苦しむ母親、見つからない搬送先 「命の選択が現実に」

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鈴木春香 堀之内健史
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 新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、大阪市神戸市で患者の搬送先がすぐに決まらない救急搬送の困難事例が相次いでいる。病床の逼迫(ひっぱく)が原因で、コロナ患者の搬送に丸2日近くかかるケースも出ている。病院にも行けないまま死に至る恐れが、目の前にある。

 「自宅で亡くなる人が出る現実を実感した」。母親の搬送先が一時見つからなかった大阪市の40代女性は訴える。

 神戸市に住む70代の母親がPCR検査で陽性になったのは今月中旬。せきや微熱の症状が出ていた。高齢で基礎疾患もあるため入院させたかったが、病床がないとして自宅療養が決まった。

 だが、その日の夜、市から借りた機器で、母の血中の酸素飽和度を測ると80%台しかなかった。93%未満は中等症や重症とされる数字だ。父が保健所に連絡したが、「入院待ちの患者は他にもいる」と応じてもらえなかった。同時に119番通報もしたが「入院先は保健所が決めている」と言われ、救急車も来なかったという。

 最初の119番通報から1日半が経った朝。「大勢が入院を待っているから仕方ない」と言っていた母が「苦しい。救急車を呼んで」と訴え、酸素飽和度も70%台まで落ちた。

 保健所に伝えると、ようやく救急車が来て、中等症の受け入れ病院に入院した。「本当は重症病床に入った方が良い病状」と言われた。母は人工呼吸器を装着され、今もこの病院で闘病する。

 女性は「家族がどれだけお願いしても、病院に搬送してもらえなかった。どの患者から入院させるかという『命の選択』が現実にあり、母も対象になった」と振り返る。「母の病状はもう祈ることしかできない」

相次ぐ自宅療養者の死亡 大阪では「入院患者待機ステーション」設置

 「今すぐ入院させるべき患者…

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