子どもの7%がゲーム依存症? 調査した長崎大「目安は休日3時間」

石倉徹也
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 子どもの7%にゲーム依存症の可能性がある――。長崎大の研究チームが、長崎県内の小中高生を対象にしたアンケートの結果を発表した。新型コロナウイルスの流行でゲームに費やす時間や金額が増え、子どものゲーム依存に悪影響を与えた可能性があるとしている。論文が8月末、国際専門誌に掲載された。

 日常生活に支障が出ても夢中になってしまうゲーム依存症は、世界保健機関(WHO)が精神疾患の一つと定めている。

 長崎大の今村明教授(児童精神医学)らは、国際的に使われている評価手法を用いて、県内の小学4年~高校3年(10~18歳)を対象にアンケートを実施。4048人から回答を得た。

 分析の結果、ゲームをやめたくてもやめられず、日常生活よりゲームを優先する「ゲーム依存症」の傾向を示す子が282人、全体の約7%いた。小学生7・3%、中学生7・5%、高校生6・1%だった。男女別では男子8・1%、女子5・3%だった。

 ゲーム依存の傾向がある子は、他の子と比べて、ゲームに費やす時間と金額が多い傾向にあった。平日のゲーム時間は、どちらも2時間以下が最も多かったが、休日になると、依存傾向がある子では「6時間以上」が最も多く、他の子は「3時間以下」が最も多かった。

 依存の傾向がある子は、不登校やインターネット依存、情緒や行動の問題を抱えやすいといった傾向もみられた。

 コロナとの関係では、コロナへの不安を強く感じやすく、流行後にゲームに費やす時間や金額が増えた傾向があった。ゲーム時間が「コロナ禍で増えた」と回答したのは、約8割に及んだ。

 調査したのは「第3波」の2020年12月。感染が広がり始め、休校などで制約のある生活を強いられた子もいた時期だった。研究チームは「コロナの大流行がゲーム依存症に悪影響を与えた可能性が示唆されている。依存症の子へのサポートが必要だ」と指摘している。

 ゲーム依存をどう防ぐのか。今村さんが挙げるのが「平日2時間、休日3時間」という目安。今回の調査で、1日のゲーム時間がこの目安を超えると、ゲーム依存のリスクが高まることがわかった。

 今村さんは「ゲーム時間をゼロにするのは難しい。料理や運動、犬の散歩などゲーム以外で家族と充実できる時間を作ることが大切。『平日2時間、休日3時間』を家庭や学校でゲーム依存を予防するための目安として活用してほしい」と話している。

 論文は、以下のサイト(https://doi.org/10.1002/pcn5.37別ウインドウで開きます)で読むことができる。石倉徹也

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