月から12月までの給与明細や住民税決定通知書を用意して計算してみましょう。

Q.戻ってくるお金はどこを見ればいい?

A.源泉徴収票には、年末調整で戻ってくる所得税の金額は書かれていません

毎月の源泉徴収で所得税を払いすぎていた場合、年末調整をすることで本来の所得税額との差額が戻ってきますが、源泉徴収票は年収と所得税の金額を明記した書類であるため、還付金の額は記載されません

また、お金がいつ、どのように戻ってくるのかという対応は会社によってさまざまです。

差分としていくら戻ってくるのかは、毎月もらっていた給与明細に書いてある所得税の12ヶ月分の合計と源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄を見比べて確かめましょう。

ただ、多くの場合は12月の給与か1月の給与と同時に還付または徴収されます。給与明細控除欄の所得税がマイナス表示されている場合、それが還付金額になりますので、確認してみましょう。

Q.退職金も源泉徴収票に書かれている?

A.退職金は「退職所得の源泉徴収票」に記載してあります。

退職金も課税対象であるため、源泉徴収票には、退職金と、勤続年数に応じた計算方法で源泉徴収された所得税の金額が記載してあります。退職所得の源泉徴収票は退職後、約1ヶ月以内に郵送で送られてきます。

退職する時、給与所得と退職所得の2種類の源泉徴収票を発行してもらうことになります。

年内に転職する場合、給与所得の源泉徴収票は転職先に必ず提出する必要がありますが、退職所得の源泉徴収票は転職先に提出する必要はありません。どちらの源泉徴収票も確定申告で必要になるため、会社から受け取ったら保管しておきましょう。

退職金にかかる「所得税」についてくわしく
退職金に関わる「住民税」についてくわしく

Q.ふるさと納税による控除上限額を知るには?

A.ふるさと納税による控除の上限額は、下図の源泉徴収票のオレンジ枠で囲まれた部分をチェックしましょう。

ふるさと納税による控除上限額をチェックする場所

ふるさと納税では、寄付金のうち自己負担の2,000円を超える分のお金は、所得税から控除分のお金が戻ってきたり、住民税から控除されたりします。しかし、寄付金控除は全額ではなく上限額があります

本人の年収金額、家族の年齢や人数などの、それぞれの状況に応じて上限額が決まるため、それらの情報がすべて揃っている源泉徴収票があると申請する時に便利です。

※参考:
総務省|ふるさと納税ポータルサイト|よくわかる!ふるさと納税
総務省|全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安

まとめ

源泉徴収票は、その1年の年収金額や徴収された所得税を記載した書類です。

押さえておくべき基本的な部分は「支払金額」、「給与所得控除後の額」、「所得控除の額の合計額」、「源泉徴収税額」の4つで、それ以外の欄は所得控除のくわしい内訳を示しています。

源泉徴収票にミスがあった場合、自分で確定申告しなければいけないため、源泉徴収票を受け取った時は、ミスに気付けるように自分の年収や所得税を確認してみましょう。

(作成:転職Hacks編集部)

この記事の監修者

特定社会保険労務士

成澤 紀美

社会保険労務士法人スマイング

社会保険労務士法人スマイング、代表社員。IT業界に精通した社会保険労務士として、人事労務管理の支援を中心に活動。顧問先企業の約8割がIT関連企業。2018年より、クラウドサービスを活用した人事労務業務の効率化のサポートや、クラウドサービス導入時の悩み・疑問の解決を行う「教えて!クラウド先生!®(商標登録済み)」を展開。

社会保険労務士法人スマイング 公式サイト

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