三井不動産、12年ぶり新社長で難局打開できるか オフィス市況が鈍い中、賃貸事業の拡大がカギ

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2023年4月、三井不動産の社長が12年ぶりに交代する。オフィスビル市況が厳しい中、植田俊・次期社長は賃貸事業を拡大できるか。

三井不動産の植田次期社長と菰田社長
次期社長に内定した植田俊専務(左)は、菰田正信社長(右)の右腕として日比谷の街づくりなどに携わってきた(撮影:尾形文繁)

不動産デベロッパー最大手のトップがついに変わる。

三井不動産は2022年12月9日、12年ぶりに社長交代を行うと発表した。2023年4月1日付で、現社長の菰田正信氏(68)が代表権のある会長に就き、取締役専務執行役員の植田俊氏(61)が社長になる。また現会長の岩沙弘道氏(80)は取締役を経て、2023年6月に相談役へと退く予定だ。

三井不動産は2019年ごろから後継者育成計画(サクセッションプラン)を立てて、複数の候補者を評価し「後任選び」を始めた。その後、徐々に候補者が絞り込まれていき、2022年になって植田氏1人に候補が固まったという。

「妄想も大義があれば実現する」

三井不動産の社内取締役12名の中で、植田氏は2番目の「若手」だ。これまでに数々の重要プロジェクトに携わってきた。菰田氏も「自身の右腕として中期経営計画の達成に大きく貢献した立役者だ。社内外の人望も厚くリーダーシップに富んでおり、諮問委員会では全会一致で賛同を得られた」と話す。

菰田氏は「2025年度までの中期経営計画を達成する道筋がついたことから、次世代のリーダーへのバトンタッチが望ましいと考えた。新たな発想で新しい三井不動産を創っていってほしい」と社長交代の狙いを話す。

植田氏は自らのモットーとして「妄想」「構想」「実現」の三段論法を掲げている。同氏によれば「突拍子もない妄想も大義があれば、仲間が集まって構想になり、やがて実現する」という。こうした既成概念にとらわれない発想力と周囲を巻き込む力が評価されたようだ。

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