潮汐とは?
海釣りをする人は、潮汐表(タイドグラフ)を見て釣行することが多いのではないでしょうか?
そもそも潮汐とは、主に月と太陽の引力によって海面が昇降する現象(潮位の変動)です。
つまり、地球に働く引力によって潮の満ち引きが起こり、1日に2回の満潮と2回の干潮があるわけです。(稀に1回ずつの日もある)
今回は、意外と誤解されていることが多い潮汐・潮位・潮流について考えてみましょう。
潮汐推算(タイドグラフ)について
上の画像は潮汐推算です。釣り人からは、潮汐表・潮見表・タイドグラフと呼ばれています。
この表が表すものは、時間の経過と潮位の変動です。
赤点部分が干潮(下げ止まり)、青点部分が満潮(上げ止まり)を表します。
釣り人は、干潮から満潮に向かうタイミングを上げ潮、満潮から干潮に向かうタイミングを下げ潮と呼びます。
そして、この表を見る上で大切なのが、“潮位を表しているものであって、潮流を表すものではない”と理解しておくことです。
潮流推算について
こちらの画像は潮流推算です。潮汐表を見ることはあっても、潮流推算は初めて見る方も多いのではないでしょうか?
潮流推算はその名の通り、潮流の向きと速さを表すものです。
0を基準に+と−で流向(この表の場合は+が西向き、−が東向き)を表し、絶対値が潮流の速度を表します。
つまり、西向きの潮が最速になるのが青点、東向きの潮が最速になるのがオレンジ点ということです。
そして、緑点は流向が反転する転流を表し、潮流そのものが停止することを憩流と呼びます。
潮汐表が潮位を示すのに対し、“潮流そのものの向きや強さを示すのが潮流推算”というわけです。
“潮位の変動=潮流の変動”ではない
同日・同場所の潮汐表&潮流推算を並べてみました。ひょっとすると「えっ」と、思われた方も多いのではないでしょうか?
2つの表を並べてわかるのは、“潮位の変動と潮流の変動がシンクロしていない”ということです。
潮汐表が示す14時半ごろの干潮潮止まりに注目してみましょう。
潮流推算で14時半を確認してみると、約5kt(ノット)の猛スピードで東に向かって流れています。1日の中でも、もっとも東流が速いタイミングです。
「14時半に潮が止まるからそれまでがチャンスだな〜」なんてのはよく聞くセリフですが、じつは海の中では真逆のことが起こっている可能性もあるわけです。
ただし、海域によっては潮位変動と潮流の変動がシンクロする(満潮・干潮時に転流する)こともあります。
そのため、“必ずしも一致しない”と理解するようにしてください。
“潮流推算通りに流れる”わけでもない
ここまで読んでもらうと、「潮流推算を見れば釣り場の流れが分かるのか!」と思うかもしれませんが……実際はそうではありません。
潮流推算で示される流れとは、いわばその海域における本流であり、特定のポイントにおける流向・流速は異なります。
例えば、地形的に反転流ができやすいポイントでは、本流が西に向かって流れている時に、潮流推算とは真逆の東流れになることもあります。
視点をミクロにすると海には無数の潮流が存在するため、必ずしも潮流推算通りに流れるわけではありません。
難しいけど、ある程度は予測できる!
“潮流を予測する”というのは簡単なことではなく、おそらく遊漁船の船長や漁師でも100%の精度で予測するのは困難なはずです。
しかし、潮汐表や潮流推算を見ることで、潮や時合をある程度予測することはできます。
これをするのとしないのとでは、釣果がまるっきり変わるので、ぜひ潮について考えながら釣りをしてください。