ドラマ黄金期に青春時代を過ごしてきた「テレビっ子」なARIAさんたちに、ドラマやテレビの最新情報をお届けする本連載。今回取り上げるのは、岡田惠和が脚本を手がけるドラマ「日曜の夜ぐらいは…」。ヤングケアラー、毒親などの数々の社会問題を背景に女性3人が友情を築いていく姿を、ドラマコラムライター・田幸和歌子さんの目線で追いかけます。

シビアな現実の中で浮き彫りになる大切なモノ

 「もし宝くじでも当たったら……」

 これは、大昔から人生の一発逆転を懸け、もしくは現実逃避的に語られてきたフレーズだ。多くの人が一度は夢見たことがあるファンタジーだろう。

 しかし、バブル経済崩壊の1990年代以降から賃金水準が30年間ほぼ上がらず、年金支給時期がどんどん先送り&支給額が減り、にもかかわらず人生100年時代はリアルに迫り、「老後2000万円問題」もしきりに叫ばれる今の日本で、このフレーズはもはや夢語りとしても機能しなくなった。宝くじに当たったくらいじゃ、人生一発逆転は難しい。

 そんなシビアな現実を描きつつも、生き抜くために大切なモノを提示してくれるのが、「恋愛なんか奇跡じゃない。友情こそが奇跡だ」というキャッチコピーを掲げる、岡田惠和脚本×清野菜名主演、岸井ゆきの・生見愛瑠出演の「日曜の夜ぐらいは…」(テレビ朝日系)だ。

岡田惠和脚本×清野菜名主演、岸井ゆきの・生見愛瑠出演の「日曜の夜ぐらいは…」(テレビ朝日系)
岡田惠和脚本×清野菜名主演、岸井ゆきの・生見愛瑠出演の「日曜の夜ぐらいは…」(テレビ朝日系)

 岸田サチ(清野)は、ファミレスでアルバイトをしながら車いす生活の母・邦子(和久井映見)と公団住宅に住むヤングケアラー。あるとき、邦子の愛聴するラジオ番組主催のバスツアーに邦子の「代理」として参加する羽目になり、“ケンタ”こと野田翔子(岸井)と“わぶちゃん”こと樋口若葉(生見)と出会う。

 タクシー運転手の翔子は何らかの事情から家族と絶縁状態にあり、友人の中でもどこか浮いてしまい、気づけば一人になりがち。仕事もパッとしない営業成績で、毎日勤務後は一人アパートに帰り、缶チューハイをあおってふて寝する日々を過ごしている。若葉は祖母・富士子(宮本信子)と田舎で2人暮らしをし、祖母と共にちくわぶ工場で働きつつ、社員たちに疎まれる息苦しさを感じていた。

ファミレスでアルバイトをしながら車いす生活の母親と公団住宅に住むサチ(清野菜名)
ファミレスでアルバイトをしながら車いす生活の母親と公団住宅に住むサチ(清野菜名)