俳優・間宮祥太朗さん インタビュー あふれる情熱と俯瞰力が導く場所

俳優・間宮祥太朗さん インタビュー あふれる情熱と俯瞰力が導く場所

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INTERVIEW
2024.1.9

エランドール新人賞を受賞した主演ドラマ『ナンバMG5』に続き、2023年は映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』で稀咲鉄太を怪演、主演ドラマ『真夏のシンデレラ』では“王子感”あふれるエリートサラリーマン役を好演するなど、その圧倒的な存在感と、確かな演技力で活躍する間宮祥太朗さん。

1月12日公開の最新出演映画『ある閉ざされた雪の山荘で』では、劇団「水滸」の看板役者である本多雄一を演じています。with digitalでは全2回にわたって間宮さんにインタビュー。作品への取り組みから同世代の共演者への思い、芝居への考え方までお伺いしました。

10代からの役者仲間との再共演は感慨深かった

日本を代表するミステリー作家・東野圭吾の“幻の名作”と呼ばれる1992年の作品を映画化!映画『ある閉ざされた雪の山荘で』は新作舞台の主役の座をめぐる「オーディション」と称し、孤立した山荘に集められた男女7名が殺人劇に巻き込まれる、というストーリー。間宮さんをはじめ、主演の重岡大毅さん、中条あやみさん、岡山天音さん、西野七瀬さん、堀田真由さん、戸塚純貴さん、森川葵さんといった今をときめく俳優陣による密室劇、とあってその豪華さも話題に。

――映画『ある閉ざされた雪の山荘で』では、重岡さんとは初共演ながら、映画のプロモーションイベントなどではすっかり打ち解けた様子を見せていましたね。みなさんとの共演はいかがでしたか。

間宮祥太朗(以下間宮) この作品には、過去にもお仕事をご一緒させていただいたプロデューサーにお声がけいただいたこと、映画『溺れるナイフ』を観た時にすごくいいなと思って、「いつか一緒にやってみたいな」と思っていた重岡大毅さんが主演ということで、出演させていただきました。

シゲは、最初に感じた印象通りの気持ちのいい人でしたね。『溺れるナイフ』とは違うのですが、音楽番組でパフォーマンスしている姿を見ても、人を楽しませることや、そのためにやっていることが本当に楽しいんだ、ということが全身から伝わってくる方で……。その印象が実際に会ったときも地続きで、やっぱりいいな、面白いなと思いました。

シゲと西野さんだけは初めてでしたが、他はだいたい知っていて。それこそ10代とか、20代前半からの仲なので懐かしさも感じましたし、それぞれがキャリアを積んで、こうしてまた集まれたことを感慨深く感じました。ただ、純貴がずっとゴルフのスウィングの練習みたいなことをしていて……そこは大人になったというか、歳とったなと思いました(笑)。

ーー(笑)。久々に一緒に仕事をしてみて感じたことや、新たに発見したことはありますか。

間宮 役どころもありますが、それぞれが綿密に役と向き合っていると感じました。新しい面を見たというよりは、もともと持っている部分がより深くなっている感じかもしれませんね。一番意外だったのは西野さんです。静かなイメージがあったんですけど、関西出身ならではというか。みんなで話していると、ときどきボソッと刺すようなツッコミを入れるんですよ。それも面白かったです(笑)。

「サスペンスエンターテインメント」として監督とよく話し合いました

ーー今作で間宮さんは、劇団水滸の看板役者である本多雄一を演じています。「役者が役者を演じていること」も、この作品のフックのひとつですが、実際に演じてみてどんなことを感じましたか。

間宮 今作は「サスペンスエンターテインメント」ということもあったので、ただ台本を読んで、自分が思ったように芝居すればいいだけではなかったんです。ストーリーが入れ子構造のように三層、四層になっているので、そこを踏まえてニュアンスを入れていかなければいけなかった。

役者が動きたいように動いてしまうと、整合性が取れない部分が出てきてしまう可能性もあったので、監督とよく話し合いました。そのあたりが面白くもあり、難しくもあったところですね。

ーー演じた「本多雄一」というキャラクターの役作りについてはいかがですか。

間宮 本多は劇団水滸で主役を張っている、言ってみれば「劇団の顔」という設定でしたが、そのままその勢いに乗ると、かなり圧倒的な存在になってしまう。ただ、台本を読むと、劇団のメンバーにはちょいちょいいじられていたりもするので、例えば「芝居上はよく見えるけれど、台本への理解がどの程度あるのかは実はわからない」みたいな、そんな役者なのかなと思いました。

現実世界でも、感覚派と言われる役者の方がいらっしゃると思うのですが、本多もそういうタイプで、そのあたりがチャーミングさでもあるのかな? と思いました。

ーー間宮さんご自身は、そちら側(感覚派)ではないと……。

間宮 どうでしょう? セリフが違和感なく流れているかどうかを感じたりするところは感覚的かもしれませんが、どちらかというと僕はけっこう頭で考えるほうかもしれないです。今回も監督と、「ここは役者が自然に動くとこうですが、サスペンスだからあえて動かずにいったほうが良いですよね?」など、細かく確認しながら進めていきました。「今のトリック、全然筋が通ってないんじゃないか?」って引っかかったら、そのあと信用して見られないと思うんです。

ーー物語に没頭できなくなってしまうんですね。

間宮 もちろん全部に整合性を持たせることは難しいのですが……。だからこそ、今回監督とかなり話し合いました。

ーーそれは、ご自身が関わる部分ではないところまで気になりますか?

間宮 そうですね。天音と中条さん、純貴とは、過去に『ライチ☆光クラブ』(2016年公開)という映画作品で共演したことがあるんです。当時は若かったこともあり自分のことで精一杯でしたが、今は気になっている部分がありそうな方がいたら、その理由を考えられるようになりました。

それで、「ここをこう変えたらスッといけるんじゃないか」みたいな提案をすることでコミュニケーションを取ったり……そういうところは変わってきたのかなと思います。

寝る間も惜しんで作品に取り組む 「こだわりたい」と思う

ーー今のお話にもありましたが、間宮さんは自分ひとりがどう見えるかではなく、作品全体を俯瞰し、クオリティを上げようという意識が強いのだと思いました。

間宮 そうですね。こうやってフィクションの世界をみんなで集まって一生懸命頑張って撮って。作品によっては寝る間も惜しんで……。そんなふうに、ある意味命を削って作っているエンターテインメントの中身は「こだわりたい」とは思いますね。

ーー間宮さんがそのあたりを含め、監督やスタッフと積極的にコミュニケーションを取っているからか、間宮さんが関わる作品は現場の雰囲気も活性化している印象があります。

間宮 監督と話すことを別にしたら、今作では西野さんの次くらいに静かだったと思いますよ(笑)。シゲがバーッと喋ってて、そのシゲが絡むのがだいたい天音と純貴。あとは中条さんが関西人ってこともあって、意外とシゲのテンションについていけるからみんなで一緒に盛り上がってるっていう。その間、僕は結構見守るポジションだったと思います。シゲは僕にも絡んでくるけど、それは天音がいない日に(笑)。

ーーちなみに、今作の共演者のみなさんと「シェアハウス」するとしたら、ご自身はどんな役割だと思いますか。

間宮 どうでしょう、天音は甘えて……なんだかんだ普通にみんながやってくれてそうです(笑)。純貴は困ってるいろいろな人を手伝ってそう。女性陣は……どうなんでしょう、わかんないな。リードするとしたら、中条さんかな(笑)? 僕は……何の役割を与えられるかによりますが、その与えられた役割をなるべく頑張りたいと思います。

質問に答える言葉の端々からも、長年「演技というもの」「芝居というもの」に真摯に向き合ってきた人ならではの信念や矜持がうかがえる間宮さん。広い視野で作品を俯瞰し、より良いものを作ろうとする強い意志と情熱は周囲の人間を巻き込み、現場をより熱く、クリエイティブなものへと導いていることでしょう。インタビュー後編では、そんな間宮さんの役者としての取り組みや共演者への思いなどを聞いています。

インタビュー後編に続く

間宮祥太朗さんインタビュー<後編> 「10代の頃は共演者を敵のように考えてしまっていたこともありました」

PROFILE

1993年生まれ。神奈川県出身。2008年にNTVドラマ『スクラップ・ティーチャー〜教師再生〜』で俳優デビュー。2010年には映画界にも進出し、映画 『帝一の國』、『殺さない彼と死なない彼女』などに出演。『全員死刑』、『破戒』では主演を務めた。NHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ、『ファイトソング』、 『真夏のシンデレラ』など多くの作品に参加する一方、舞台やバラエティ、CMなどでも活躍中。主演した『ナンバMG5』でエランドール賞新人賞を受賞した。

「ある閉ざされた雪の山荘で」

劇団「水滸」新作舞台の主役の座をめぐり、オーディションの最終選考の場である合宿に集められた若手の役者たち。外部と遮断された密室空間で、演出家の指示に従い進んでいくオーディションの設定は「閉ざされた大雪の山荘」というシチュエーション。役者たちが演技を続けていくなか密室で次々に姿を消していく参加者たち。オーディションなのか、連続殺人事件なのか・・・。演技、嘘、そして団員たちの人間関係などさざまな要素が交錯し進んでいくストーリー。東野圭吾の傑作小説を初の映画化。主演の重岡大毅をはじめ、間宮祥太朗、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵といった実力派の俳優たちの競演も見どころのひとつ。2024年1月12日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー。

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撮影/SASU TEI スタイリスト/津野真吾(Implger)ヘアメイク/三宅茜 インタビュー/小川聖子

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