現在位置:asahi.com>教育>小中学校>頭がよくなる!?> 記事

頭がよくなる!?

歴史を見る物差し 年表あわせ、時代感覚養う

2007年11月14日

 上の目盛りだけ見れば、30センチの普通の物差し。1.5センチを1世紀とする目盛りを加え、西暦元年以降の日本史の時代区分を書き込んでいるのが特徴だ。近現代の始まりの明治維新(1868年)は、28センチの位置にある。文明開化からの時間の短さが実感できる。

写真

30センチの物差しに日本史を割り当てると、近現代は2センチ分に過ぎない

 「手元に置き、年号が出てきたときなどに見る。長い歴史のどの辺りの出来事か分かり、時代感覚が身につきます」。岡山県の高校教員、武田芳紀さん(57)は言う。製品化にかかわり、PRに努めてきた。

 原始時代を除き、日本で一番長い時代を生徒に聞くと、大抵は「江戸」と答えが返ってくる。「正解は平安時代。教科書や本は近代に近づくにつれ出来事が増えるから、江戸時代がすごく長いイメージができてしまった」と武田さん。時代を大づかみに理解するのに物差しが役立つという。

 1985年のこと。全国の教員らの集まりで、ある高校教師が年表を眺めていて気付いた。近現代の長さを1とすると、おおむね近世(江戸時代)は2、中世(鎌倉、室町、戦国時代)は3、古代(大化の改新から平安時代)は4の比になっている……。

 この発見から、年表と物差しのドッキングを、岡山県で出張授業に取り組む木浪健二郎さん(65)が思いついた。「基本の年表が頭に入っていれば歴史が楽しく学べる」との考えからだ。

 発売から約20年。長くなった「近現代」は30センチの目盛りに収まらなくなり、比率も徐々にずれてきた。更新が話題に上るなか、木浪さんは言う。「規制緩和に弱肉強食。日本は再び中世に近づいているのかも」

●企業からの注文も

 「歴史を見る物差し」は「仮説社」(東京都新宿区)で販売している。子どもに問題を出して予想を立てさせ、実験を繰り返す「仮説実験授業」関連の書籍や教材を扱う。最近の売れ行きは年400本程度だが、かつては「創立記念行事で配りたい」と企業から万単位で注文が入り、生産が追いつかなくて断ったことも。税込みで1本525円。問い合わせは仮説社(03・3204・1779)へ。同社のホームページ(http://www.kasetu.co.jp/)からも購入できる。

この記事の関連情報

このページのトップに戻る