学習と健康・成長

聞こえているのに聞き取りづらい…「聴覚情報処理障害」の可能性も 症状は? 対策は? 専門家に聞く

2022.07.20

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佐々木 正孝
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聴力検査では異常がなく、音は聞こえているはずなのに、内容が理解しづらい……。それはもしかしたら、「聴覚情報処理障害(APD)」かもしれません。近年その認知度は広がり、小中学校でも補聴援助システムを導入するなどの動きもあります。今回は、耳鼻科の現場で治療にあたり、子どもの聞こえづらさについて研究してきた大阪公立大学の阪本浩一准教授にAPDの症状や対策、保護者のケアについて聞きました。

Hirokazu_Sakamoto

話を聞いた人

阪本浩一さん

大阪公立大学大学院 耳鼻咽喉病態学准教授

(さかもと・ひろかず)大阪公立大学大学院耳鼻咽喉病態学准教授。大阪公立大学医学部附属病院耳鼻いんこう科医師。1989年愛知医科大学医学部卒業。2009年兵庫県立加古川医療センター耳鼻咽喉科部長/兵庫県立こども病院耳鼻咽喉科部長(兼務)。2016年より現職。著書に『マンガでわかるAPD聴覚情報処理障害』(法研)など。

聞こえているのに聞き取れていない「APD」とは?

――聴力に問題はないのに、聞き取りが難しいというAPD。最近までほとんど知られていなかったように思いますが、一体どのような障害なのでしょうか?

聴力検査を行っても、目立った異常が見られない。けれども、聞き取りに問題がある。これが「聴覚情報処理障害=APD(Auditory Processing Disorder)」です。教育現場や医療現場から症例が少しずつ上がってきて、知られるようになってきました。

音を聞きとる仕組みを簡単に説明すると、空気の振動として届く音は鼓膜に伝わって震えとなり、それが耳小骨、内耳を通して電気信号になります。その電気信号が神経を通って脳幹に届き、音声情報として認識されるのです。この一連のプロセスが聴覚情報処理です。

APD1
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