米連邦議会がウクライナ支援法案を超党派の賛成で可決した動きをめぐっては、熱烈なトランプ前大統領派だったマイク・ジョンソン下院議長が、いかに共和党内の反対に抗してウクライナ支援の支持にカジを切ったか、その「転向」の経緯を解き明かしたニューヨー
「ゴジラ・モスラ・原水爆 特撮映画の社会学」(せりか書房)の著作がある摂南大学現代社会学部の好井裕明教授には、『ゴジラ-1.0』の評価、原水爆の表象としてのゴジラ映画の変遷を語っていただいた。コラムで紹介しきれなかった好井さんのコメントを紹
10年前に半年間、大学研究員として滞在した北京で知り合った中国人の若者の何人かがいま、日本で暮らしている。同じ中国人の男性と日本で結婚して、今は子育てしながら専門分野の勉強に励む女性は、ここで紹介されている「潤(ルン)=逃げる」の文字を示し
トランプ氏が大統領に就任した直後の2017年2月に英誌エコノミストに載った「ホワイトハウスの反乱者(insurgent)」という見出しを思い出した。記事には、「米国を偉大に」と書かれた帽子をかぶったトランプ氏が火炎瓶を投げるイラスト。確かに
けさ(日本時間26日)、米メディア「ポリティコ」が、保守系政治団体「繁栄のための米国民アクション(AFP)」がヘイリー氏への資金拠出の停止を決めたと速報した。AFPは富豪のチャールズ・コーク氏が設立した団体で、潤沢な資金力を誇る。昨年11月
第2次トランプ政権が誕生した場合の最大の懸念要素は、補佐官や閣僚といった政権中枢を任せられる「まとも」な人材が果たしているかどうか、である。前回の政権では、ペンス副大統領を筆頭とする共和党保守、バノン、スティーブン・ミラーら右派ナショナリス
コラムで書ききれなかったが、対人地雷禁止条約の署名に向けては日本の「政治」が「政府」に先んじて動いた経緯もあった。1997年に対人地雷全面禁止推進議員連盟が発足し、自民党から中谷元氏が参加し、会長代理に就いた。 「難民を助ける会」副会長
NHKの顔であったばかりでなく、文化人、都知事候補、外交評論家と、多彩な経歴を経ただけに色々な評価もあろうと思うが、海外特派員、とりわけパリ特派員経験者の間では、所属メディアを超えた、まぎれもない「大先輩」といえた。 若いころ、フランス
欧州政治を報じる際にいつも頭を悩ませるのが、いわゆる「右」の党派をいかに形容するか。「極右」か、「右翼」か。それとも「ポピュリズム政党」か。 英語で「right」、仏語で「droit(e)」と表記すれば「右派」だけど、「far righ
30年ほど前、キノコ雲をあしらった原爆切手を発行しようとした米郵政公社の計画に賛同する米国の市民団体のメンバーにニューヨークで会ったことがある。彼女は原爆の惨劇は「残念で悲しむべきこと」としつつ、「原爆のおかげで日本人を含む多くの命が救われ
なぜ選ばれたのか。ノーベル平和賞の選定はことあるごとに論議を呼んできた。ヤーグラン・元ノルウェー首相がノルウェー・ノーベル委員会の委員長(2009年~2015年)のときは特にそうだった。プラハでの「核なき世界」演説が評価されたオバマ氏、中国
記事で言及される、大統領在任中のトランプ氏による「米軍の政治利用」の最たるものが、3年前の2020年6月、市民による抗議デモの鎮圧のため、連邦軍の派遣検討を声明で表明したことだろう。 ちょうどミネソタ州で黒人男性ジョージ・フロイドさんが
米国の銃をめぐる議論で日本人にわかりにくいひとつが、議論の焦点があくまでも、殺傷力の高い銃器の販売や、購入者の年齢や犯罪歴のチェックの是非であって、国民が武器を保有し携行する権利を定めた「米憲法修正第2条」そのものの是非をめぐる議論にはな
戦争がもたらすトラウマは、近年、注目されつつある分野であり、もっと注目されるべき分野だろう。かつて私が会った人の中には、こういうケースもある。 その人の父親は子供たちへのしつけに厳しく、家庭の中で威厳があった。黒井さんの場合と異なり、子
第2次大戦中、勤労学徒として動員された旧制中学生たちのうち、事故や空襲で命を落としたのは1万966人(旧文部省資料による。実態はもっと多いという見方もある)。一方で広島ではたった1発の原子爆弾で、約7200人が亡くなった。その8割が、建物疎
コラムの取材をしていて、戦時中の学徒勤労動員の過酷さを改めて知った。戦況の悪化と労働力不足が顕著になるに従って、動員の時間と頻度も増える。軍需工場での慣れない作業で事故が相次ぎ、目など顔に負傷した生徒も多かったという。食料が十分にないことに
私がセネガルの港町サンルイを訪れたのは17年前のこと。当時は大西洋に浮かぶスペイン領カナリア諸島を経由して欧州への渡航を図るアフリカ人たちの密航ポイントとなっていた。 この記事の写真にも見えるのと似た極彩色の木造船(ピロク)に100人近
パリ特派員だった18年前にフランスの郊外暴動を、3年前のワシントン勤務時代にブラック・ライブズ・マター運動の盛り上がりを取材した。今回も含め、いずれも警官の理不尽な対応がきっかけであり、警察組織に巣くう人種差別が背景にある点でも米仏の状況は
10年ほど前に中国・丹東を訪れたことがある。国境を流れる大河、鴨緑江をのぞむホテルの部屋から見える北朝鮮は夜になると吸い込まれるように真っ暗で、照明がきらびやかな中国側との違いは瞭然だった。ホテルの部屋には対岸を見る双眼鏡が備え付けられ、鴨
市町村から「字(あざ)」まで、沖縄では地域の記憶を後世に残そうという取り組みが盛んに行われている。那覇市の沖縄県立図書館では専門コーナーもあり、それぞれ数百ページに及ぶものも少なくない市町村史や字(あざ)史がずらりと並ぶさまは壮観ですらある