炎症後色素沈着とは?
外傷やニキビなどの炎症後、レーザー治療後に、一時的に過剰にメラニン色素が形成されて色素沈着は生じます。
日本人は黄色人種ですから刺激に対してメラニン色素が形成されやすく色素沈着が起こりやすいといえます。
色素沈着を生じている部位から原因が推測できることもあります。上瞼の色素沈着は、アイメイクが原因のことが多く、同じ眼瞼でも目頭が中心であれば、アレルギー性疾患による掻爬行動が原因と推測できます。
原因
さまざまな皮膚へのダメージ(外傷、皮膚病、レーザー治療など)に反応して、つまり生体の防御反応として「炎症」が生じます。この「炎症」により、メラニン生成が亢進して、色素沈着を生じます。
「炎症」が一時的なもので収まっていれば、色素沈着も時間とともに消退します。目立たなくなるまでに顔で半年から1年、体幹や腕で1〜2年、脚ではそれ以上の長期間かかります。
しかし、「炎症」が続いていれば、色素沈着も消えることはありません。たとえば下肢静脈瘤に伴う色素沈着では、静脈瘤を治療しない限り色素沈着の消退も期待できません。
治療
原因疾患の治療
もし原因がわかっているなら、それを治療することが有効です。たとえばアレルギー性の色素沈着では、痒みをコントロールできれば、掻破行動を抑制でき、色素沈着も改善が期待できます。
ホームケア
シミと同じように
1)新しいメラニン色素の生成を抑える
2)すでにできているメラニン色素を早く排泄させる
ことを目指します。
具体的には、ホームケアとして美白剤(ハイドロキノン)やトレチノイン療法(メラフェード)を使う、クリニックで定期的にケミカルピーリングを受けるなどが考えられます。
ハイドロキノンがお肌に合わない方には、アゼライン酸製剤(AZAクリア)をおすすめします。
(参考文献)
クリニックでの施術
メソスキン療法は、お肌のダメージから色素沈着が広がるお肌に対する治療法です。
おすすめする治療
◎メソスキン療法
治療の原則
炎症後色素沈着には、何もしないこともひとつの確実な治療方針ですし、ハイドロキノン外用やトレチノイン療法(メラフェード)で治療することもあります。外用剤の使用は場合により「炎症」を遷延させる懸念もあるため、お肌の状態を注意深く見守る必要があります。
難しいのは、コスメが原因で生じる接触性皮膚炎に起因する色素沈着です。接触性皮膚炎自体はほとんどの場合軽微ですが、それでも長期に及ぶと、皮膚の深部(真皮)にまでメラニン色素が沈着するようになります。原因が自覚されにくいために、原因がそのまま放置されやすく、薄くならない持続する色素沈着になる可能性があります。
参考文献
Postinflammatory Hyperpigmentation.
Valerie DC,et.al
Am J Clin Dermatol
2011;12(2):87-99