平面研削の仕組みと平面研削盤の種類や構造【平面研磨との違いも】

  • 投稿日:2023年2月24日(金曜日)
平面研削の仕組みと平面研削盤の種類や構造【平面研磨との違いも】

平面研削は、高い平面度また平行度で、ワークの表面を仕上げる加工です。

プレス金型の製作、プレス金型の「製品の抜けが悪くなった」「バリが多く出る」といったときのメンテナンス、ベアリングといった高い寸法精度が求められる部品の加工、などに用いられます。

この記事では、そんな平面研削において、概要や類似した加工の平面研磨との違いについて、加工を行うための平面研削盤について、具体的な加工の仕組みについて、まとめてご紹介します。

平面研削とは

平面研削とは、ワークの表面を高精度に仕上げる加工です。

平面研削盤を使い、ワークをテーブルにセットし、これを動かしながら、回転する砥石で削る、という方法で加工を行います。
なお、後述でご紹介しますが、砥石の回転方向・動かし方とワークをセットしたテーブルの形状・動かし方によって、平面研削盤また加工の仕組みが多岐に分類されます。
そのため、冒頭でもお伝えしたように、平面研削はさまざまな状況に対応可能で、研削加工の中でも最も広く用いられています。

ちなみに、平面研削は砥石の砥粒で削るので、刃物で削る切削加工とは別物です。

平面研磨とは目的・加工方法が違う

平面研削と類似した加工方法に、平面研磨があります。
いずれも高い平面度と平行度で、ワークの表面を仕上げる加工ですが、厳密には別物です。

違いとなるのが、目的と加工方法です。
平面研削の目的はあくまでも削ることになります。

一方、平面研磨の目的は磨くことです。
加工方法も、平面研磨は円形の回転するテーブルにワークを置いて、砥粒を混ぜた加工液を供給しながら、おもりを乗せて摩擦で磨くというものになり、平面研削とは違います。
また、平面研削は削ることになるためワークの形状が変わりますが、平面研磨は磨くことになるためワークの形状がそれほど変わらない、という点も違いとしてあげられます。

なお、平面研削と平面研磨の違いについて触れてきましたが、実際の現場においてはそこまでしっかりと言葉が使い分けられているわけではないようです。

平面研削盤の種類と構造

平面研削盤の種類と構造についてご紹介します。

平面研削盤の4つの種類

平面研削盤は、砥石の回転方向・動かし方とワークをセットしたテーブルの形状・動かし方によって、4種類にわけられます。
まずは、そんな平面研削盤の種類について簡単にご紹介します。

  • ①立軸角テーブル型
  • ②立軸円テーブル型
  • ③横軸角テーブル型
  • ④横軸円テーブル型

平面研削盤の4つの種類
この中でも、立軸角テーブル型が最もポピュラーな平面研削盤になります。
そこで次からは、平面研削盤の構造を、この立軸角テーブル型にフォーカスを当ててご紹介していきます。

平面研削盤の構造

立軸角テーブル型の平面研削盤は、砥石がワークと垂直になっています。
そして、角型のテーブルが往復運動をすることによって、セットしたワークを砥石で削る、つまり研削加工を行います。
なお、砥石がワークと接触する送り量で、切り込み量と表面粗さが変わってきます。
また、砥石は垂直面と側面で研削加工できるため、ワークを含め角度を変えることでさまざまな形状に対応可能です。

①コラム 回転する砥石および砥石頭を支える支柱です。
②砥石 研削盤の心臓部でもある砥石は上下左右、機種によっては角度を変えられるものもあり、これにより加工の幅は変わります。
③ワーク チャックのサイズによってセットできるワークの大きさが決まります。
④チャック チャック方法は、磁石の力で固定する電磁チャックと真空の力で固定する真空チャック、またワークにストッパーをつけて物理的に固定する方法の3種類があります。
⑤サドル ワークを左右に往復運動させる重要な部分です。
⑥制御盤 コンピュータ制御のNC制御方法と、送り量や往復運動のスピードを手動で操作する方法とがあり、大きくは設備価格で変わってきます。

平面研削盤で使われる研削加工の3つの仕組み

平面研削盤の種類と構造についてはご紹介しました。
ここでは、具体的な研削加工の仕組みについてご紹介します。
研削加工の仕組みについても、砥石の回転方向・動かし方とワークをセットしたテーブルの形状・動かし方が関係しており、大きく以下の3種類にわけられます。

  • ①トラバース研削
  • ②プランジ研削
  • ③クリープフィード研削

研削加工の3つの仕組み

①トラバース研削

トラバース研削は、サドルの往復運動とさらに手前と奥への動きが加わり、自動で多様な加工ができる方法です。
NC制御の平面研削盤であれば、ほとんどがこの方式となっています。
平面の広いワークでも効率よく研削加工をすることが可能です。

②プランジ研削

プランジ研削は、サドルの往復運動のみで加工をする方法です。
低価格の平面研削盤はこの方式が多いです。
手前から奥にサドルが動かないわけではありません。
しかし、手動で送り量を調整しなくてはいけないので、送るタイミングなどテクニックが必要となります。

③クリープフィード研削

クリープフィード研削は、砥石の送り量を深くしてゆっくりと加工していく方法です。
往復運動がゆっくりで時間はかかりますが、砥石を何度も当てる必要がないので、砥石の消耗を抑えられるメリットがあります。

平面研削盤の主要メーカー3選

平面研削盤を製作するメーカーは数十社あり、最後にここでは2023年1月のクリックシェア※の上位3社の主要機種をご紹介します。

※クリックシェアとは:平面研削盤メーカー全社の、ネットにおける総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。クリック数が多いほどネットでの検索回数が多い企業となります。会社規模や上場企業等での選定ではありません。

①黒田精工株式会社(クリックシェア:24.4%)

  • ▼機種
  • 精密平面研削盤 GS-PFⅡシリーズ
  • 精密成形研削盤 GS-BMシリーズ

黒田精工株式会社は、90年の歴史を持つ精密に関するあらゆる分野で精通しており、ないものは自分たちで作るを理念に工作機械、周辺機器、測定器具等を生産して、海外にも拠点を持つグローバルメーカーになります。
平面研削盤においては、小型の手動機から大型の超精密研削盤まで豊富なラインナップがあり、老舗メーカーならではのノウハウは信頼できるでしょう。

②株式会社岡本工作機械製作所(クリックシェア:16.9%)

  • ▼機種
  • 精密平面研削盤・PSGSA1シリーズ
  • 精密成形研削盤・PFG500Ⅱシリーズ

株式会社岡本工作機械製作所は、平面研削盤のシェア№1を誇る平面研削盤メーカーです。
平面研削を含めた砥粒加工における世界のトップ企業として、半導体、自動車、デジタル家電で使用されるICチップのウエーハ加工のポリッシングマシンでは高いシェアを獲得しています。
その技術が平面研削盤にも活かされており、業界シェア№1という輝かしい実績があります。

③株式会社ナガセインテグレックス(クリックシェア:11.8%)

  • ▼機種
  • 高精度平面研削盤・SGS-75シリーズ
  • 超精密ハイレシプロ平面研削盤・SGCシリーズ

株式会社ナガセインテグレックスは、加工機一筋60年以上の長い歴史の中で既成概念にとらわれない発想で、真の有益を追及している企業です。
お客様の意見を聞き入れ、お客様とともに商品を開発し、切磋琢磨して歩んできた60年が、信頼ある技術力を生み、多くの平面研削盤を供給しています。

そのほかにも
市川製作所
光洋機械工業株式会社(株式会社ジェイテクトマシンシステム)

この上位5社でクリックシェアの8割弱を占めています。

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この記事では平面研削について解説してきました。

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