もくじ
第1回こんなに好きだったなんて。 2019-02-26-Tue
第2回フラれて知った、美しさ 2019-02-26-Tue
第3回はるかその向こうの空へ 2019-02-26-Tue

編集者をしています。青空と雨の日、森と海の中、散歩とサウナとカレーとコモンとアンダーソン・パーク、ラブ!

私の好きなもの</br>木の枝

私の好きなもの
木の枝

担当・えだまりこ

自分が好きなものって、なんだろう。
その手がかりを求めてスマホの写真を見返してみたら、
木の枝ばかりが、写っていました。
気づけば確かに、道を歩いていても、散歩していても、
木の枝ばかり見ています。

私の好きなもの、というお題をいただくまで
そんなこと、意識もしていませんでした。
うまく形にできるかわかりませんが、
読んで下さるあなたも! 
今日から少しだけ、道を歩くのが楽しくなる、かもしれません。
なるといいな。
そう思いながら、書いてみます。

第1回 こんなに好きだったなんて。

木の枝がなぜ好きなのか。
まずは、それが枝分かれしているからです。

枝を目で追っていくと、分かれる。
その一方を追っていくとまた分かれる。
同時に、追っていかなかったほうの枝も分かれている。

うっかりそれを見に行ったら、
もともと見ていた方の枝が、次の分かれ道にさしかかる。
その間にも枝はどんどん分かれていき、
いろいろな形をした線がいろんな方向へ、
次々と同時に走り始める‥‥。

ああ。
思い浮かべるだけで、脳内に快感が走ります。
しかも、同じ形は、存在しない!
そして毎日、形が変わっていく。

ところで、
木はなぜ枝分かれしていくのでしょうか。
調べたら、フィナボッチ数列という、
イタリアの数学者、
フィナボッチさんが見つけた法則と
関係しているようです。

0、1、1、2、3、5、8、13、21、34、55‥‥
三つめ以降の数の、前の二つの数字の和が
次の数字になる数列。

植物はみんなこの法則で増え、
らせん型に成長していく。
木も、1本の幹が2本に分かれ、
2本のうちの1本が2本に分かれて3本になり、
そこから次の枝分かれで5本に‥‥と、
この数列どおりに分かれていくそうです。

バラの花びらや、まつぼっくり、
ヒマワリの種などの数や、枝の木の葉、
貝殻のらせん構造や、
ロマネスコという、うずまきだらけの
カリフラワーのいとこみたいな野菜まで、
みんな内側から同じ規則性で、
らせんを描きながら、増えていく。

ギリシャでは、この数列の隣り合う数の比が
黄金比として見いだされ、
最も美しい比率、1:1.618として、
知られるようになりました。

人間の顔から神殿などの建築物、
最近では有名IT企業のロゴまで。
このタテヨコ比率でできているものを、
人は美しいと感じるようにできているらしい。
黄金だけに、
数の美しさの、極みなんですね。

だから枝分かれって、目にも脳にも気持ちいいんだ。

でも、これを知ってから、
道端の木や花びら、葉っぱはもちろん、
まな板の上の切り立てブロッコリー、
スーパーでパイナップルを見かけたときまで、
目に入るものの数や枝分かれ具合、らせん具合を
ついつい、いちいち確かめてしまいます。

(つづきます)

第2回 フラれて知った、美しさ