【勝敗を分けた入念な準備】奈良クラブ V.S. FC大阪(J3リーグ第23節)

第23節 奈良クラブ対FC大阪 振り返り

入念な準備

J3リーグ第23節 2023年8月20日(日)@東大阪市花園ラグビー場
絶対に負けられない生駒山ダービー。FC大阪との一戦。

前回ホームでのFC大阪戦では、0-1で敗戦となってしまった奈良クラブ。
今節はその借りを返すためにも絶対に負けられない。

フリアン監督はこの試合のために入念な準備をしてきていた。
ダービーに懸ける並々ならぬ思いを見せてくれた試合を振り返る。

起きた現象は1つでも、その捉え方は複数存在する。
あくまで「1個人の感想と考察」という前提で、お楽しみいただけたら幸いです。

前節の振り返りはこちらから。

「奈良クラブ対カマタマーレ讃岐」第22節の振り返り

スタメンおよびフォーメーション

第23節 奈良クラブ対FC大阪 スタメンおよびフォーメーション

奈良クラブ

奈良クラブのスタメンは前節から1人(桑島選手)変更。

前半戦の第10節での対戦時には
寺村選手、可児選手、嫁阪選手がスタメンだった。

FC大阪

FC大阪も前節から1人(田中選手)が入れ替わっている。

  • GK:永井建成(No.1)
  • DF:美馬和也(No.2)、板倉洸(No.26)、舘野俊祐(No.6)、齊藤隆成(No.3)
  • MF:田中直基(No.14)、禹相皓(No.33)、久保吏久斗(No.11)、日髙慶太(No.8)
  • FW:古川大悟(No.28)、島田拓海(No.32)
  • 交代:利根瑠偉(No.16)、木匠貴大(No.7)、坂本修佑(No.5)、小松駿太(No.44)、松浦拓弥(No.77)

なお、前半戦の第10節での対戦時には
松田選手、町田選手、西矢選手、吉馴選手がスタメンだった。

試合結果

まず初めに、試合結果は

  1-0 の勝利

となった。

奈良クラブはの順位は9位 となった

試合ハイライト(公式)

奈良クラブ公式がアップロードしているハイライト。

試合展開

要点
  1. 白熱する球際バトル
  2. FC大阪のシンプルな攻撃
  3. 引水タイム開けのポジショニング修正
  4. 3年連続ダービーで結果を残す山本選手
  5. フリアン監督の準備した奇策

ポイント① 白熱する球際バトル

ダービーなので当然だが、
各選手同士がバチバチのバトルを繰り広げる。
特に奈良クラブのCB伊勢選手、鈴木選手と
FC大阪のFW島田選手、古川選手、木匠選手のバトルは必見。

CBの伊勢選手、鈴木選手は、縦パスやロングボールに対して跳ね返すことを徹底している。
余程のことがない限り跳ね返すことができる2人だが、この試合では50:50くらいで
半分は跳ね返せるが、半分はおさめられる、もしくは近場にしか跳ね返せなかった。

システム上、2FWに対して2CBは数的同数になるため
絶対に個で負けられない状況の中、相手FWに仕事をさせなかった両CBは素晴らしかった。

ポイント② FC大阪のシンプルな攻撃

FC大阪は、縦に早いサッカーを展開する。
ボールを奪ったら、最前線の島田選手や古川選手をまずは狙う。
それがダメでも次に、久保選手のような縦に推進力のある選手へ渡して縦に進んでくる。

FW陣はCBを引き連れながら左右に流れてきて
サイドでの2枚もしくは3枚でパスを回し
状態が良い選手を作り出してクロスを上げ切り、中央で仕留める。
この攻撃は非常にシンプルだが、わかっていても止められない。
さらにはCBを引き連れてサイドに流れるため、中央の競り合いの強度が落ちる。

これに対して、奈良のDFラインは、都並選手、伊勢選手、鈴木選手、加藤選手と
競り合いに強いメンバーを揃えて、クロスを迎撃する構えだった。

また、FC大阪はペナルティエリア脇のポケットへの侵入も積極的に使ってくるが
ここは事前準備として、必ずボランチがついていくことが徹底されており
ポケットからの侵入はドリブル突破を除き防げていた。
(久保選手のドリブルは本当に脅威でした。)

ポイント③ 引水タイム開けのポジショニング修正

試合中に複数の組み立てパターンを試しながら戦う奈良クラブだが、
この試合では引水タイム開けにポジショニングを修正してきた。

立ち上がりは、GKの岡田選手はビルドアップにほぼ参加せずで
奈良クラブとしても前への意識が強い試合入りとなっていたが、
引水タイム開けは、岡田選手がビルドアップに参加し
伊勢選手、鈴木選手は、低い位置を取るようになる。

一方SBの加藤選手と都並選手は下がりすぎず
CB ⇔ SB 間の縦の距離が、引水タイム前は 5m程だったが
引水タイム開けから、10m弱まで離れた。俗に言う深さを作り出した。

これによりFC大阪の1列目と2列目の間を広げる。
1列目と2列目の距離が狭いとSBから中央へのパスコースが遮られるが
深さをとって1列目を自陣に引き込むと、1列目のプレスバックが間に合わず
システムの違いから中央に3枚いる奈良クラブが中央を制圧できる。

またCB2枚+都並選手、もしくは堀内選手で、3バックの形に可変して
中央を閉じたいFC大阪の2トップの脇をつきFC大阪の陣地へ侵入する。

これらの変化により、引水タイム開け一気に奈良クラブペースとなり
そして、先制点が生まれる。

ポイント④ 3年連続ダービーで結果を残す山本選手

先制点であり、決勝点である山本選手のゴールシーン。
CKから中島選手の綺麗すぎるボールから山本選手が頭で合わせた形。
相手選手の頭をこえて、ニアポスト付近で落ちてくる完璧なボールだった。

普段から奈良クラブのCKはこの位置を狙ったボールを供給する。
この試合でもゴールに繋がった35分だけではなく、
その後もニアサイドを狙ったボールが送られていた。

ゴールの前から流れの中で、山本選手がヘディングでゴールを狙ったシーンもあり
その時の感触が良かった(枠に飛んでいた)ことが、このゴールに繋がったかもしれない。

ポイント⑤ フリアン監督の準備した奇策

この試合で個人的に最も注目すべきと感じたのは、フリアン監督の準備した奇策である。

フリアン監督は、この日のためにFC大阪の公開練習を2日も見にいく気合の入れっぷりで
FC大阪は追いかけるシーンになった場合、DFの坂本選手をFW起用してくることリサーチし
それに対して、しっかりとした対策を持ってゲームプランを用意していた。

その対策は、CBの小谷選手を坂本選手にマンツーマンでマークをつけるというもの。
マンツーマンは徹底しており、奈良クラブがボールを保持している際に
坂本選手が中盤まで降りている際も小谷選手は坂本選手にピッタリとくっついており
何がなんでも坂本選手には仕事をさせない意気込みが見えた。

今シーズン、フリアン監督が4バックのシステムを変更したことは一度もなかった。
そのフリアン監督が自身の志向するサッカースタイルを曲げてでも勝ちにこだわり
マンツーマン戦術で5バックへシステムを変更したと考えると、胸が熱くなる。

そしてそのフリアン監督の勝利へ情熱を受けて我らがキャプテン小谷祐喜選手が完璧に仕事をこなした。
今シーズンほとんど試合に出られていなかった小谷選手がこの重要な局面で投入され
堂々としたパフォーマンスを発揮した点でもまた胸が熱くなる。

改めてダービーがどれだけ重要な試合であるのか
ダービーに向けて情熱を注ぎ、監督、選手、スタッフ、が勝利を目指しているか
それを実感するような残り10分の激闘であった。

順位推移

奈良クラブ 第23節終了時点のチーム順位

今節の引き分けで奈良クラブは9位に上昇。
再び上位へ挑戦するきっかけを掴んだ試合となった。

J3 23節終了時点の勝ち点差

順位等のデータについてはこちらの記事でまとめているので、お時間あればぜひ。

2023年シーズンをデータで見る

まとめ

奈良クラブのJ3第23節、FC大阪との試合について振り返りを行った。

ダービーは何よりも結果が重要。これで5月の借りは返せた。
そして、この勝利がまたチームを強くする。

守備が再構築されて2戦連続のクリーンシート。
ダービー男の山本選手のゴール。
勝ち無しの長いトンネルを抜けて、見えた復調の兆し。

次節はAC長野パルセイロ戦、連勝へ!

バモス!奈良クラブ!

奈良クラブ2023年シーズン振り返り記事まとめ

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つとむをつむ
奈良生まれ奈良育ちで県外就職した元奈良県民 奈良でサッカーをしていた当時 奈良にJリーグチームが出来るなんて思ってもいなかった 県外に出てしまったが 奈良県初のJリーグチーム「奈良クラブ」を応援したい そんな思いで外からでもわかる奈良クラブと奈良の魅力を発信するブログを始めて今に至る。