【小宮璃央×井上想良】大人気BL『永遠の昨日』ドラマ化に込めた想い「原作の美しさを損ねないように丁寧に演じた」

【小宮璃央×井上想良】大人気BL『永遠の昨日』ドラマ化に込めた想い「原作の美しさを損ねないように丁寧に演じた」

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#井上想良
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INTERVIEW
2022.12.23

「泣けて泣けて仕方がない」と多くの読者の心を掴んだ、大人気BL小説『永遠の昨日』が実写ドラマ化。男子高校生二人の切ない恋愛模様を描いた本ドラマに挑むのは、注目の若手俳優・小宮璃央さんと井上想良さん。小宮さん演じる交通事故にあってしまった浩一と、井上さん演じる同級生の満が心を通わせ、生と性を見つめて懸命に“生きた”姿を二人はどう演じたのか。小宮さんと井上さんに全3回にわたってインタビュー。作品のことからお二人の内面まで、詳しく迫りました。【インタビューvol.1】

リアルだけど、生々しくない。それこそがこの作品の特徴

――『永遠の昨日』は、17歳の男子高校生二人のラブストーリーですが、小宮さんが演じる浩一は、トラックにはねられて心臓が止まったはずなのにいつもどおりの生活を続け、井上さん演じる満がその姿を見守り続けるという、不思議な切なさのある作品です。

小宮璃央さん(以下、小宮) BL作品に触れるのは初めてだったのですが、人生においてこれほど感動した小説はないんじゃないかというほど、原作を読んで心を動かされました。終盤に向かうにつれて、自然と涙が出てしまう、この感情はいったいなんなんだろうと……。あらすじに〈生と死、性と青春が入り交じる〉とあるように、描かれているテーマも複雑で、それでいてほかの作品では味わったことのないような美しさと艶やかさがあって、演じる前から魅了されてしまいました。

井上想良さん(以下、井上) 二人の些細な会話ややりとりがあまりに無垢で、濁りがなくて、璃央の言うとおり涙なくしては読むことができない小説ですし、ドラマもその美しさを尊重してつくることができたのではないかと思います。もちろん、細部に異なるところはあるんですよ。たとえば原作で、浩一がトラックにはねられたのは雪の日で、まっしろな雪の上に流れる血が読んでいる人には印象的だったと思うんですが、ドラマでは雪ではなく“雨”を代用しているんですよ。それでも、原作のその場面に満ちていた悲しみ、切なさに負けないくらいの映像になったと、自信をもって言うことができます。僕たち……浩一と満の感情を、雨がしっかりと映し出してくれたな、と。

(C)「永遠の昨日」製作委員会・MBS

小宮 細部にリアリティのあるドラマになっているよね。ただ、僕は演じるとき、生々しくなりすぎないよう、意識はしていました。浩一は“生きた死体”だからというのもあるけれど、この作品はホラーではないし、僕が最初に読んで感じた美しさを、損ねるようなことがあってはいけないな、と。一方で、ファンタジーというわけではないから、そのあたりの塩梅にも気をつけて丁寧に演じていました。リアルだけど、生々しくない。それがこの作品の特徴かなって。

井上 解釈は人の数だけあるだろうし、どれが正解かなんてわからないけれど、二人の抱えている想いや、それぞれの弱さみたいなものを、ちゃんと理解して演じたい、と僕は思っていました。たぶんリアルってそういうところにあるんですよね。

浩一はすごく優しくて、自分よりも他人を優先して動ける子

――それぞれの役については、どんなふうに感じていましたか?

小宮 そうですね……。浩一って、多分あまり頭がよくないんですよ。

井上 (笑)。

小宮 事故のあと、みっちゃん(満)が冷静に状況を把握しようとしているのに、本人は「え? なになに?」みたいな感じでものすごく普通。まあ、確かに心臓は動いていないけど、痛みもないし、いつもどおりしゃべって動けるし、別によくない? これからもみっちゃんと一緒にいられるってことだからいいじゃん、みたいな感じで、すごく呑気。

――確かに、浩一が死体であることを、浩一が一番気にしていませんよね。

小宮 すごく本能的でもあるというか……。大丈夫と思えるときは何も気にしないけれど、後半になるにつれて、やっぱり今までどおりではいられなくなってきたとき、自分の身体のことは自分が一番わかっているからと、受け入れていく感じも自然に理解できました。だんだん浩一の感情が見えてくるので、自然と芝居が変化している……というふうになっていたらいいなと思っています。

井上 確かにあまり頭はよくないかもしれないけど(笑)、浩一はすごく優しいんだよね。自分よりも他人を優先して動くことができる。そして、璃央が言うとおり、本能的なところがあるからか、ときどき核心を突くようなことを言うのが、カッコいいですよね。そんな浩一だから、満は惹かれたんだろうなと思います。

お互いのどこに惹かれあっているのか想像しながら観てほしい

――満はどちらかというと、頭でいろいろと考えてしまうタイプですもんね。

井上 だけど、根元には熱い想いを秘めているところは、僕と似ているなと思いました。言葉にしないだけ、なんですよね。自分にとって大事なことを、あえて誰かと共有したいとは思わない。逆に浩一は、満のそういうところに惹かれたんじゃないかな。他人に興味がないようで、実はものすごくまわりを観察して、冷静に人を見ていますしね。僕も演じるときは、セリフを発するのと同じくらい、何気ない場面の目線ひとつ、たたずまいひとつに、雰囲気が出るようにしていました。

小宮 やっぱり人って、自分に持っていないものを持っている人に惹かれるんじゃないかと思うんです。浩一はとにかく純粋無垢で、真っ直ぐに生きてきたヤツだから、まわりの人たちを幸せにすることができる。みっちゃんはちょっとヒネたところのある秀才で、常に客観的だからこそ、人の上に立つような才能がある。終盤で、浩一は満のどこに恋に落ちたのか明かされる場面があるんですけど、視聴者の皆さんには、いったい二人はお互いのどこに惹かれあっているのだろうと、想像しながらドラマを観てほしいです。

(C)「永遠の昨日」製作委員会・MBS

井上 シリアスな場面を演じることもあったけど相手が璃央だったから、現場でも励まされながら最後まで走り抜けることができたなと思います。眩しいくらいに明るくて、みんなを華やかな気持ちにさせてくれるところは、浩一とも似ているよね。璃央が浩一を演じてくれたから、このドラマも素敵な作品に仕上がってくれたんだな、と。

小宮 いやいや、それはこっちのセリフ。僕、ついクセでセリフを言うとき、口走っちゃうというか、テンポが速くなってしまうところがあって、監督にも指摘されたんだよね。おかげで直すことができたんだけど、想良ちゃんがみっちゃんの落ち着いた雰囲気を、いつもちゃんと醸し出してくれていたから、僕も自然と、焦ることなくセリフを口にできたと思う。ものすごく、安心感がありました。

小宮璃央

2002年11月19日生まれ。福岡県出身。“日本一のイケメン高校生”を決める「男子高生ミスターコン 2018」で準グランプリを獲得、『魔進戦隊キラメイジャー』(2020 年)で主役の熱田充瑠/キラメイレッド役でテレビドラマ初出演を果たし、一気に注目を浴びる。ドラマ『高良くんと天城くん』では主人公・高良の親友、田中役を好演し話題に。映画『グランギニョール』(10月28日公開予定)、ミュージカル「Shuffle!~まぜこぜ図書館『若草三銃士物語』~」(11月11日(金)~11月20日(日)天王洲 銀河劇場)への出演も控える。

井上想良

1998年8月12日生まれ。大分県出身。ドラマ『ファーストラヴ』(2020年)、ABEMA の大人気恋愛リアリティーショー『恋とオオカミには騙されない』(2021年)など、幅広い分野で活躍し、ドラマ『明日、私は誰かのカノジョ」(2022年)で人気キャラクターを演じ、話題を集める。10月スタートのドラマ『合コンに行ったら女がいなかった話』(関西テレビ)でもメインキャストを務め、映画『線は、僕を描く』(10月21日(金)公開予定)への出演も控える。

ドラマ『永遠の昨日』

2022年 10 月 20 日(木)初回放送スタート
TVer、MBS 動画イズム、GYAO!で見逃し配信 1 週間あり(全 8 話)
原作:榎田尤利『永遠の昨日』(角川文庫/KADOKAWA 刊)
監督・脚本:小林啓一
製作:「永遠の昨日」製作委員会・MBS
(C)「永遠の昨日」製作委員会・MBS

<あらすじ>
陽気でクラスの人気者の浩一と秀才で人付き合いが苦手な満。高校生の2人は正反対の性格ゆえに強く惹かれあっている。しかしある朝、浩一は満の目の前でトラックにはねられてしまう。その場で起き上がり、いつものように笑ってみせた浩一は、確かに「生きて」いるけれど、クラスメイトたちは、次第に浩一の存在を忘れ始め……。浩一が消えてしまうまでの限りある刻を、懸命に輝かせた2人の姿に“泣けて泣けて仕方がない”青春ラブストーリー。

【ドラマ公式サイト】

撮影/楠本隆貴(willcreative) スタイリスト/MASAYA(小宮さん分)三宅剛(井上さん分) ヘアメイク/鈴木優華(小宮さん分)牧野裕大(vierge)(井上さん分) 取材・文/立花もも 構成/岩崎 幸

※本記事は、これまで「with online」にて公開していた記事の再掲載です。年齢、肩書きは公開時のままです。また、作品情報に関しては、上映・放映・上演が終わっている可能性があります。

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