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「バッハ像」開拓に挑む 鈴木雅明率いるBCJ

2008年5月26日

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写真新しいバッハ像に挑む鈴木雅明(左)と藤崎美苗=東京芸大

 鈴木雅明率いる古楽アンサンブル「バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)」が新しいバッハ像の構築に挑む。バッハの影響が濃いメンデルスゾーンによる、演奏機会の少ないコラールカンタータを月末に演奏。6月の「ブランデンブルク協奏曲」では、チェロに代わって復元楽器ビオロンチェロ・ダ・スパラで当時の響きに迫る。(上坂樹)

 メンデルスゾーンはロマン派の作曲家。バッハの死後初めて「マタイ受難曲」を再演したことで知られる。生誕200年の来年、鈴木はバッハの影響に焦点を当てた公演を計画していたが、「楽譜を読むうち面白くてたまらなくなり、前倒しでやることにした」。

 大叔母や師がバッハの息子らと交流していたことも、バッハへの傾倒を深めたと言われる。「感動の頂点で終曲になるのがロマン派なのに、高潮した後に静かなアリアで終わるような18世紀的傾向も抱え持つ。晩年のオラトリオ《エリア》はモダンな書法だが、若い頃のコラールカンタータはバッハに学んだ秀作だ」

 公演では、コラールカンタータの「キリスト、汝(なんじ)、神の小羊」などを、バッハのカンタータ「神の時こそ、最上の時」と対比させる。

 ソプラノの藤崎美苗が、ソロで登場する。「心の痛みを歌っていても、どこか天真爛漫(てんしんらんまん)で、ポジティブな気分になる」と話している。

 一方、「ブランデンブルク協奏曲」では、チェロのパートにビオロンチェロ・ダ・スパラを用いる。最近復元されたバロック期の小型チェロで、肩に当てて横に構えて弾く。全6曲のうち4曲に登場するが、特に3挺(ちょう)も登場する3番で、縦型チェロと異なるまろやかな響きが注目される。

 鈴木がこの楽器に注目したのは、従来の縦型チェロでは楽器編成から見て響きのバランスが悪いから。特にバイオリン、ビオラ、チェロを各3挺用いる3番では、チェロの音量が大きすぎ、演奏者泣かせだった。

 「当時はビオロンチェロという指定しかなく、どんな楽器か明確でない。バッハのカンタータにビオロンチェロ・ピッコロ(小型チェロ)が出てくることなどから、ダ・スパラを用いた可能性は大いにある」

 公演では寺神戸亮ら実力派の弦楽器奏者が演奏する。

 バッハとメンデルスゾーンのカンタータの比較演奏が28日(西宮)、29、30日(東京)。「ブランデンブルク協奏曲」の演奏は6月12日(福岡)、13日(糸魚川)、14日(さいたま)=完売、21日(川崎)、22日(名古屋)。BCJ(03・3226・5333)。

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