全日本チンドンコンクールが7日から4年ぶりに開催される。富山県勢のプロチーム「笑倍繁盛屋」に、新たに若手チンドンマンの中谷文音(あやね)さん(21)=富山市古志町=が加わった。文音さんは小学生からチンドンを始め、県内外で演奏してきた。プロチームでコンクールに出場するのは初めてで「にぎやかなチンドンの楽しさを若い人にも知ってもらう機会にしたい」と意気込む。

 文音さんがチンドンを始めたのは小学2年の時。普段はピアノ講師の母、安通子さん(57)が仮装し、楽器を演奏しながら楽しそうに練り歩く姿を見て「自分もやってみたい」と富山市のチンドン団体「チンドンオーケストラ」に入った。

 小学4年の時には東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の復興支援イベントに参加し、チンドン太鼓を披露した。自分の演奏で観客が笑顔になったのがうれしかった。チンドンオーケストラがなくなってからは年に数回、母のチームに参加し、県内外を回った。

 2021年12月。ベテランチンドンマンで笑倍繁盛屋のメンバーだった北野修さん(享年73)が病気で急死した。突然の不幸を受け止めきれずにいたチームに新しい風を吹かせたのが文音さんだった。

 22年9月に行われたコンクール代替イベントに出演し、若さあふれるパフォーマンスで会場を沸かせた。親方の村上睦子さん(64)は「メンバーの不幸は悲しかったが、文音ちゃんの抜てきは最高だった」と振り返る。

 今回のコンクールには中谷さん親子と村上さんの3人で出場する。文音さんはピッコロを演奏し、安通子さんは北野さんが愛用していた太鼓を打ち鳴らす。

 文音さんは同年代にチンドンを見たことがない人が多いとし「このままだと富山の春の風物詩が薄れていく」と危惧する。8日の予選では最近の人気曲に乗せてチンドンを披露する予定で「自分の演奏で若い観客もたくさん呼び込んで盛り上げたい」と語った。

 全日本チンドンコンクールは富山商工会議所と富山市でつくる実行委員会主催、県や北日本新聞社など後援。