サーチ search 記事を探す
follow us
Instagram X

©2024 TSUZUKU Magazine. All Rights Reserved.

サーチ search 記事を探す
  • 大筋が合っていたらOK。 “小”にピントを合わせすぎない。
  • 一本の美しい線を求めて。 長く描き続けるための体作り。
  • ピークを見極め、 負けないこころとからだを作る
  • ”浄化、鎮静、循環”で、 自分をニュートラルに戻す。
美容コラムニスト 福本 敦子さん

大筋が合っていたらOK。
“小”にピントを合わせすぎない。

interview2024.01.26

オーガニックコスメの情報などを通じて、ポジティブなエネルギーを届ける美容コラムニストの福本敦子さん。
執筆だけでなく、Podcastや商品のプロデュース、イベントなど多岐にわたって活動。
そのイキイキとしたパワーはどこからやってくるのでしょう?
福本さんに日々を気持ちよく過ごす上で大事にしていることを伺いました。

プロフィール

福本 敦子さん
美容コラムニスト 福本 敦子さん

ふくもと・あつこ ナチュラル&オーガニックコスメのセレクトショップ「コスメキッチン」に14年間勤務後、独立。オーガニックに精通した知識とライフスタイルに寄り添った独自の美容論が人気。自身が紹介したアイテムは「読んだ瞬間試したくなる」と数多くの反響を呼ぶ。その他イベント、podcast、商品プロデュースなど多方面で活躍。近著に森田敦子さんとの共著『気持ちいいがきほん』(光文社)。

私のとある一日

“ま、しょうがない”と
開き直ることも大事

―福本さんはナチュラル&オーガニックコスメのセレクトショップ「コスメキッチン」に勤務後、美容コラムニストとして活動されています。働き方や仕事に対する意識は変わりましたか?

独立したばかりの頃は自分にとって程よいバランスがわからなくて緊張感があった気がします。漠然と「この仕事が次につながるかな」、「この仕事が続けられるだろうか」という不安を抱えていました。でも、そうした思考がダメだったとは思いません。振り返ってみたら、不安があったから頑張れたし、学ぶことも多かった。時間とともに今はもっと自分のしたいことにフォーカスできるようになったと思います。

―現在は執筆のほかにPodcastやイベントの企画・登壇、商品開発など多岐にわたって活動されていますね。仕事をする上で大事にしていることはなんでしょうか?

執筆やPodcastは基本的に自分発信なので、何を伝えたいのかを明確に、自分の言葉で伝えることを意識しています。PRやイベントなどオファーをいただくものに関しては、まずお話を聞いてみてピンとくるかどうか。何かを感じたら、自分がすべきこと、言うべきことを考える。ポイントをきちんと見極められれば、アプローチの仕方や切り口は自然とわかります。なので、アイデア出しで苦労することはあまりないですね。ゲストをお迎えするPodcastの収録やトークショーの時は事前に話す内容をある程度決めたり、台本を作ったりはしますが、目の前の方の反応をみて話す内容を変えます。予定調和ではなく、その場の雰囲気を大事にしたいから。

笑顔で続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん
美容コラムニストの福本敦子さんの著作
美容コラムニストの福本敦子さんが不調の時に使うオーガニックオイル

―仕事をする上でストレスを感じることはありますか?

ありがたいことに今はある程度仕事が安定してきているので、初期の頃に比べてストレスを感じることは減りました。というよりも、開き直ったという感じが近いかも(笑)。うまくいかないことがあっても「しょうがない」と思えるようになったし、ストレスを感じるまで無理をすることがなくなりました。

―そうできるようになったきっかけはありますか?

常にベストだけじゃなくて、good enough(まあまあいいか)が自分に許せるようになった事かもしれません。フリーランスになったばかりの頃はクタクタになるほど仕事をしていたこともあったのですが、頑張りすぎてもクオリティがそこまで上がるわけでもないとわかったので、今は不調を感じる前に休むようになりました。長時間パソコン作業をしていると目の疲れは感じますが、そういう時は無理せず休憩する。そもそも仕事を受ける前にスケジュールを詰め込みすぎないように気をつけています。

フリーになってから、基本的に一人で仕事をしているので、問い合わせをくださった初対面の方とやりとりをすることも多いです。お互いのリズムを合わせるところからのスタートで苦労することもありますが、精神的にすり減ってるなと感じたら、自分のペースを取り戻すように意識しています。

神妙な表情で続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん
神妙な表情で続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん

季節を感じて、
体と心の声を聞く

―自分のペースを取り戻すために日々のメンテナンスで気を付けていることはありますか?

数年前から漢方専門の〈杉本薬局〉に通っていて、自分の体質や状態に合わせて漢方を処方してもらっています。漢方は自然に沿った考え方がおもしろく、相談に行くことで自分の心身に向き合えるので、定期的に行くようにしているんです。私は熱を体に溜めやすい体質なので、上手に発散できる漢方を処方してもらうことが多いですね。

また、余分なほてりを取る「クレイ」や森の泥と呼ばれる「ピート」も長年愛用しています。肌に直接塗るとスーッとした爽快感が味わえて気持ちがいいんです。ピートはコンディショナーと混ぜて使うことも。乾燥した毛先につけると髪が柔らかくなって元気になりますよ。

具体的な悩みがある時は、信頼できる人に話を聞いてもらいます。自分の内側に溜めすぎないように。悩みを吐露するだけじゃなく、他愛のない会話でも自分がリラックスしているのを感じますね。漠然としたモヤモヤを抱えているようだったら、思い切って場所を変える。私は自然が多いところに行くと気持ちがスッキリするので、遠出することも多いです。水がきれいな京都、緑豊かな箱根、神聖な空気が流れる伊勢が好きですね。自然と触れ合うことで英気を養える感じがします。遠くまで行けない時は、近くの公園まで散歩に行ったり、自転車を借りて都内をぐるぐる回ることも。それだけでもリフレッシュします。

美容コラムニストの福本敦子さんがご自身で使われている杉本薬局の漢方薬
美容コラムニストの福本敦子さんが長年愛用するクレイやピート
陽光の下で続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん
陽光の下で続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん
サルスベリの花を手の平の上に置く美容コラムニストの福本敦子さん
サルスベリの花を手のひらに持つ美容コラムニストの福本敦子さん

母の死を経験して

昨年、母を病気で亡くしました。療養期間が長かったので、気持ちの準備はしていましたが、やはり大事な人の死に直面したことは想像以上のショックでした。実は母の死の直後、三週間ほど不正出血が続いたんです。婦人科で相談したところ、脳でストレスを感じる部分と子宮に指令を送る場所が近く、自律神経の働きが乱れてしまったことが原因だと教えてもらいました。自分が思っていた以上にストレスを感じて、体が正直に反応したのだということに驚きました。友達に相談すると、転職や身近な人との別れなど、さまざまな理由で不正出血を経験したことがある人もいて、珍しいことでもないと思えたことで少し気持ちが落ち着きました。

─不正出血の間は鉄分を多めに摂取するなど特別にケアしたことはありましたか?

特別なことはしていません。ストレスを感じて体が反応しているだけだとわかったので、それ以上頑張ると自分が疲れてしまうと思ったから。「自分はストレスを感じているんだな」と思って終わり。こういう時は無理したり、何も足さない方がいいと思いました。

─近しい人の死を経験して、変わったことはありましたか?

やっぱり価値観は変わったと思います。自分の生き方についても考えたし、社会的な「成功」って何だっけ?と考えるようになりました。そもそも、成功することがいいことなのかとか。

続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん
自身の著書を手元に続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん

─お母様の死後に綴られたエッセイ『気持ちいいがきほん』で、「お金を稼いだとか名声を得たとかではなくて、どれだけ人と触れ合ったかが大事なんじゃないか」と語られていましたね。

そうそう。人間力というのかな、数字で測れないものがあるだろうと。私自身、言葉にするのがまだ難しいのだけど、うまくいったか/いってないかにそこまでこだわらなくなったかもしれません。

お金を稼ぎたい、知名度を上げたいと頑張ることを否定しているわけではないんですよ。でも、いずれ人生に終わりはやってくるということを実感したことで、心や体をすり減らして大事な人と会う時間を削ってまで仕事に打ち込んだり、目の前のことにとらわれているのってもったいないんじゃないかなって。一つ一つが百点満点でなくても大筋が合ってたらいいと思うようになったんです。大きな視野を持って物事を捉えられるようになって、ネガティブな事象にピントを合わせすぎないようになりましたね。何かトラブルが起きても「あ、そうなんだね」って。起きたことはしょうがない。大筋あってたら大丈夫、という気持ちで生きていたいですね。

サルスベリの花のそばで続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん
サルスベリの木の下で続magazineのインタビューに応える美容コラムニストの福本敦子さん

フェイバリット favorite 使い続けたいもの

体がじんわり温まる 家庭用のよもぎ蒸し

仕事を快適にしてくれる大事な相棒、何気ない日常を彩る日用品など、“いつもの自分”をつくってくれる、お気に入りのアイテムはありますか?
これまでも、これからも、長く使い続けたいものを教えてください。

家庭用の「よもぎ蒸し」。秋から冬にかけて、寒い日の朝はここに座って体を温めています。ひんやりとした空気の中で自分がじんわり温まっていく感覚が気持ちいいんです。

ドリンク drink お風呂上がりの一杯

ハーブやフルーツを 加えた、ほうじ茶

私たちのチームは「お風呂と健康」について長年、研究してきました。心をほぐし、体をしっかり温めてくれる入浴タイムの後、喉を潤すためにどんなドリンクを飲んでいますか?
愛飲している一杯を教えてください。

京都のお茶屋さん「柳桜園」のほうじ茶にフレッシュミントやドライハーブやドライフルーツをプラスして飲むのが好きです。香ばしさだけじゃなくて、さっぱりとした味わいもお気に入りです。

Photo/Yu Inohara

Text & Edit/Mariko Uramoto